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【#1】哀れな終着駅を目指して

第1閉塞~栄光の駅舎~


20XX年4月2日
@菊和佐鉄道のある終着駅

この駅は、毎日300人前後が利用する。
2面のホームをかつて持っていたが、今は1番ホームのみ使われている。
2番ホームのレールには錆が付き、ホームの上には雑草が生い茂っている。

名目だけのバス停
道路にはひびが入り
不相応な大きな駅舎…
中には郵便局、観光案内所が併設され地域の重要拠点のため、
廃止しようにできない駅。

桜の大木が満開に数年ぶりに咲いたこの日
原 大華という名の人物がこの駅長についた。

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申し訳程度に書かれた"駅長"の札の席に一人の女性がやってきた。

「初めまして隣の観光案内所の西田 菫です。就任おめでとうございます。原駅長」

「あぁ、前任の刈宮課長から聞いています。こちらこそ、これからよろしくお願いいたします。」
「刈宮さんは、本社の方に転属でしたっけ…」
「ええ、今は総務課の課長ですね。」
「出世なされたんですね…」
「にしても本当に広いんですね。わが社の駅舎の中でも一番ですね…」
「一応、尾丼町の所有物件ということにはなっていますが、貴社に運営を委託している形ですね…」
「そうなんですね…」

※この物語はフィクションです。
実在する団体等とは一切関係ございません。

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