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調べて、調べて、調べまくって

皆様、本日も一日翻訳お疲れ様でございました。そして、今日はどれくらい調べ物をされたでしょうか? ノンフィクションの翻訳をされていると、ジャンルによっては作業時間の半分以上が調べ物に消えた……ということもあるのではないでしょうか。

私が翻訳コーディネーターを始めたのが2004年。それから17年で、インターネット上で調べられることは格段に増えました。毎日、検索、検索、また検索。そして、掘ろうと思えば果てしなく掘れる。今となっては、昔はどうやって、どこまで調べてたんだっけな……と不思議になるくらいです。

そこで今回は、私が普段調べ物に使っているサイトをいくつかまとめてご紹介しようと思い立ちました。今までセミナーやtwitterでご紹介したもの、弊社からの資料でお伝えしているものもありますので、「知ってるものばっかり」だったら申し訳ありません。ひとつでも皆様の「おぉ、これ便利」が増えることを願っています。

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辞書系

Urban Dictionary
https://www.urbandictionary.com/
最近はGoogle等で直接フレーズを検索すれば答えが見つかることも多いですが、口語表現の強い味方。初期から大変お世話になっています。

日本語コロケーション辞典
https://collocation.hyogen.info/
国立国語研究所
https://www.ninjal.ac.jp/
和訳していると、原文の意味はわかっているのに、どう表現するかで迷うことも多いと思います。また、「この言葉ってこの使い方であってたっけ?」となることも……。仕事中は英和、英英、国語、類語辞典と各種辞典を使いますが、「日本語迷子」になったときは、この2つのサイトも頼りになります。

文献調査

CiNii
https://ci.nii.ac.jp/books/?l=ja
NotesやBibliographyで邦訳の有無を調べなければいけないことも多いと思います。そういうとき、私はまずはここです。原書名で検索するとその邦訳も出してくれることが多い(日本語タイトルが出てこなければ未邦訳と判断しやすい)のと、邦題で検索すると「タイトル別名」として原題を表示してくれるので確認しやすいです。国会図書館のデータとも連携していますが、国会図書館は重たいので、もっぱらこちらを愛用しています。

WorldCat
https://www.worldcat.org/
記事や論文の情報を調べるときは、CiNiiと合わせてこちらを使います。特に日英翻訳では必須。日本の書籍だと出典表記はざっくりでOKですが、英文書だと該当記事の掲載ページまで書かなければいけないので、原書にある情報だけでは足りません。WorldCat様様です。

Webcat Plus
http://webcatplus.nii.ac.jp/
こちらはフレーズから該当書籍を検索できるのが便利! CiNiiと同じく、国立情報学研究所が運営しているサイトです。

World Digital Library
https://www.wdl.org/
先日とある文献を探していて偶然たどり着きました。Search 19,147 items about 193 countries between 8000 BCE and 2000 とあるとおり、とんでもなく古い文献も見つかったりします! うっかり夢中になって元の作業に戻れなくなったりするので要注意なサイト。

聖書
https://www.bible.or.jp/read/vers_search.html
ときどきご質問をいただくので念のため。原書に聖書のフレーズが出てきたときは、こちらを使っています。今日久しぶりに開いたら、URLが変わっていました……。ブックマークされている方は、ぜひ確認してみてください。

人名

大変悩ましい人名調査。
①企業や大使館などの公式と思われる表記を調べる
②メディアなどが広く使っている表記を調べる
③動画サイトで本人が自分の名前を発音していないか調べる
④同じ綴りの名前のカタカナ表記がないか調べる
などなどしていくわけですが、あたりをつけないと調べようがないことも。そこで役に立つのが次の2つです。

欧羅巴人名録
http://www.worldsys.org/europe/?c=form
サイトの冒頭にも注記があるとおり、個人の方が「趣味で収集しているデータ」なのですが、同じ綴りで言語によってカタカナ表記が変わる名前などが調べやすい&楽しい! 実は、コーディネーターになってかなり早い段階から使わせていただいているのですが、当時と比べるとデータ数がすごく増えました。今後のさらなる収集に期待しています。

外国人名のカタカナ表記推定
http://kotoba.nuee.nagoya-u.ac.jp/sc/tsuduri/
こちらは名古屋大学大学院工学研究科のある研究室が作っておられるサイトです。ITが専門の研究室なので、膨大なデータを入れて、そこから可能性の高いカタカナ表記を導き出すアルゴリズムをお使いなのだろうと想像しています。こちらの強みは、馴染の薄い言語の名前のあたりをつけやすいこと。ここに表示されたカタカナ表記が「正解」とは限りませんが、いい手掛かりになります。

Google系

いうまでもなくGoogleはお使いかと思いますが、その中でも下記のサブドメインや機能は便利です。

Google ブックス
https://books.google.co.jp/
日本の書籍はまだまだですが、英文書は中身まで調べられるものが多いので助かります。

 ​Google Art & Culture
https://artsandculture.google.com/
メニュー画面から所蔵場所、テーマ、アーティスト、素材と技法……などなどさまざまな分類で探せるのも画期的! 今までは美術館・博物館のサイトなどを見ていましたが、今後はここでまとめて確認できそうです。

Googleマップ
https://www.google.co.jp/maps/
書籍内に登場する場所の位置関係を確認するには欠かせません。位置関係がややこしい場合は、フラグをつけて縮小し、全体像を把握するようにしています。

漢字チェック

ときどき、「●年生までの漢字は使ってOK」というようなご指示をいただくことがあります。以前は、常用漢字表を見て、該当漢字をひとつひとつ置換機能でハイライトして、それ以外の漢字は開いていく……などという途方もない作業をしたこともありました。今は、WORDの文章校正機能で「漢字レベル」を設定できるので、そちらを使うことが多いですが、下記の2サイトにはWORDにはない機能があります。

常用漢字チェッカー
https://joyokanji.info/
何年生で習う漢字かを色分けしてくれます! これ、地味に便利です。

総合漢字チェッカー
http://attosoft.info/tools/kanji-checker/
こちらは設定メニューがとても多彩。そして、文章の「漢字使用率」も出してくれるので、子供向けの書籍の場合、目安に使うのもよさそうです。

文章比較(番外編)

difff
https://difff.jp/
左右のボックスにそれぞれ文章を入れると、差分を出してくれます。WORDの変更履歴とは違い、横並びで見られるので、例えばすでに既訳のある原文を訳してみて、ご自分の訳と比べてみたり、納品時の訳文と、編集が入った刊行後の訳文を並べてみたりすると、面白い気づきがあるかもしれません。

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いかがでしたでしょうか。もし皆様が愛用されている便利サイトがあったら、ぜひ私たちにも教えてください。

中原絵美


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