仲良しじゃない人と共有する、輝く時間について:『ハレ婚。』
「非イスラム教徒の日本の人が、一夫多妻制度をやったらどうなるんだろうなあ」とは、やっぱり考えるのであって、そんな思考実験を漫画にしてくれている(たぶん)のが、『ハレ婚。』である。
家族について考えさせられる作品だということで読み始めたのだが、読み進めるうちに共通するものがあるとひらめいたのは、意外にも、『SLAM DUNK』だった。
私の人生の目標として、私のことをいいと思ってくれる人とばっかり付き合って暮らしていく、というのがあるが、同時に、「全然気が合わないような人たちと、何か『共有した』ような気持ちを持ちあえる瞬間って、いいよなあ」という思いも持っている。
『ハレ婚。』の伊達家には妻が3人いる。巨乳ギャル(しかも美人)で料理上手のゆず、ミステリアスショートカット・寡黙な会計担当まどか、そして物語の主人公、猪突猛進・男運のなさに定評のある小春(Bカップ)。同じ男に見初められた、ただそれだけで同じ屋根のもと暮らす三人は、互いの甘さや厳しさや、たった一人の夫との関係性や、とにかく色んなことでもめる。軽い口論のときもあれば、食事も気まずくなるようなシリアスな諍いに発展するときもある。妻たちは、「あいつさえいなければなあ」と思ったり、言ったりしたりもしている。
でも、一緒に車に乗って、伊達家みんなで鼻唄をうたうシーンや、キラキラのイルミネーションの横をドラクエみたいに縦になって歩くシーン、たまたま集まったにしては完璧な4人で、たぶん当人たちもそう思ってる感じがして、泣きそうになる。
これは『SLAM DUNK』で、別に仲良しじゃない高校生たちが、素晴らしい時間に身を置いているぞ!と口には出さなくともたしかに思いあって、走っていた、山王戦のあの感じに近い。
偶然集まった人たちで、こういう時間を共有できること、なんて不思議で美しいんだろう、と思う。
ほかにも、「好きな人と一緒にいたいけど、好きな人に他の人ともうまくいってほしいと思う気持ちの出口になるのか?これ?」とか「妻の一人が産んだ子どもをみんなで育てる感じについて」とか「妻たちの服のテイストの違いがすっごくいいよね!」とか色々と思うところある作品なので、後日追記するかもですが(ただし追記しない可能性の方が高い)、今日はこの辺で。ちなみに私はゆずが好きです。
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