アドリブ日記

 外で子供達がはしゃいでいる。公園の水道を勢いよく噴出して遊んでいるようだ。
 私はその音に煩わしさを感じて、イヤホンで耳を塞いだ。YouTubeで適当な音楽を流そうと思って「Ovall」の再生リストから「LIVE VIDEO」を選んで流した。
 私が外の音に煩わしさを感じたのは、小説を読んでいたからだ。
 『スロウハイツの神様』辻村深月の小説だ。今は上巻のまだまだ前半、プロローグだ。
 本を読んでいて、周りの音を煩わしく思う。昔からそうだった。だから私は耳を塞いだ。

 読書を楽しみたかったのだが騒音に耳を奪われてしまって、仕方なくかけた音楽が、あまりに耳を奪うものだから結局、本には集中できなかった。
 イヤホンを外してスピーカーで聴く。もう、小説は閉じてしまっていた。そして気付く。外から音がしない。
 気になって子供達が遊んでいたであろう公園の水道を見る。いなくなっていた。

 「いつから」そう思って興味がないことに気付いて考えるのをやめた。
 今、流している「Ovall」の再生リストが終わったら小説の続きを読もう。そう思ってリストを見てみたら次の動画が39分あって驚く。

 今、観ている動画が終わったらにしよう。そう思って行動を決定する。
 実際はこうやってnoteを書いているし、動画も横目でしか観ていない。
 そうこうしているうちに動画が終わった。ここらでnoteを書くのも終わらせよう。

 空は曇りだしてきて、遠くの方から車のブレーキ音が聞こえる。ブレーキパッドが随分古くなっているような異音を吐き散らしてどこかに消える。
 私も、あの子供達のようにいつの間にかいなくなるのだろうか。ブレーキ音のようにどこかに消えるのだろうか。
 誰かにとっての私は、そんな「子供達」や、「ブレーキ音」のような、煩わしさなのだろうか。

 曲が止まって、数分が経った。私はまだnoteを書いている。
 このnoteもまた、どこかに消える煩わしさなのだろうか。

 然様然らば是にて御免。

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