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北米Fintechから学ぶ スポーツ界でのパートナーシップの考え方【後編「今後の展望」】

※本記事は2部構成になっています。
前編「北米スポーツ界で存在感を発揮するFintech企業」はこちら

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 近年、北米ではスポーツの人気上昇に比例する形でリーグやチーム収入は右肩上がりとなっている。その中で、スポーツの収入の多くの部分を占める「スポンサー収入」の部分も増加し始めている。これは、スポーツリーグやチームの人気が増したことで単価を上げることに成功していることが理由である。一方で、企業側にとってはスポーツへの投資の大型化を意味し、資金力の劣る企業が参入できない環境が形成され始めている。

 最近、北米スポーツ界のパートナーシップで存在感を発揮しているのがFintech*関連のサービスを扱う企業だ。彼らが展開するパートナーシップは、従来の「協賛」とは少し異なった新しい形をしているという特徴がある。本コラムでは、そんなFintech企業が見せる“新しい”パートナーシップを前後編の全2回にわたって分析し、よりよい形でのパートナーシップを提案する。後編は「今後の展望」。

パートナーシップ型の事例についてはこちらがご参考になります

■企業とパートナーの関係性は親密に

 今後スポーツと企業がより良い関係を築いていくためには、スポーツ×Fintechのような「単なる協賛関係を超えた関係」に移行していく必要がある。そして、最終的な形として「企業とパートナーが既存の事業領域から独立した共創関係」を構築することができれば、お互いのシナジーを最大化することができるだろう。
 日本のスポーツ界で結ばれているパートナーシップの多くは“協賛”関係が基本であり、そもそもスポーツを使って稼ぐという発想が少ない。これを次のフェーズに移行させるためにはパートナーの中でどこのアクティベーションポイントが利用可能なのかをどん欲に追求することが大切である。

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■本コラムの学び

 本コラムでの学びをまとめると以下のようになる。
 北米ではFintech企業がスポーツ界で存在感を増しており、彼らが結ぶパートナーシップは単なる協賛関係ではなく共創を意識したものになっている。こうした関係性の親密化がトレンドになりつつある中で、日本はどのように企業とスポーツが「使う/使われる」関係の最大化を図っていくのか。スポーツと企業がお互いのアセットを理解し、共創関係を見据えたパートナーシップを結ぶべきであると考える。
 また、こうした意識はスポーツ以外の面でも有効になる。例えば、どの企業にとっても喫緊の課題であるSDGs。現在進行形で多くの企業活動がみられるが、一方で単なる協賛関係に終始しているものも多い。相手のアセット内を最大限活用する意識(アセット内で稼ぐという意識)は、どの領域のパートナーシップでも非常に重要である。

注釈:
*Finance(金融)とTechnology(技術)を組み合わせた造語で、従来の金融サービスと技術を組み合わせた領域を指す

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著者:升本 大輝 / Taiki Masumoto
経営/戦略コンサルティングファームTrans Insightのリサーチアシスタント。
1998年東京都生まれ。大学在学中から日本スポーツ界の発展を志し、UCI(カリフォルニア大学アーバイン校)Athletics やUCLA Athleticsでのインターン活動を経てTrans Insightに加入。

Trans Insightについて:
ニューヨークに拠点を置く、スポーツに特化した経営/戦略コンサルティングファーム。
米国での幅広いネットワークを活かし、各収益領域(チケット販売、スポンサーシップ、放映権販売、 マーチャンダイズ、CRM、ニューメディア・インターネット等)におけるマーケティングインサイトやコンサルティングサービスを提供。

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