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おもちゃのパンケーキが可愛すぎておままごとをしていた

 タイトルの通り。いい大人がおままごとをしていたことをここに記します。

 はじまりは、100円ショップのセリアに訪れたところから。ふとおもちゃコーナーを横切ろうとしたときに、そのパンケーキセットはあった。

 色といい素材といい、絵本「しろくまちゃんのホットケーキ」そのもの。私はあの絵本が大好きなのだ。
 小さい頃、家でホットケーキを焼く時には絵本が欠かせなかった。ホットケーキが焼けるまでの工程が見開きで描いてあるページを開いて、絵と本物とを見比べる。特に、片面を焼いている最中ふつふつと表面に気泡が浮き出るところは、まばたきをなるべくしないように眺めていた。
 きつね色に焼かれたホットケーキを食べる時は、しろくまちゃんがそうしていたように、一口で食べられるほどの三角形に切り分けてから頬張った。そうすると、私も絵本の中で、しろくまちゃんと一緒にホットケーキを味わっている気分になるのだ。そういう思い入れがあるホットケーキは、今でも大好きな食べ物の一つだ。

 おもちゃのパンケーキを購入する。子供がいるわけでもなし、姪や甥が遊びに来る予定もなしの大人が。レジの店員さんに買い物カゴを渡したときには、あたかも「子のために選びました」顔で澄ました。ちょっとズルい大人だ。

 家に帰って、早速袋から取り出してみる。パンケーキ2枚、ターナー(ひっくり返すやつ)、ホイップ、チェリー、バター。あかん、可愛すぎる。

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 商品レビューと称したおままごとがはじまる。

パンケーキ

 まずパンケーキ。この直径と厚み、私の中で黄金比。約 9 cm(直径) × 2 cm(高さ)。このツルツル感が、すごく美味しそうに見える。

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 この素材は一体なんだ。

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 そうか、ポリスチレンか。今までにおもちゃ屋さんで見たホットケーキのおままごとの中で一番かわいいよ。


ターナー(フライ返し)

 お次はターナー。約 5.5 cm × 13.5 cm。持ち手部分とひっくり返す部分がそれぞれ異なる材質(ポリスチレン、ポリプロピレン)で出来ているようだ。

 素人には、どっちがどの素材なのか分からないが、持ち手部分は軽くてツルツルしている。ひっくり返す部分は表面にマット加工も施しているため、いかにもひっくり返しやすそうなざらざら感だ。こういう細部のこだわり、好きです。

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ホイップ

 すごいのはターナーだけではない。このホイップを見てほしい。中央には、計算し尽くされた窪みが。チェリーが最高に可愛く乗っかる深さを研究したに違いない。
 さらに極めつけは表面の質感。パンケーキと同じポリスチレンでありながらも、見えるところはマット加工にしてあり、ホイップのふんわりさを演出している。約 4.5 cm × 13.5 cm。

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 ホイップの裏側。つなぎ目を見せない、空洞にさせない工夫に職人技が光る。

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 ここにチェリーを乗せると…

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はい可愛い!


チェリー

 チェリーは約 1.5 cm × 3.6 cm。つるつるした実の部分と、触ると少し弾力性のある柄にこだわりを感じる。素材はどちらかがポリプロピレン 、どちらかがTPR。TPRとは。

 TPR:熱可塑性エラストマー
 プラスチックとゴムの中間の性質を持ち、ゴムのように軟らかくプラスチックのように簡単に加工ができる。ゴムに近い軟性のものからプラスチックに近いものまで幅広く、チューブ、グリップなど様々な分野で使われている(*1)。TPEやTPRと略記することもある(*2)。

引用1:BUZZ NOVELTY
引用2:Wikipedia

 ふむ。一つ勉強になった。明日には忘れてそう。

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 ただこのリアルな光沢は、きっと永遠に忘れない。


バター

 最後は堂々のバター。見よ、この美しいフォルムを。

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 固形バターも、溶けたバターもどちらもポリスチレンなのだそう。いやはや、色合いと質感といい、最高だね。溶けたバターの非対称な輪郭が可愛くてしょうがない。約5.8 cm × 1cm。

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 裏返しにすれば、ホイップの時にも見た、つなぎ目を表に出さないための工夫が。素晴らしい。拍手喝采。

 


 さて、ここまで商品レビューっぽさを出すために、やけに素材やサイズ感に言及してみたが、今私がやっていることは、まごうことなきおままごとだ。現実から目を背けてはいけない。本当に商品レビューをしたいのならば、その商品が市場に出回っているうちに行わなければ意味がない。一ヶ月前に購入したこのおもちゃが、今もSeriaに置かれているかどうかすら私は把握していない(ここまで読んでパンケーキセットが欲しくなった方には大変申し訳ないことである)。Seriaにも、販売元の久野貿易商会にも、誰にも頼まれていないのにおもちゃのホットケーキをベタ褒めしている大人は、常軌を逸しているだろう。

 でもそれが何だ。誰が言ったか分からない”こうあるべき”に囚われすぎていやしないだろうか。〇〇らしさなんて、幻想にすぎないのだ。

 堂々とおままごとをしようではないか。自由に、自分のやりたいことをやればいい。


堂々とおままごとをすることにした


 緑が美しい森の奥に、一匹の野うさぎがおりました。この子は料理が大好きで、手作りのおやつもお手の物。今日は何を作るのでしょうか。ちょっと覗いてみましょう。

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 おや、どうやらもう作り始めているようです。真剣なうさぎさんの眼差しの先には、まあるくて甘い香りのするホットケーキが。今からターナーでひっくり返します。

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 まだかな、まだかな

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 よし、今だ! 
 大きなターナーを力一杯持ち上げると、ホットケーキは綺麗な弧を描いて空中でひっくり返り、無事にフライパンの元へ。なんと美味しそうなきつね色なのでしょう。

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 ほっかほかのホットケーキ。溶けたバターの香りは、あたたかい気持ちにさせてくれます。

 冷めないうちに、いただきます。

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 まずは一枚目。うさぎさんはフォークもナイフも使わずそのままカプリ。垂れてきたバターもこぼさずに、上手に食べました。

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 二枚目は、おしゃれにホイップクリームとさくらんぼを飾りました。

 よかったら、どうぞ。

 なんて優しいうさぎさん。それではお言葉に甘えていただきます。

〈おしまい〉





楽しい…!






 いいね。やっぱりやりたいことをやるのが一番ね。

 うさぎさんは、今回で2回目の登場。はじめて出たときのnoteを見返してみたら、正確にはうさぎさんではなくてうささんと名付けていた。

 ここまで書いてから言うのもあれですが、ホットケーキとパンケーキとあえて混在させていたのですが、地味にややこしかった。

 おままごとの商品名は「パンケーキ」だし、しろくまちゃんの「ホットケーキ」だし、私は「ホットケーキ」と呼ぶのが好きだし。ホットケーキは和製英語で、パンケーキの一種であることを考えると、商品名がパンケーキなのはとても理にかなっているなあ。

ここまでお読みいただきありがとうございました。 いただいた御恩は忘れません。