発音学習の阻害要因「恥ずかしさ」を取り除くべき
発音学習を妨げる要因に「恥ずかしさ」があります。この記事では、恥ずかしさとは何か、どう除去していけばよいかを説明します。
ふだんと違う行動をとるのは誰でも戸惑う
継続的に行っている行動で戸惑うことはありません。自動車の運転の方法を体で覚えている人は、無意識的に発進や停止などの基本的な操作を行えます。
これは言語の運用でもいえることです。たとえば、日本語ネイティブで、英語を普段使っている日本語のように話すことを恥ずかしいと感じる人は、いないと思います。そのため、学校で先生にあてられて教科書を読むときも、みんな、「恥ずかしくない無難なカタカナ英語」で音読します。
ただ、この、戸惑うことのない普段と同じ行動様式に落ち着ていしまうというのは、発音学習においてネックになります。言い換えると、潜在的な恥ずかしさが学習の阻害要因になるということです。
原因は恥ずかしさ、できないのではなくしないだけ
ここからは、恥ずかしさが阻害要因になる、というメッセージを具体的な話を織り交ぜて説明します。
たとえば、cat の /æ/、feel の /i/、hot の /ɑ/、look の /u/ はいずれも、動かせるとこまで動かした状態である母音の限界の境界まで、可動域をギリギリまで動かしています。
対して、日本語の母音「あいうえお」はどれも文脈内ではぞんざいに発音されることが多く、そのため母音の限界の内部に収まる、テンションが張らないゆるい音素になります。ですから、cat, feel, hot, look などの単語を日本語の母音で代用してしまうと、テンションの張った音素であるべきはずの箇所がゆるくなってしまうため、日本語訛りが介在した英語になります。
ただ、このように、英語の口の可動域は日本語より広いですが、決して、日本人の口でできないというわけではありません。身体か固くて前屈できない人と、柔らかく前屈できる人がいるというのはその通りですが、英語発音に関してはそうではなく、原因は恥ずかしさです。その動作ができないのではなく、普段と違う行動様式が恥ずかしくてしないだけです。
丁寧に言い換えると、「恥ずかしさが阻害要因になっていて、ふだんの日本語の可動域に収まり、結果として日本語訛りが顕著になる方向に流れているから」と言えると思います。
さいごに
日本語ではなく英語の音素を使った方がいいというのは、誰もが納得できる話だと思いますが、いざ自分が運用するとなると、恥ずかしさの影響で日本語の音素にどうしても流れてしまいます。
僕は発音を教える時に、よく、「めちゃくちゃオーバーに」発音してみてと言います。これは、実際に運用される英語の音程や強弱を、何倍にも増幅させて練習するという意味なのですが、この意図の中には、恥ずかしさを起因とした日本語訛りに流れないように、恥ずかしさや照れを捨ててほしいという意図も含まれています。
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