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2023年7月の記事一覧
窓の外に描く 3話「電話」
退院してから、学校は夏休みだった。学校にはもう行くつもりは無かったが、8月に入ってから、電話がかかってきた。バン先生からだった。
「ジニ、怪我は大丈夫か?ずっと学校に来てなかったから、今からちょっと美術室に遊びに来ないか。学校に2学期からいきなり入るの、緊張するだろ。」
「緊張なんかするわけないだろ。学校はもう行かない。電話もしてくんなよ。」
そう、答えた。と、同時に、びっくりした。「学
窓の外に描く 2話「画集」
暴走族に入ってから一年後、中3になったジニは、5月に初めてバン先生に会った。進級して、しばらくしても学校には行かなかった。暴走族の仲間と、無茶な走りをして、バイクが転倒して事故を起こしたのが、5月の半ばごろだったと思う。
命こそ大丈夫だったが、右足に怪我をして、入院していた。家族はジニを見放していたから、入院の手続きで来てからは、その後はほとんど見舞いにも来なかった。
唯一、毎日来たのが、担任
窓の外に描く 1話「窓」
ジニは、美術準備室の隅で窓の外を見ていた。学校に来るのは久しぶりだった。授業にはいつも興味が無かった。学校には、自分の居場所は無いと、ずいぶん前から感じていた。不登校になる前も、なってからもずっと孤立していた。
家では、誰とも喋らない。ジニが何で学校に行かないのか、家族も誰も聞かなかった。夜中出かけるなとか、髪を染めるなとか、そういった言葉しかもう何年も聞いていない。中学2年生で、暴走族に入