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【ドイツあれこれ】時代遅れのはずが、今や最先端

[初出:2006年9月]

ブッパータールにある懸垂式モノレールは世界でも有名だが、それに劣らず珍しいのが隣町ゾーリンゲンのトローリーバスである。ドイツでは、今や3箇所にしか残っていない。路面電車とバスを足して二つで割ったようなこの乗り物は、架線から電気を取り入れて走る。路面電車よりも設備投資費が少なくて済むので、戦後のインフラ復興に伴い普及した。それが、60年代末に機材更新の時期を迎え、次第にガソリンバスに切り替えられていった。

車を運転する側からすれば、機動性に劣るその車両は邪魔だ。いってみれば、トローリーバスはマイカー主義に負けて廃線になったのではなかろうか。

ゾーリンゲンの市議会でも、いつもギリギリの過半数で存続が決定されてきた。金属工業・刃物産業の街を走る環境にやさしい電気バス。今から考えると英断である。

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