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~PINK デビュー30周年企画~「PINK BOX」全曲クロスレビュー(3):3rdアルバム「PSYCHO-DELICIOUS」

 3日目となりました「PINK BOX」全曲クロスレビュー企画。昨日より段々とこなれてまいりまして、徐々に言いたい放題になってまいりました。正直な話、学生時代のノリで好き勝手にしゃべっているだけですので、どうか気になさらず、他人の妄言と捉えながら広い心で楽しんでもらえますと助かります。
 それでは本日はいよいよ3rdアルバム、名盤の誉れ高い「PSYCHO-DELICIOUS」です。それではスタート!


◆3rd「PSYCHO-DELICIOUS」

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〜オープニング〜

@junnovi:
今晩もよろしくです。今日はPINKの『PSYCHO-DELICIOUS』ですねぇ。昨日と同様のスタイルで行きましょ。いや~それにしても昨日は疲れたねぇ。

@tpopsreryo:
そうだね。20年、いや30年近くたったからこその視点みたいなものがあるから面白いんだな。

@junnovi:
PINKについては、(学生時代からも)角松とか靖幸と違ってここまで語りつくす機会って、今までなかったけど、ちょっと不思議。なんでやろね。

@tpopsreryo:
昨日は白熱したねえw しかしこのチラシ裏ノリがいいのかもしれないね。ワタシのあのブログとはまた違ったテイストになっていてw 今日も楽しくやりましょう!

@junnovi:
こちらこそヨロシク~。ブログは記録でありリファレンスであり、データベースだけど、こっちは私の全くの無駄口の数珠繋ぎが混ざってしまって、それに振り回されるときもあるから、どうしても話があっちこっちに飛んでしまうねw

@tpopsreryo:
でもここも発言記録は残ってしまうからね。発言を間違うと身を滅ぼすらしいから気をつけよう、と言っても無理かw 角松や靖幸もこのスタイルでできるかもしれないけどね。まあ靖幸はともかく角松はBOXでも出たらやりますかw

@junnovi:
了解。やろうやろう。『Before The Daylight』あたりでは2夜必要かもw

@tpopsreryo:
それでは3rd「PSYCHO-DELICIOUS」なんですが、2nd「光の子」と結構間髪入れずにリリースされてますよね。1年経たずに。だから続編ぽくなってる感じがするんですが。

@junnovi:
確かに間髪入れてないんやけど、『光の子』の怒涛のリフレインが減っていること。3rdも執拗なリフレインはあるにはあるんだけど、単調な繰り返しじゃなくてメロディやアレンジに変化があって工夫の痕跡が。
それとサビの力の弱さは決定的で、間奏の独特の展開で魅力を引き出している趣がある。この3rdは私が一番聴いたアルバムだけれど、それは偏に「Naked Child」と「Body Snatcher」の2曲に見られる、1st~3rdまでの展開の総仕上げがここにあるからで、リズム隊の強靭なドタバタぶりとコズミックな広がりを印象付けるシンセと、ガムランが入り乱れる土着的エスニカルボーカルが最良のバランスで完成されたからでもあると思う。

@tpopsreryo:
確かにその2曲は集大成っぽいですよね。「SHADOW PARADISE」は陰の面での集大成かもしれませんが。PINKというか福岡ユタカの、という意味ですがw
なるほど。前回の反省から修正してきたってところでしょうか。(ワタシはリフレインも悪くは思ってないけどねw)メリハリの差は大きくなったような気がしますね。そこにある種のせめぎ合いが生まれて、次への予感が芽生えているというか。

@junnovi:
だってここまでセンスがあって、あれこれ楽器や歌を通じて卓越した表現ができる人たちが、自己主張を盛り込まずして、せめぎ合いが生じずして事態が収まるはずはないと思うもん。『CYBER』以降の空中分解は彼らの豊かな才能ゆえの必然だったと思う。

@tpopsreryo:
これ言ったらダメなんかもしれないけど、個性が強過ぎて才能のぶつかり合いが・・・とか言ってても、やはり3rdまでのPINKは福岡ユタカとそのバックバンド(異常に巧いけど)なんですよね。曲もほとんど彼が書いて。だから彼の世界観が第一で、彼こそがPINKになってる。

@junnovi:
そうやね。全くその通りやと思う。彼らの音楽が精神的にしんどい時とかに聴きにくいのは、曲のあちこちにあれこれ盛り込んだ才能や個性が受け止められないからだと思う。彼らの音楽を楽しむには、こちらのコンディションもそれなりに良好でないと難しいと。

@tpopsreryo:
そこにはホッピーも岡野も気づいていて、それがCYBER以降のやりたい放題につながっていくと。まあこれは改めてここで述べる必要はないわけですが。ではそろそろ1曲目いきますか。

@junnovi:
そこでストップを入れなかった(入れたのかもしれないけど、アルバムなどの形としては残らなかった)筒喉氏(福岡)はどういう思いだったんだろう。知る由もないけど。でも、1stで一通りのしたいことをさらったのであれば、当初の目的は達せられたのかも知れない。


1.「BODY AND SOUL」

 作詞:宇辺セージ 作曲:福岡ユタカ 編曲:PINK

@tpopsreryo:
では、1曲目「BODY AND SOUL」。幕開けにしてはスピードもユルめで落ち着いた曲で来ました。そこには3枚目の余裕と深みが感じられますね。板倉文がギターほかで参加していたりします。Bメロからの開放感あふれる展開はさすがですね。

@junnovi:
文ちゃん!もとい。この宇宙をたゆたうコズミックなラプチュアが中々好きで、これから始まる広大な宇宙の旅立ちを思わせる。この曲に至って歌詞の日本語や英語の音と、メロディ自体とがうまく融合する。それは井上陽水が狙う言葉の響き自体に音楽的調子をつけて曲の中で一体化したと思ってます。あとセンセの指摘の通りBメロの福岡の非常に伸びやかなボーカル、それをうまく支えるギターの細やかなプレー、そして次にやってくるサビの長い長いハイトーンボイス、そこにシンセのオクターブのスタッカートなストリングスのトーンがペンペンしてて好き。また、オーバーアレンジな混沌さも皆無で、非常に落ち着いた印象も良いです。特にリズム隊が売り物にしているドタバタ絡みもなく、曲として宇宙を目指す一貫性があり素晴らしいです。

@tpopsreryo:
宇宙というキーワードをよく使いますねw 確かに彼らのサウンドには宇宙が感じられる。実際の演奏には土着的な部分が多々あるんだけど、それは原始に遡るんじゃなくて近未来なイメージなんですよね。この曲も板倉文が民族楽器を持ち出しているのにイメージはフューチャーなんです。

@junnovi:
そうそう。でもさセンセ、実際はこのバンドについてはここでノーフューチャーだったわけで。なんか福岡ユタカをいたわってあげたくなったよ~。余計なお世話だろうけどw

@tpopsreryo:
この曲のサビは声が良く伸びますね。ていうかこのアルバム結構声が伸びてると思うんです。気持ちよく歌ってる。充実感がひしひし伝わってくるんですよ。岡野やホッピーを尻目にw

@junnovi:
そう!その尻目!w この曲の最後ではとうとう宇宙とエスノの融合に成功します。唯我独尊状態なボーカルのフェイクと筒喉ボイス。んあっ、稀有な音楽体験です。ここまでの役者を向こうに回して泰然と陶酔する(統帥する?)福岡氏も役者ですw

@tpopsreryo:
そしてその陶酔感覚はこのアルバムで頻出してくるわけですがw それでは次行きますよ。大好きな曲でしょw

@junnovi:
イヒヒ。ヨロシクです。


2.「NAKED CHILD」

 作詞・作曲:福岡ユタカ 編曲:PINK

@tpopsreryo:
では2曲目です。「NAKED CHILD」。言わずもがなの名曲ですね。強烈なリズム感覚で引っ張って来たPINKサウンドが1つの頂点に達した感のある見事な疾走感。

@junnovi:
これはね~スゴイね。言いたいことが山ほどある。センセの指摘どおり、従来から彼らの得意とするベースが前面に出て縦横無尽に歌いまくる曲。いつになく前のめりに攻める矢壁のドラム。無駄な動きや飾りを排して、ひたすら叩く、叩く、叩く。そのたゆまないスピードにBメロ後半から加速度を増してヒートアップなサビへ。曲のあちこちでわななくギターが、まさにコズミックであり救急車であり、じっと聴くことを許してくれない。そして最高潮は「裸のこぉどお・・・ぉおおおおーーーー!!」(爆)
もうこの雄叫びで私は「もう好きにしたら」と放り投げてしまうほどになる。1stからある典型的な焼き直しの系譜だろうけど、これは無駄な暴走なんかではなく、実に安定感とスリル感とが見事に融合した名曲なのです!
(キッパリ)

@tpopsreryo:
ご指摘のとおりこのアルバムのキモは矢壁アツノブのドラムですね。特にバスドラ。ドドドドドドドド。土足で踏み込んでくるかのような遠慮なしの直線的ドラミング。ゴリゴリベースとの絡み合いは絶品ですね。ギターは最初のカッティングからもう窪田晴男ってすぐわかっちゃうねw

@junnovi:
ホントに。ため息が出る。ここまで高次にハイブリッドな音楽表現も中々難しいと思うけど、やってのけてる。こういう曲って、でも、絶対にシングルとか、ヒットチャートとかの表舞台には出てこないよね。製作者側から出してこないというか。不思議。

@tpopsreryo:
やはりアルバム曲で名曲を次々と生み出すアーティストというのは信頼できるんですよね。かたやシングルでは名曲連発するけどアルバムではひねり過ぎてもったいないことになる人たちもいる。オリジナルラブやキリンジなんかはその種類ですね。それはそれで尊敬に値するわけですが。
確かにあの雄叫びはいろいろな状況の悶々とした何かを一挙に取り払うカタルシスを感じますねえ。正確にはアとオの中間の発音というか。(鼻にかかった声で)オァーーーーッ!って感じかなw この瞬間は何度聴いてもハイライトというか、うんやっぱりカタルシスだな。この言葉だ。

@junnovi:
あちゃーセンセ。私はその「若さのカタルシス」w、「Body Snatcher」まで取っておくつもりだったのに~(爆)
今思ったけど、このアルバム、福岡ユタカのそのアとオの丸め込んだような発音に象徴されるように、彼の雄叫びの暴風雨やね。私は大好きやけど、そういった意味ではホッピーや岡野ハジメが好きな人たちには余りなのかもね。

@tpopsreryo:
いや、多分ホッピーや岡野自身があんまりだったんでしょw
あはは、ゴメンね。使っちゃった。でもこの単語しかやっぱり思いつかんかった。では、そろそろ3曲目いきますよ。

@junnovi:
いえいえ大丈夫やで。それよか、若さのカタルシス、聴きたくなったよw てか2曲目なのにもう1時間経ってるよ~(泣)


3.「KEEP YOUR VIEW」

 作詞:吉田美奈子 作曲:福岡ユタカ 編曲:PINK

@tpopsreryo:では名曲の後の3曲目「KEEP YOUR VIEW」。先行シングルカットCMタイアップ曲です。CM曲ということでどんなんや〜って思ったら、ああこっちのタイプか〜ってw そうか、こっちを求めるか〜って考え込んじゃったのもよい思い出です。

@junnovi:
私としては何のコメントもない普通の曲で、時間が余っていない限りすっ飛ばす曲です(失礼!)。特段薬にも毒にもならない、後に何も残らないような薄くて遠い幻想的な曲。シンセが前面に出ていて霞みの向こう側の景色の描写。それにしては、福岡の歌が、意外に自分よりの立ち居地になっている気がする。これ以上は特に・・・

@tpopsreryo:
そのとおりです。引っかかりがない。彼らはその「引っかかり」で魅了してきたグループなので、それがなくなっちゃうと普通のロックバンドに堕ちる危険性をはらんでるんですね。特にこのミディアムテンポになると歌謡テイストが強くなって、そして岡野やホッピーがむくれるとw

@junnovi:
福岡ユタカの書く曲って独特だけど、どこか均整が取れてて秩序立ってて、好きなんですわ。どこかバロック音楽のにおいがするんよ。対して上記のお二人はそういう古典的なにおいはない。


4.「LOVE IS STRANGE」

 作詞:宇辺セージ 作曲:福岡ユタカ 編曲:PINK

@tpopsreryo:
では次いきます。4曲目「LOVE IS STRANGE」。3rdアルバムには好きな曲が3曲あって、その中の1曲なんですよこれ。PINK4曲目名曲説を唱え始めたくらいで。その後その説はもろくも崩されるわけですがw

@junnovi:
センセの前のコメントの通り、アップテンポでないとこのバンドの良い個性が発揮できない典型例だと思う。典型という意味ではまさに焼き直しの曲の典型なんだろうけど、こういう曲が嫌いじゃないからPINKというバンドの音楽を聴いている自分を自覚する。
決して上品でもないし落ち着いてないし、騒々しいこと限りない。高校生の頃からサビの「ピーマン・ワーン!」とお店で注文しているようにどうしても聞こえてしまうフレーズが気になるw そして何より1番のサビのあとにシンセと福岡ユタカとのユニゾンがあって勢いのスゴさと漲るパワーに聴いてるこっちも熱くなる。ここでは福岡の声は完全に1つの楽器と化している上に、いつになく歌にきばりが入っていて、私もンコがしたくなる。ンコンコw エンディングもサイレンと叫びの激烈なビートでしめくくる。潔いですわ~。どこまでも攻撃的で素晴らしい。

@tpopsreryo:
ピーマンw やはりこの曲のハイライトはあの間奏でしょうね。サビ終わりからフェイクにつなげる強引さ、それにシンセソロが乗っかって、さらにメタリックなシンセ音をかぶせてくるという、これぞ勢いとセンスの成せる業でしょう。ラストのフェイクの投げ捨てっぷりもステキw

@junnovi:
いやーこの終焉に向けつつある時期のはずなのに、この仕上げっぷりには感嘆します。うるさいこと限りなしだけど、元気な時に聴いたらユンケル効果が期待できるほどやねw

@tpopsreryo:
まずこのグイングインのベースは岡野フレーズの真骨頂ですね。イントロのキレのあるシンセで攻撃性を増し、窪田晴男が独特の節回しでギターテクを披露、福岡の声にかけるリバーブの調整具合も絶妙だと思います。

@junnovi:
窪田晴男って良いギタリストだよねぇ~。ホントに。でもパール兄弟は一切聴かない私w

@tpopsreryo:
パール兄弟はサエキさんがダメなんでしょ?w

@junnovi:
うっ。正鵠w


5.「SCANNER」

 作詞:近田春夫 作曲:福岡ユタカ 編曲:PINK

@tpopsreryo:では5曲目です。「SCANNER」。これはリズム優先の、でも音はシンプルにという結構異色な感じがした曲でしたね。これに合わせて歩くとどんどん早歩きになってしまうというw

@junnovi:
この曲はね、最初にある「ウラッ、アタッ・・・」っていう福岡ユタカの寝言のようなひと言がとても重要で、それで引きずり込まれるのです。「ネコ、あっち行け!」みたいな寝言です。そして吐いて捨てるような流し目がこっちに飛ばされたようで、何とも邪険でよろしw

@tpopsreryo:
あのね、この曲シンプルが故にこのリマスターで結構1つ1つのパートがはっきりしているような印象があるんですよ。渋谷のギターとか、後半は福岡ユタカがもう自由過ぎるくらいやりたい放題やってる中で、結構おもしろいフレーズ弾いてたりするのね。リマスターは渋谷の為なのかも?

@junnovi:
そして目覚まし時計のネジを巻き上げるような音のあと、「ピーパッ、ピーポッ、パッパーパ」というシンセの奇天烈なフレーズが始まって、曲の全容が見えてくる。センセの言うとおり、この曲がアルバムの中で特異かも知れないけど、最もサイコやんな。

@tpopsreryo:
そうホッピー神山がゲームのようなチープ音色を使ってもう目まぐるしいくらい自由に弾きまくっているのですよ。福岡がアレなのでもう遊んじゃえっ!みたいな。それに対して岡野のベースのやる気のなさといったらw なんかどこか気合いが抜けてるというか、前曲に比べるとねw

@junnovi:
この曲についてはセンセが最初に指摘したとおり2拍子の曲で非常にスピーディーに曲が進行するので、ベースとしては軽妙に動けなかったというのがあるんじゃないかなぁ。あと、この曲といえば、当時家で聞きながら寝てたらアニキが「おかーーーん、またコイツ、ヘンな音楽聴いてるでぇ~~~!」とチクってたのを思い出します。そんな風に私の聴く音楽を片っ端からバカにしていた兄だが、その後PINKは私以上に聴くことになる。
おバカ〜!w

@tpopsreryo:
アニキw でもね岡野って同じようなテンポの「Don't Stop Passengers」とかではちゃんと音の粒がたってるのに、この曲なんかくぐもってるというか弱いんだよ〜。やっぱやる気ないんだよ〜w まあ、これ以上はキリがないので後半戦いきますよ!

@junnovi:
あ、でも私「Scanner」はかなり好きだけど、「Don't stop passengers」はかなりキライやでw 何が違うんでしょ。って話を蒸し返さないッ。


6.「SHADOW PARADISE」

 作詞:吉田美奈子 作曲:福岡ユタカ 編曲:PINK

@tpopsreryo:
さあ、後半戦いきます。6曲目。「SHADOW PARADISE」。一気に民族色強くなってきました。どんよりした、「Secret Life」系の曲ですけど、ドラムの音響とかもあって深みがどんどん増していくなあと。

@junnovi:
この曲は、霧のかかった静かな湖面をすぅ~っと滑っていくような情景を思い浮かべてしまう。Bメロは口馴染みがとても良くて、PINKの3rdで歌うとすると結構な確率でこの部分が出てくる。福岡自身にも安定した音程を出せる得意の音域のようで、この音域を集中的に行きつ戻りつしてサビまで突っ切る。間奏はどこか鏡面を使って魔法をかけるようなアラビアンナイト。

@tpopsreryo:
おっしゃるとおりB面の音とメロディの広がり方が素敵ですよね。これまでに使わなかったピアノや笛っぽい音色とか意図的に使って雰囲気が変わりましたね。若林忠宏をゲストに呼んだのもそういうことなのかも。実は若林さんの妹さん(マリコwithキュートの若林マリコさん)にブログでコメントもらったことあったりしますw
ただこのどんよりどっぷりしたエスノワールド、聴けば聴くほど福岡ワールドに染めていこう、そして岡野(とホッピー)必死の抵抗っていう図式が映ってしまうなあw

@junnovi:
このあたりになると正直言葉を紡ぎ出すのが難しい。私自身そこまで好きな音楽観じゃないというのがあるから。やっぱりサビの繰り返しは多いし、とんがった個性同士の、前向きな凌ぎ合いがないから、自分がこのバンドに求めるものが見出せないからかも知れない。


7.「BODY SNATCHER」

 作詞:福岡ユタカ 作曲:福岡ユタカ・ホッピー神山 編曲:PINK

@tpopsreryo:
では次の曲、7曲目「BODY SNATCHER」。再びきましたよ、疾走カオスな名曲がw 遂にホッピー神山が共作曲に加わって、随所に彼らしいフレーズを見せつつも、やっぱり福岡ボイスに蹂躙されるというw

@junnovi:
これも典型的なPINKお得意なスタイルの曲だけど、ゴキゲンな福岡の歌と呼応してスパイスのように加味されるホッピーのシンセの合いの手が実に小気味良くて、ベースも気張りに気張ってて、そりゃあ福岡のフェイクもいよいよしゃっくりを起こしたような飛び跳ねっぷりで益々ゴキゲン! Bメロからコズミックな空間世界を表現してるけど、何より間奏が白眉で、ガムランがとうとうこの曲で全開する。ここはバリ島?w 間奏ののっけから、金銀の鼻輪や眉間のポチを塗った福岡がスタジオで絶叫しながら踊り狂ってるかのようw 大好き!w 火を吹き、ロケットが打ち放たれ、象さんが着飾れて、たわわに実った豊穣な果実を結わす土地への賛美、エントロピーが増大し、何でもアリの世界がこの間奏では表現されてる。宇宙とガムランの融合。ユニバース! それまでの突っ走る感じのPINKのお得意の曲から、福岡の第一声「ぉあ~~~~~~~~お~~~~~~~!!!」で一気にやってのけた。そして「フランバンバンバ、ピウバボーーーッ!!!」ああもう!w
私の中でPINKの最大のハイライトですな。

@tpopsreryo:
詳細な熱のこもった解説ありがとうw ここまで書かれたらもう言うことないわw 確かにあの間奏はカオスだわな、恐らくこれが最後にPINKだったかもしれないね。ベースもシンセも声も生き生きしていて、高揚感が伝わってくるねえ。じゃあそろそろ最後の2曲行っていい?

@junnovi:
ええよセンセw この福岡ユタカの間奏での第一声についてコメントするのが私にとって最も大きなカタルシスなのですから。何という説得力のある雄叫びだろう。ボーカリスト冥利に尽きるねぇ。それに対してロケット打ち上げちゃってるんだもんねぇ~。やりすぎやってw


8.「SLIP INTO FIRE」

 作詞:吉田美奈子 作曲:福岡ユタカ 編曲:PINK

@tpopsreryo:
では本当の8曲目、「SLIP INTO FIRE」。必ず1曲入れてくるタイプのバラード。なんかこう、熱が冷めたような感覚ですよね、祭の後の喪失感というか。うーん、退屈です。ただ単純に、好みじゃないですわw

@junnovi:
全曲から一転、静寂へ。ある意味ワンパやねぇ。今度は引き算の音楽なんだろね。とにかく前曲で最大の盛り上がりを見せたので「Shadow Paradise」とあわせて緩徐楽曲を持ってくるわけで。Bメロのマーチのリズムの部分が柔らかなのに厳かさも感じられて、心に引っかかる。対してサビは食傷気味なフレーズ。こんなところです。それ以上でもないしそれ以下でもない感じ。

@tpopsreryo:
もうね、本当に語ることがないのこの曲。3rdまでの中では最も受けつけないタイプなんだよね。それほど見せ場もないしなあ。箸休めだね。だから余韻もなく最後の曲いきますw

@junnovi:
了解。私も異論なしですw


9.「ELECTRIC MESSAGE」

 作詞:宇辺セージ 作曲:福岡ユタカ・ホッピー神山 編曲:PINK

@tpopsreryo:
それではラスト9曲目「ELECTRIC MESSAGE」。これも福岡&ホッピーの共作。ああ、ロック調・・・と思ってたらこの曲に限ってはサビは好きな方で、そこから間奏にサスペンチックになだれ込む感じが美しいなあと。

@junnovi:
確かにロック調。オーイェーって言ってるしね。ただ、この曲については、まず前奏のところについて触れたいんです。私は以前から1拍目に何かしらインパクトを入れる曲が好きで、この曲も1拍目でガガン!とぶつけてくるので結構好きですねん。2拍目や4拍目にアクセントを入れるのは当たり前なんだけど、1拍目にアクセントや何やら独特な音型を執拗にぶつけてくるのは意図的でないと出来ないだろうから、その貫きざまが何とも心地良くて。この曲の場合はメタリックな音色を潔くぶつけてて、胸のすく思い。メロディラインはやっぱりアメリカンやし、センセの意見と違って、私にはサビは内容が薄くてしんどいんよね・・・。ただ、間奏はアルバム最後の宇宙との交信をする福岡に「拍手を送るyes,yes,yes」w 今回はそこに硬質なベースラインと、シンセのGがグッとかかって、中々しんどいロケット飛行を実況w 楽しい実況やね。

@tpopsreryo:
この曲はロック調だけあって渋谷が無理してロックギター弾かされてるから可哀想になってきてw 結局これをもって脱退してしまうしね。とにかく3rdまでの渋谷再評価というのがワタシのPINK BOXへのモチベーションの1つとなっているので。この曲で1つの〆だなあ。


〜エンディング〜

@tpopsreryo:
それでは本日のまとめといきましょう。ワタシとしては、福岡ワールドが膨張し過ぎた結果、岡野とホッピーに危機感が生まれてしまい、渋谷がついていけなくなって脱退みたいな、グループとして高みに上ってきた結果のターニングポイント的作品じゃないかと思いますね。

@junnovi:
私の中ではそこまで危機的なニュアンスを感じなくてエスニックとユニバースとの高次な融合というのが総括として思います。危なっかしさよりも融合とか陶酔とか、そういうものに目が行ってしまう浅薄な解釈かも知れないけど。

@tpopsreryo:
サウンド的にはね、エスノが全開になって宇宙感覚も集大成に向かってるんだけど、やはりね、その行き過ぎた感覚は危なかしさと同居していると思う。頂点を極めたジェットコースターで堕ちていく直前的な。ワクワク感の先にある何か。この作品はだから集大成であり転換点なのです。

@junnovi:
あ~でもどうだろ。特に1stあたりでは抑制の効いたところや知的な計算とか駆け引きがあって、それがプロを感じさせる部分があったけど、この3rdに至っては、遠慮や計算とかのたがが外れて、やりたいことをやりたいままにやってる部分が前面に出てるもんね。

@tpopsreryo:
でも結局やりたいことをやりたいままにやってるのは福岡だけだったのかもしれないw その危うさなんだよね。まあそうしたPINKのサウンドが好きだったわけだけど。だから福岡ユタカ&PINKという印象なんだよね。

@junnovi:
そうやねぇ・・・。でもそれを大半のPINKのリスナーは求めてたんじゃないのかな。
商業的にはこの3rdが一番売れたのかな?CMのタイアップもあったし。実際私自身もこのアルバムが一番良く聴いたし、2曲も代表曲があるし。ただ今回のリマスターBOXでは、1stの良さと2ndのリフレインだけじゃないことが判ったりで考えがシフトしてる。

@tpopsreryo:
それぞれの個性が絶妙なバランスで保っていたところが福岡のある種の覚醒によって瓦解した結果、次作以降へつながっていくと。ワタシは福岡ユタカが突き抜けたからこその終焉の始まりだったと思うんですよ。

@junnovi:
そうだ、ジェットコースターの譬えで思い出した!1st時に3rdの日に書こうと思ってたことを、今思い出したよ。予感や予兆について。1st全体や、2ndの一部では、曲のどこかに閉じられていない部分があって、それが大概、未来に向けての予感や予兆だった。
そういう期待感みたいなものが1stや2ndの一部をより一層魅力的に聞こえさせてたと思う。制作者にはそういう意図はなかったかも知れないけど、私はその「隙間」というか「閉じられていない穴」が案外大切なファクターだと思うんよ。リスナーが自分勝手に埋める部分。
そういう部分がこの3rdにはなくなってるなぁって今回のレビューをする時から思ってた。だからリスナーとして付け入る隙がない分、向こうからの一方的な流ればかりになるために、聴くのには体力が要るし、自分勝手楽しみ方がしにくくなったと。作品の完成度と背中合わせ。
この「未来への予感」と作品との完成度との二律背反は、ほかのどんなミュージシャンにも言えると思う。充実した内容になった分、面白くなくなるみたいな。

@tpopsreryo:
そうだねえ。完成度が高い作品が生まれた後は、その次が不安になるよね。そこを突き抜ける力を持つミュージシャンは一握りしかいないから。では今日はそろそろこの辺にしましょうか。

@junnovi:
ありがとセンセ。お疲れ様でした。今日は殆ど私が爆走しましたねぇ。センセのコメントはいつになく冷静だし少なかったけど、不完全燃焼になってない?

@tpopsreryo:
いや、そんなことないよ。3rdの評価ってこうなのよ。1stや2ndよりも冷静に見てしまう、やはりその後の行く末がわかっちゃってるからの・・なのね。あと、余り長くならないように調整したかったこともあるけど、結果はこんなになっちゃった。アハハw

@junnovi:
いやはやスイマセン。この3rdは特に良く聴いたし、兄にいじられた思い出もあってw、思い入れが強くてねぇ~。次回からは短くなるかな?何にせよ、お疲れ様でした。ではこの辺で。あでおす。

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