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地球と宇宙の境目

宇宙まで行くロケットを作りたい!
って、どこまで飛んでいったら『宇宙』なのでしょうか?

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定義として『ここからが宇宙である』というのは、実は決まっていません。
あくまで一般的に言われているのは、『高度100km以上』となります。

民間単独でロケット開発を行っているIST(インターステラテクノロジズ)のサウンディングロケット【MOMO(モモ)】は、高度100kmの到達を目指していますが、その名前は、百を”もも”と呼ぶことに由来します。
(2019年5月4日に打ち上げられた3号機で、高度113kmの宇宙に到達しています。)

地球大気はその高度により
 対流圏:地上から、9ないし17kmぐらいまで(※1)
 成層圏:9ないし17kmぐらいから、50kmぐらいまで
 中間圏:50kmから、80kmぐらいまで
 熱圏 :80kmから、800kmぐらいまで
 外気圏:800kmから、10,000kmぐらいまで
と分けられています(大気の鉛直構造)

旅客機の巡航高度が、高度10kmぐらいになります。
流星の出現する高度が、おおよそ60から80kmぐらい。
オーロラの出現する高度は、90から200kmぐらい。
国際宇宙ステーションの周回する軌道が高度400kmぐらいになります。

流星は、その元となるチリが地球大気と衝突することで見える発光現象になります。
オーロラも太陽風とプラズマが大気の酸素原子や窒素原子を励起することによって発行する現象と言われています。

いずれも大気の存在が必要になります。
大気があるということは、「宇宙ではない」とも言えるかと思います。

では、どこまで大気はあるのでしょうか?
厳密にいうと地球の大気圏に明確な縁はなく、大気は高度が上がれば上がるほど薄くなります。
外気圏でも大気はあるため、そこまで含めると国際宇宙ステーションすら地球の上空を回っていることになってしまいます。

では、なぜ100kmなのでしょうか?

1950年代、宇宙開発が始まった頃に、地球大気圏を脱出するための速度(宇宙速度)が計算されました。
この時、おおよその宇宙との境界線として、海抜高度100kmが設定され、計算に使用されました。
正確には100kmちょうどではなく、気圧や気温、大気の厚さなどのパラメータを勘案し、国際航空連盟(FAI)によって定められました。
この100kmに設定された宇宙との境目(仮想のライン)をハンガリー出身のセオドア・フォン・カルマンに由来し、カーマン・ラインと呼びます。
(カルマン渦などを研究した流体力学者・航空工学者です)

一方、アメリカ空軍は高度80km(50miles)以上を宇宙空間としており、2018年11月には、FAIもカーマン・ラインを80kmに見直す可能性があることを発表しています。
https://www.fai.org/news/statement-about-karman-line

見直されると、ちょっとだけ宇宙が近くなりますね。

※1)
赤道付近では17km程度と厚く、極付近では9km程度と薄い

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