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YAU「OPEN STUDIO」作品ガイド

2022年3月11日(金)〜3月14日(月)に開催される有楽町アートアーバニズムプログラムYAUの「OPEN STUDIO」作品ガイドです。


山本華 『Pictured Picture』

「何が皇居の写真を皇居にするのだろうか?」という疑問を、過去に撮影した皇居に関連するプリントを持ち寄って話し合ってみる。


村田啓 『Scenes from the life passing through the slits』

有楽町を行き交う人々を撮影した作品。カメラ外部に設置された反射鏡は前後のイメージを編み込み、複数の視野・世界が交錯する可能性を写しとっている。

山本華 『Milk Painting』

戦後に占領軍が東京會舘(現 メインバー)でレシピを作り、飲んでいたカクテル「會舘フィズ」の歴史は現在も続いている。レシピには、牛乳とレモンジュースを混ぜる過程でそれらが凝固してしまうことも語り継がれた。表では見られない凝固した物体を再現し見せることによって、アメリカ文化が日本の合流点をモノ化する。


築山礁太 『人は未だに球を追いかけている。(仮)』

人が景色を風景に変換している行為を問題提起とし撮影された写真の断片を繋ぎ合わせたマテリアルを制作、同時に思い込みや誤認識によって設定に違和感が発生する。それらを再び撮影することによって風景行為の再現を試みているワークインプログレスである。


梅沢英樹+佐藤浩一 『Transparent Deposite』

関東の幾つかの、放射性物質が湖底に沈着した閉鎖性水域の湖でのフィールドワークに基づいた作品。自然や社会の中の潜在的なエネルギーを巡る問題について、イメージやサウンドを通じて考察する。今後、有楽町エリアの地下に存在する地域冷暖房システムへと接続・展開をしていく予定の新作のワークインプログレス。


志賀耕太 『Reproduction BERIOZKA』

冷戦下にソ連と銀座に存在した外貨ショップ「ベリョースカ」に関するリサーチ。


東京工芸大学芸術学部写真学科 川島研究室 Team T (甲斐桃花・細田歌乃・鶴田弥弓)『夜 白鳥を見た』

皇居周辺を泳ぐ白鳥を監視カメラと見立て、白鳥と私たちの「視線の交差」を契機に制作を始める。誰しもが一度は見たことのある、白鳥たちは、左の翼を切られは飛ぶことができないらしい。私たちの人生よりもずっと長い間、あの堀を静かに漂い、私たちのことををずっと見ている。


東京工芸大学芸術学部写真学科 川島研究室 Team P (狩野潤哉・篠崎佑衣・高森千瑛・中島陽和)『ユウラクチョウのノハラ』

オフィスビルが立ち並ぶ有楽町に、架空のノハラを設置する計画。名前のソースになっている銀座の野原には、都市の環境でも十分に育つだけの強さを持った植物が用いられるらしい。3ヶ月に渡り、雑草を種子から育て、その経過を観察する。ビルの隙間を縫って差し込む弱々しい太陽光と、街のネオンサインのような人工的な紫色の光、その二種の環境下で育てられる植物は本当に育つのか。


東京工芸大学芸術学部写真学科 川島研究室 Team U(大島ルアナ乃愛・齋藤千穂・星子桃花)『表皮』

目的があってこそ機能するオフィス街を理解しようとしても、それは表層的な理解にしかつながらない。その面白さを探そうとInstagramを検索しても、中身のない表層的な情報しか手に入らない。目の前に聳え立つビルや通行人、その町の情報すべてを、たまねぎの皮を剥くように集めた。その皮と皮をつなぎ合わせていくことで、この街の本質が初めて見えてくるのかもしれない。


小山泰介 x SO 『LIMINAL / YB10』

都市空間は様々な要因によって変化を繰り返すが、ある空間がある状態から別の状態へと変化する時、その時間的・空間的・社会的な境界面に現れる場を「リミナルスペース」と呼ぶ。本作では、YAU STUDIOが稼働する直前の有楽町ビル10Fをドローンが回遊した映像と、電磁波を感知するレコーディングデバイスによって記録されたサウンドを主な要素として、東京の中心に瞬間的に出現したリミナルスペースの姿を可視化・可聴化した。


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このプロジェクトでは、人々が去り空虚となった空間に可視化されはしなくとも実在するさまざまな機器が継続的に発する電磁波に着目し、それを音に変換する機器を持ち込み空間をくまなくスキャンすることによって多彩な音を採取した。本来聞くことのできない電磁波というノイズに機器を通じてコンタクトをとりながら、物理的な接近による音の変化や含まれる素材となり得る音を観察・抽出し、極度な音響処理を施すことにより新しいサウンドスケープを作り出した。(SO)


GC Magazine 『GC vol.~Sky Vibes~』

写真を主軸として活動するアーティストコレクティブ GC magazine が有楽町という街のフィルターを通して制作した作品群。(GC magazine:金田剛、伊藤颯、鈴木冬生、横山渚、荻原諒子、柳香穂、荏原陸、黒瀧倫太郎、中崎大河、宮本十同、小林菜々子、安藤みやこ、原加那子、星嶺珠、原向日葵、高田有輝、Lark Ring)


ARCHI HATCH x 小山泰介 『A SIGHTSEER』

いま、世界はストリートビューカーをはじめ、監視カメラやドライブレコーダーといった無人カメラによって自動的に、日々膨大に記録されている。また、世界的なパンデミックによって「バーチャル展示」が普及し、3D空間スキャナーが生成した精緻な空間イメージも一般化した。本作は、ARCHI HATCHが中銀カプセルタワービルの館内ほぼ全てをMatterportによってスキャンした3Dアーカイブを元に制作されている。写真的な画角を探してビルの中を観光客のように回遊しながら、自動生成イメージが溢れかえる時代の写真家という存在について考察した作品。

Ligare × TPR Project Room

東京フォトグラフィックリサーチによる、NPO法人大丸有エリアマネジメント協会・Ligare(リガーレ)との実験的なプロジェクトルーム。大手町・丸ノ内・有楽町エリアを写真家・村田啓がフィールドリサーチしながら撮影した写真群、都市研究コレクティブ・A NEW SCALE / 深井佐和子+内田友紀がリサーチャー達と共に街歩きをした記録、そしてデザイナー・石塚俊によるテストデザインを公開中。


三野新 『風景の発見/未見の風景』

『風景の発見/未見の風景』は、展示された三つの写真作品に、それぞれ「何が写っているのか?」が書かれた文章(一作品当たり10~1000文程度)を制作し展示したもの。映像作品には、それらを朗読しながら作者自身が写真を眺めている様子が映し出されている。
購入希望者は、それぞれの文章を一つずつ購入でき、自身でチューニングした文章の組み合わせでの購入が可能。
購入した作品タイトルに購入者自身の記名ができる作品売買と風景の所有についてを共に考えるためのインタラクティブなNFTアートプロジェクト作品である。写真作品は、購入者の数だけNFT発行されテキスト作品に付随する。
作品は「ソノ アイダ#新有楽町」で開催中の『Meta Fair vol.1』でテキスト三つから購入可能。


小山泰介 『equivalents.dng (Sample Print)』

《equivalents.dng》は、2021年7月21日から8月8日の19日間、東京の空を見上げて撮影した写真のネガとして制作された19点のDNG(=デジタルネガティブ)ファイルからなる小山初のNFT作品。NFTがもたらす超複製時代の「写真」の在り方と、変化する価値と所有の概念を問いかける本作において、ここで展示されているのは、DNGデータから作家本人によって制作されたサンプルプリントである。NFT作品は「ソノ アイダ#新有楽町」で開催中の『Meta Fair vol.1』で購入できる。

山本華 『The Expanded Narita』

皇居の上は飛行機が通れないと思い込んでいた自身の経験を背景に、かつて撮影してきた成田の風景から飛行機を皇居の周辺に位置する有楽町の光景へ複製する。


YAU 概要

「有楽町アートアーバニズムプログラムYAU」詳細はこちら。https://arturbanism.jp/

「OPEN STUDIO」 の詳細はこちら。
https://arturbanism.peatix.com/


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