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YAUTEN アーカイブス【YAU STUDIO①TPR編】

5月20日〜27日まで有楽町ビル10FのYAU STUDIOを中心に開催された「YAU TEN」。今回はYAU STUDIOの展示風景写真からTPRのアーティスト達の展示風景写真をお届けします。わずか一週間の開催だったため、見逃した!という方はぜひ会場の雰囲気だけでもご覧下さい。


築山 礁太 Shota Tsukiyama

《Viewpoint study》
《Viewpoint》
《Viewpoint in the window》

フィールドと視線のパースペクティヴを元に「見る」という行為を考えると、視覚にも身体性がある。ツイスターゲームのような形で複数のイメージ断面を使い、大きなイメージを捉えているように感じる。また、パースペクティヴを使うという事はイメージの正面を作ることであるとも言える。 私たちはそれぞれの視線のパースを持っていて、フィールドのパースと調整しながら個々人によって正面を作り、「見る」という行為を行なっているのではないか。 Viewpoint in the window 出演協力|河原孝典、弓場誠、藤江龍之介、松岡拓海


ARCHI HATCH / YUTA TOKUNAGA

《中銀カプセルタワーバーチャルツアー》

1972 年に竣工した黒川紀章の代表作品である「中銀カプセルタワービル」が、2022 年4 月、建設から50 年を経て、ついに解体されることとなった。東京の中心に生まれた類を見ないこの建築はこ多くの人々を魅了し、そして愛された建築となったのはいうまでもない。今回の展示はその中銀カプセルタワーの住人でもあったARCHI HATCH の徳永が、カプセルタワーの最後の姿を記録したものであり、もう立ち入ることができないカプセルタワーの全貌を体験できる3D バーチャルツアーを世界初この東京の中心で展示する。
協力|中銀カプセルタワービル保存・再生プロジェクト/imgee 株式会社[imgee Inc.]/今村圭佑/中村祐太郎


SO + 丸尾 隆一

《Maruo:Landscape for 2 buildings at Yurakucho》《SO:Urbanism Ambience》
ライブパフォーマンス

近い将来取り壊される2 棟のビルの間で交わされる視線をモチーフに、都市が持つ微細な響きに目を向けるための映像インスタレーション。都市における音響風景は、行き交う人々が空間に摩擦をおこし発せられる諸々のノイズが地理的・時間的な要因の中で複雑に交錯することで知覚される。この作品では、有楽町の屋外環境音とYAU の室内の什器や備品、または制作過程の作品や空間から発せられる音を採取し、シーケンスや音像処理、構成をランダムに再構築することで偶発的なアンビエンスを創発する。


小山 泰介 Taisuke Koyama

《Traces》
《Traces》
《Traces》
《Traces》
《Traces》
《Traces》

有楽町のビル屋上にはビオトープがある。そこは皇居の森の延長として、鳥や虫たちが行き交い、腐敗した植物や有機物からヘドロや土が生まれている。自然の現象は都市環境にも等しく影響し、代謝や循環の力学は常に存在している。本作では、新有楽町ビルと新国際ビルの屋上で採集したヘドロや土、落ち葉などをYAU STUDIO に持ち込み、サイアノタイプと呼ばれる技法でイメージに定着。有楽町ビルを照らす太陽光によって、近代の都市空間において潜在化・不可視化されてきた土の存在や、土を生み出す植物の痕跡を可視化した。
協力|小岩井農牧株式会社、株式会社冨士植木



山本 華 Hana Yamamoto

《Pictures for the sightseeing》
《Pictures for the sightseeing》
《Pictures for the sightseeing》

〈Pictures for the sightseeing〉は、観光と密接な「撮影スポット」についての考察である。空港近辺に造られた航空機を鑑賞するための場所と、監督された景色において、写真は特別な思い出の感覚を提供する。同時に、三里塚闘争の当事者によって空港近辺に造られる観光地への言及があったように、取り巻く轟音や歴史に対してレンズが映し出す静けさは、現在の空港を取り巻く私たちの感覚を引き離していく。


志賀 耕太 Kouta Shiga

L《ホロパーク シリーズ》/ R《Survey the building》

〈Survey the building〉は、フラフープの中に志賀が入り、建物の側面に沿ってくるくると回る動きをパフォーマンスとした記録映像。その姿からは遊び道具や建物によって「遊ばされている」感覚が生じ、また、一周回ることで、身体で建物を測量するような意味も伴う。そして、遊び道具が生み出す自分と他者、建物と自分を隔てる境界から、公私の関係について考えようとしている。 撮影|築山礁太
〈ホロパーク シリーズ〉は、縄跳びやトランポリンといった遊び道具を使ったパフォーマンスを、街なかでのアクションとして記録等をまとめた2 分程度の短い映像作品シリーズ。アルミプリントはその一部をとらえている。TikTok のように軽快な編集とSNS のタイムラインのようなカットに加えて、編集ソフト「adobe premiere pro」のエフェクトが組み合わされている。メディアによって「遊ばれる」ことは、複数の要素とルールを重ねることで詩的に立ち上がり、その楽しさと閉塞感はさまざまな解釈を加えていく。


石毛 健太 Kenta Ishige

《"If this tree lives another 200 years, this property value, this hole, this word." について》

街路樹という存在についての疑問から端を発し、この作品を制作・発表することになった。制作やリサーチを進めていく中で、公開空地の大ケヤキは資産価値を算出され、屋上ビオトープの柳の挿し木からは根が生え、虫が沸いた。そういった制作過程や発表の機会を目の前の(あるいはこの先の)都市における景観の成り立ちや生命のあり方について考える嚆矢としたい。


三野 新 Arata Mino

《ON とOFF の間にある渚のようなもの》
《ON とOFF の間にある渚のようなもの》
《ON とOFF の間にある渚のようなもの》
《ON とOFF の間にある渚のようなもの》
《ON とOFF の間にある渚のようなもの》
《ON とOFF の間にある渚のようなもの》
《ON とOFF の間にある渚のようなもの》

建物を覆う内と外が溶け出し、そのあいだにある渚のようなものは、都市のヴェール/紗幕/幕としての仮囲いと、その中では決して完成しないイメージ群たちとの共演により、仮囲いを擬態しようとする態度を表現している。「都市の新陳代謝の象徴」としての仮囲いは、都市の仮設性を表す象徴であるとも言え、その時間的感覚を引き伸ばした時に、今ここにある有楽町ビルも数年後にここに新しく立つビルも、さらに未来の新陳代謝の一部なのだ。「渚」で過ごす時間の中で、そんな人間が認識できる少し先の時間的射程を獲得できないだろうか。 
協力|東邦レオ株式会社、ソノ アイダ# 新有楽町


Ligare x TOKYO PHOTOGRAPHIC RESEARCH

《Ligare ベースフラッグ・プロジェクト POLYPHONIC REFLECTIONS》

5 月20 日より仲通りを中心とした大丸有エリア266 箇所で掲出が開始される、NPO 法人大丸有エリアマネジメント協会(リガーレ)の新しいベースフラッグ。本企画ではリガーレとTPR がコラボレーションし、写真家・村田啓、デザイナー・石塚俊、都市研究コレクティブ・A NEW SCALE / 深井佐和子+内田友紀と6 名のナビゲーターによるリサーチプロセスを経て、写真と言葉が融合した16 種類のフラッグを制作した。街を行き交う人々の中に様々な気づきや問いかけが誘発されることを意図したプロジェクト。


村田 啓 Kei Murata

《Magic Mime》
《Magic Mime》
《Magic Mime》

鳥瞰図の対義語として蛙瞰図(あかんず)という言葉がある。文字通り、蛙のように低い視点から捉えられたものという意味だが、そこから想起される姿とは違い、蛙は自由にイメージの前を歩き、跳躍する。


Radio Studio TPR

YAU STUDIOでの4ヶ月間のスタジオプログラムを経て、YAUTENの会場でアーティスト達は何を語ったのか。ぜひRadio Studio TPRもお聞き下さい。


All images © TOKYO PHOTOGRAPHIC RESEARCH PROJECT


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