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置き配張り紙を作ってみた所感

先日、置き配張り紙なるものを作りました。


置き配:
あらかじめ指定した場所(玄関前、置き配バッグ、宅配ボックス、車庫、物置など)に非対面で荷物などを届けるサービスのこと。
(参照元:日本郵政HP: https://www.post.japanpost.jp/service/okihai/ )


置き配張り紙というアイディア自体は二番煎じならぬ十番煎じではありますが、それでも作ろうと思ったのには2つ理由がありました。

①生協配達でカタログだけでもピンポンしてくれるケースが他の家でもあると知ったため 

先程の引用ツイートに書いたとおり、私が使っている生協の配達員さんは、訪問時に必ずインターホンを押してくれます。大抵は玄関で食材の受け渡しが行われますが、時には注文カタログだけの受け渡しもあります。受け渡しについてはこれまで気にとめていませんでしたが、コロナで大変な今の時期、このやりとりは配達員さんの負荷になっていないだろうかと心配になりました。

「生協」「カタログ」「ピンポン」でTwitterを検索すると、カタログお届けだけの日にもインターホンを鳴らす生協配達さんへの感想ツイートを数個見つけました。(フォローしていない方々のツイートのため引用掲載は控えます)

私の住むエリア担当の生協さんは特別律儀なのかなと思っていましたが、他にも例があるようです。注文品の配達の有無に関わらず、訪問時には必ずピンポンを鳴らすのがルールになっているのでしょうか。

そこでツイートをもう少し探してみると、生協配達さんがピンポンを鳴らさずにカタログをポストに入れたといった主旨のツイートを見つけました。よってピンポンを鳴らすのは必須ではなく推奨ルールなのではないかと推測することができます。

これらにより浮かび上がってくるのは、生協配達さんはコロナ禍の今、対面でやりとりしたくないと思いつつピンポンを押している可能性もあるということ。Twitterでの感想ツイートでは『カタログのみピンポン』にあまり良い印象が無いように見受けられたので、これでは配達員と利用者のどちらにもメリットがありません。いわばLose-Loseの関係(※1)です。

そして、必須ルールではないことが推測されることから、利用者側の声掛けひとつで状況は変えられる可能性があるとも言えます。

素敵なクリエイターさん達が作られた置き配張り紙を拝見すると、カタログについて言及しているものはまだありませんでした。それならば、作ってみてもいいかもしれない。そう思うきっかけとなりました。

※1
Lose-Lose:
交渉をしている双方が利益を得られない形態。Win-Winの反対。


②英語版の置き配張り紙があれば、日本語を母国語としていない方も読めると思ったため

素敵なクリエイターさん方の置き配張り紙を拝見している際にもう一つ気がついたのは、メッセージがどれも日本語で書かれているということでした。

しかし、配達員の誰もが日本語をすらすら読めるとは限らないと思うのです。今までにお見かけした配達員の中には、片言の日本語で頑張ってやりとりしてくれた外国人の方もいらっしゃいました。仮にその方に漢字を交えた日本語のメッセージをいきなり見せても、何も伝わらないという可能性があります。

こう主張するのは、日本語を聞いたり話したりするのは出来るが、読み書きは難しいという方が私の知り合いにいるためです。日本に越してきて7年ほど経ち、日本語が飛び交う環境でお仕事をされているその方は、片言の会話ならほぼ問題ないが文章の読み書きは苦手だと言います。漢字は小学生三年生以上が習う範囲になると、一つ一つ調べるところから始まります。

このように、日本に暮らす外国人の中で、聞く話すはできても読み書きは苦手な方は意外といるのかもしれません。これを示すデータはないかザッと調べてみたところ、文化庁のホームページに掲載されている調査(※2)にたどり着きました。残念なことに調査年月が平成13年と古いため、現状を知る手掛かりとはなりませんでしたが、「(3)日常生活に必要な日本語の習得状況の項目」にて興味深いデータを見つけました。

日常生活の中の日本語がどのくらいできるのかという視点でアンケートをとり、「簡単にできる」「難しいができる」と回答した合計をパーセンテージで表すと、「食堂で注文する」が81.9%であるのに対し、「学校や役所などからのお知らせを読む」は48.9%という結果だったそうです。聞いて話すことと文字を読むことは分けて考える必要があると言えます。

ITの発達によって、欲しい情報がすぐ手に入る現代です。そのため今、同じ質問でアンケートを取れば「できる」の割合はもっと増えていると想定できます。しかし、なるべく多くの人に分かってもらいたいメッセージなどは、日本語を読むのが難しいと感じている方にも伝わるように翻訳文、少なくとも英語を添えるのが望ましいことを実感します。

以上を踏まえて、置き配張り紙を作るなら、英語でメッセージを併記したものを作りたいと考えるに至りました。


※2
日本語に対する在住外国人の意識に関する実態調査


思ったより時間が掛かった張り紙製作

「いざ作ろう!」と手を動かしてから完成に至るまでに、丸半日かかりました。手こずったのはイラスト作成、英語のメッセージ作成、投稿文下書きの3つです。

▶︎イラスト作成
文字だけだとさみしいからと、オリジナルキャラクターのイラストを手描きするところから始めました。しかしまだ描き慣れていないため、目と口の位置を微調整したり、顔と胴体のバランスを修正したりと思わぬところで時間を取られてしまいました。

▶︎英語のメッセージ作成
英文を1から作るのも、意外と手間取りました。まず単語の検索。「置き配」と「ドアポスト」の英語を知る必要があります。

「置き配    英語」でGoogle検索すると、Amazonさんが「Unattanded delivery」という言葉を使っていることが分かりました。

「ドアポスト」は和製英語な気がすると思いつつ検索するとやはりその通りでした。日本語でいうところのドアポストは英語で「post box on the front door」や「letterbox」と呼びます。

ちなみに「Doorpost」は日本語で「入口柱」という意味になるそうです。「入口柱」とは聞き慣れない言葉です。色々調べると、どうやら扉を支える柱(写真の赤斜線部分)とのことでした。

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次に文法。英語についてはまだまだ勉強中の身なので、たった二文を作るのにも一苦労である上、どんなに時間をかけたところで分かる人が見たら指摘する箇所が見つかるかもしれません。そのように考えると、日本語だけのメッセージに留めた方がいいのではという思いが何度も頭をよぎりました。

しかし、英文を併記しない張り紙ならクリエイターさん方が既に素敵な作品を作っています。せっかく新しく張り紙を作るのならば、これまでにない視点のものを作りたい。英文はだいたい意図が伝わる程度を目標に。文法を間違えても、英文があるのとないのとでは違うはず。間違いを指摘してくれる人が現れればその時に修正すれば良い。私の張り紙を見て、もっと正しい英文で張り紙を作ってくれる人が現れるなら、それは大歓迎。そう心に言い聞かせながら、英文を作り終えました。

▶︎投稿文下書き
投稿文作成にも時間を取られました。引っかかったのは「はりがみ」の漢字です。「張り紙」か、それとも「貼り紙」か。調べると、どちらも合っているようです。(※3)ただし、「貼」より「張」のほうが意味合いの幅が広がるようで、メッセージを掲げるというか意味合を持つ「張」を採用しました。こうして調べる作業は時間がかかりますが、その分発見が多くあるものです。


※3
ポスターは「張る」か「貼る」か


完成した張り紙とその課題

張り紙は、ある課題を残したままの完成となりました。その課題とは、イラストの薄さです。

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デジタルデータで確認するとさほど気になりませんが、実際に印刷してみるとキャラクターが背景と同化してしまっています。

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これはイラストの線を鉛筆のみで描いていることが原因です。

背景の色を変えることで対処できるか試してみましたが、上手くいきませんでした。

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やはりデジタルデータでは良く見える線も、印刷すると薄くなってしまいます。

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世に出ているキャラクターの輪郭はくっきりしているものが多いですが、背景に同化しないための工夫だったのだと描いてみて初めて実感しました。

時間が沢山あればイラストの描き直しから始めたいところですが、今回は時間切れと判断しこのままとしました。

ご自由にお使いいただけます

今回作った張り紙は、個人利用の範囲内でご自由にお使いいただけます。

ただ、イラストの完成度があと一歩と自己評価しているため、ネットプリントでの配布はせず、データのみの配布としております。

(実はネットプリントに登録して、Twitterの投稿文の下書きまでしたのですが、上記の理由から投稿するまでには至りませんでした。今後また何かの張り紙を作成したときには、今回の課題を解決し、自信を持ってネットプリント配布をしたいものです。)

おまけ

輪郭の薄さが気になるオリジナルキャラクター、ホットケーキのケイ君。

輪郭が薄いと気づいた当初、線画を濃く抽出すれば上手くカバーできるのではないかと考え、お絵かきアプリをインストールしました。20分程試行錯誤しましたが、輪郭線がギザギザになり上手くいかず断念しました。 

その時に出来たものがこちら。

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1989年に発売されたあのゲームボーイから飛び出したかのようなテイストになりました。手描きイラストを写真に撮り、その写真をお絵かきアプリに線画として取り込み、線の下に薄い黄色を塗っています。

今回は失敗作として扱いましたが、この加工の仕方をあえて使って、お絵かきをしてみるのも面白いかもしれません。イラストをよく描かれる方は試してみてはいかがでしょうか。

さて、ここまで長々と書きました。まだまだコロナの影響で大変ではありますが、お読みくださった方の気が少しでも紛れたならば幸いです。








ここまでお読みいただきありがとうございました。 いただいた御恩は忘れません。