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TECHNOLOGY POPS的感覚で選出する「平成」ベストアルバム100:Vol.0【序章】

 TECHNOLOGY POPS π3.14です。本家共々この別邸もご愛顧いただきありがとうございます。昨年は土屋昌巳のクロスレビューや、遠藤裕文さんへのインタビュー、jellyfish TYOの再発配信記念特集など、相変わらずニッチな活動をしてまいりましたが、今年もここでは自己満足なアーカイブを残してまいりますので、何卒よろしくお願いいたします。

 さて、2010年代も終わりまた1つのディケイドが始まったわけですが、そうなると2010年代ベストアルバム企画みたいなものが界隈を賑わしていることと思われます。当然WEBの隅っこで淡々とレビューを書き続けている私も喜んでそういう企画に乗りたいところですが、この10年代はSNSの発展に伴って年間ベスト企画が恒例のものになっていたりで、10年代ベストは過去を掘り起こせば良いわけで、今更感が漂ってしまいましたので、ここはひとつ、「平成」(1989年1月8日〜2019年4月30日)という膨大な枠で100枚のアルバムと100曲の楽曲をそれぞれ選んでみようかと思い立ったのが、昨年の年初でした。そこで大いなるモチベーションをもって選定に入ったわけですが、これがまあ予想通りと言いますか、平成といっても30年間ですのでその膨大な作品数から選定するなんて非常識にもほどがあるわけでして、難航を極めまして当然のことながら選定に1年間かかりました。その候補作品はinstagramでジャケを紹介し続けましたので、そちらをご参照いただければと思いますが、予め絞りに絞った300枚超の候補作品を再度聴き続けてきたわけですから、そりゃ1年はかかるわなってことです(本業もあるし、本家も更新するし、noteで特集もするし、新譜も聴くし、その他の趣味もあるしでとにかく時間がなかったんですよ)。

 というわけで、まずは平成のベストアルバム100枚を選定させていただきました。しかし、これは別に単なる個人的な趣味による選定です。いわゆる個人史ですので、平成の音楽シーンを総括するものではないことをまずはお断りしておきます。そういうものはプロの音楽ライターの方達や音楽誌の特集記事にお任せいたしましょう。それは個人レベルの選定では無理な話です。そこで個人史と割り切った上で、個人的にある基準を設けました。それは「TECHNOLOGY POPS的な観点から一般的な評価とその作品が持つクオリティに差があるのではないかと思われる作品」を優先的にランキングさせていただきました。既にいろいろな媒体で名盤として語られているアルバムは、そちらで十分に語られていますし、そういうのを期待されているわけではないでしょう。しかしランキングが低かったり、ランク外の作品が駄作というわけではありません。この世に駄作というものはありませんし、それは個人の趣向に合わなかっただけですので。そして今回ランクが下の作品は、個人的に一般的評価として妥当であると考えているものです。対してランクが上の作品は、一般的にまだまだ再評価が必要であると考えるべきもの、一般的評価と私個人の評価が乖離している作品となります。
 というようにグダグダと述べておりますが、要は個人の趣味として好き勝手にランキングしているだけですので、結局は気楽に読んでいただくのが一番ということですね。

 そんなわけで前置きが長くなりましたが、今回は序章ということなので、惜しくも100枚に入れることができなかった作品をさらっと上げ続けていきたいと思います。150位〜101位まで。タイトルとジャケと一言とちょっとしたリンクという素っ気ないものです。100位からはしっかりと述べていきます。それではお楽しみください。



150位:「永遠と瞬間」 武藤彩未
    (2014:平成26年)

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80’s歌謡メロディに現代風エレクトリックサウンドを施して果敢にソロ歌手として挑戦し新風を巻き起こすデビューアルバム。


149位:「BACK TO THE FUTURE MUSIC」 エイプリルズ
    (2010:平成22年)

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先鋭的なエレクトロにシフトしながら歌心を忘れない渋谷系の遺伝子を引き継ぐ男女ツインヴォーカルバンドの自信作。


148位:「Festa Manifesto」 福間未紗
    (1999:平成11年)

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前作・前々作から一転テクノサウンドへ大胆にアプローチし独特の宇宙観を垣間見せた4thアルバム。


147位:「FAMILY DAYS」 YMCK
    (2013:平成25年)

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チップチューンの代表的ユニットが8bitで癒し空間を形成したシンプルだが心温まる好作品。


146位:「テクノカラー」 デジタルス
    (1996:平成8年)

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恐ろしいまでのテクノポップパロディ!北海道で培われたアマチュアテクノ精神の権化的問題作。「オブジェクト行進曲~ボインもむチャック君(予告編)」 は最高の出来。


145位:「完全驚異」 BRAIN DRIVE
    (1992:平成4年)

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粗いギターとリズムが熱い!勢いのまま突っ走るデジロックユニットメジャーデビュー盤。


144位:「TECHNO the FUTURE」 Zunba Kobayashi
    (1999:平成11年)

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元宇宙ヤングのコンポーザーがテクノポップ趣味を惜しげもなくさらけ出した一大宇宙旅行絵巻の決定版。


143位:「PROGRAMUSICA」 3dl 
    (1989:平成元年)

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前作を踏襲しつつより親しみやすいメロディを重視したサンプリングPOPSを聞かせるエレクトロPOPSトリオの2ndアルバム。


142位:「See you, Blue」 (((さらうんど)))
    (2015:平成27年)

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曲者エレクトロクリエイターをゲストに迎えますますエレクトロシティポプ道に磨きがかかった完成度の高さ極まる3rdアルバム。


141位:「Lamb Charmer」 8分のバニラ
    (1996:平成8年)

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摩訶不思議なコンセプトとニューウェーブサウンドがリスナーを置き去りにした男女ユニットの問題作。


140位:「星がみちる」 星野みちる
    (2013:平成25年)

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秀逸なコンセプトに支えられ80’sシンセポップ路線で独自の立ち位置を模索するアイドル系シンガーソングライターのデビュー盤。


139位:「Surfbank Social Club」 一十三十一
    (2013:平成25年)

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過剰にバブリーな80年代を意識させながら当代実力派クリエイターによる軽快なトラックが魅力的な夏の名盤。


138位:「My Name Is」 SPANK HAPPY
    (1994:平成6年)

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個性的な3人の才能がPOPSを土台にぶつかり合う!裏ドリカムと呼ばれたトリオバンドのデビューアルバム。


137位:「サイエンスの幽霊」 平沢進
    (1990:平成2年)

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前作路線と同じく民族的アプローチを見せつつテクノ帰化への前兆を感じる2ndアルバム。


136位:「V/A」 GOATBED
    (2009:平成21年)

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活動休止も1年で復活!音楽性も不変で泣きのニューウェーブで攻めまくるストイックなソロユニットの5thオリジナルアルバム。


135位:「YEN」 福岡ユタカ
    (1993:平成5年)

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おなじみのクセ者演奏陣をバックに個性的なボーカルを重視したAOR的な最後のPOPS作品。


134位:「Weather Forecast」 Bambi Synapse
    (1996:平成8年)

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電子音の海で泳ぐ感覚?アンビエント感覚の幻想的POPSが印象的な前衛ユニットの1stアルバム。


133位:「AHEAD!」 脇田もなり
    (2018:平成30年)

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格段に楽曲のレベルが向上!冗談伯爵を中心にバラエティ豊かでキャッチーなポップチューン満載の昇り竜のごとし2ndアルバム。


132位:「Little Gang Of The Universe」 INSTANT CYTRON
    (2000:平成12年)

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さらにアコースティックなおもちゃ箱ミュージックに進化した極上POPSに仕上がった名盤3rdアルバム。


131位:「優しい繋がり」 The END of the WORLD
    (1995:平成7年)

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声楽出身のまっすぐなボーカルに鴨宮メロディが切なく絡み合うPOPSデュオ唯一の作品。


130位:「TIDE」 HALO
    (1990:平成2年)

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前作を継承しつつケチャの導入等声を重視したサウンドメイクが話題を呼んだ2ndアルバム。


129位:「たったひとつの贈りもの」 松浦有希
    (1991:平成3年)

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ヨーロッパ感覚溢れるメルヘンPOPSに緻密なアレンジが興味深いシンガーソングライターの2ndアルバム。


128位:「Time Passenger」 土屋昌巳
    (1989:平成元年)

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行き着いた先は中近東!3部作最後は最もアラビアンロックな大人の名盤。


127位:「Paintings of Lights」 新川忠
    (2015:平成27年)

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最小限のシンセサイザーとリズムボックスで作り上げた透明感と癒し溢れる80年代型家内制手工業式シティポップの名盤。


126位:「NONA REEVES」 NONA REEVES
    (2002:平成14年)

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古き良き時代のディスコ&ポップミュージック!抜群のセンスを発揮した実力派バンドの名盤。


125位:「POP KING」 オカノフリーク
    (1996:平成8年)

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覚えやすく心を撃つメロディ!ユニット史上最もポップな楽曲の数々を集めた自主制作の名盤。


124位:「Sine Wave Orchestra」 FLOPPY
    (2006:平成18年)

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電子音の洪水に切ないメロディ!ヴィジュアルとは裏腹にシンセポップへの愛情が満載の2ndアルバム。


123位:「i love 'Love Generation'」 詩人の血
    (1993:平成5年)

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躍動感のあるグルーヴ!70年代POPSの匂いも感じさせる珠玉のPOP集にしてラストアルバム。


122位:「Harlem Wonder Parade」 富樫明生
    (1989:平成元年)

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圧倒的なボーカル力と強烈なリズムが刺激的なM.C A.Tのソロ時代真っ黒なデビュー作。


121位:「ACCESS II」 access
    (1993:平成5年)

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侮れないシンセサウンドの洪水!意外と力強い典型的シンセポップの世界を構築した意欲作。


120位:「ワーキングウォークマン」 goatbed
    (2005:平成17年)

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シンプルにエレクトリックポップを追求していく80年代ニューウェーブの伝道師が率いるグループのメジャーデビュー作。


119位:「Long Long Way Home」 鈴木祥子
    (1990:平成2年)

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落ち着きのあるアコースティックサウンドに確かなメロディセンスを発揮した癒し系傑作アルバム。


118位:「砂漠の熱帯魚」 鈴木トオル
    (1989:平成元年)

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ボーカルを最大限に生かした鮮やかなオーガニックサウンド!LOOK脱退後のソロデビュー盤。


117位:「箱庭ノート」 kukui
    (2007:平成19年)

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癒しボイスとデジアナサウンドがファンタジックな世界観を彩る充実のデビューアルバム。


116位:「Brain Drive 4 Life」 BRAIN DRIVE
    (1999:平成11年)

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近未来的サウンドと共にメロディの質が向上!ソロとして復活したデジロックユニットの傑作。



115位:「鳥と魚」 村上ユカ
    (2013:平成25年)

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前作のバンドサウンドから9年ぶりに原点に戻りテケテケプチテクノポップが冴え渡る満を持した4thアルバム。


114位:「claire」 花澤香菜
    (2013:平成25年)

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人気声優特有の声質を生かすために結集した渋谷系人脈が丹精込めて作り上げた渾身の名盤。


113位:「metafysik」 eufonius
    (2007:平成19年)

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転調を重ねた透明感溢れるメロディが美しいファンタジーPOPS界が満を持した名作。


112位:「KARAJAN」 荒木真樹彦
    (1991:平成3年)

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よりエロくよりハードに!分厚いサウンドながらメロディと軽いギターは健在の充実の3rdアルバム。


111位:「カオスでいこう!」 白井良明
    (1992:平成4年)

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ハードなギターに軽妙なハウス!豪華ゲストを迎え派手に攻撃的なサウンドを披露した名作。


110位:「fine」 かの香織
    (1991:平成3年)

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ショコラータの歌姫が見事に転身!癒し系おしゃれPOPSを担う爽やかなソロデビュー作。


109位:「Post Production」 overrocket
    (2003:平成15年)

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前作路線を踏襲したポップな作品を集めた現代的シンセサウンドの見本市的傑作。


108位:「Popdanische」 米村裕美
    (1994:平成6年)

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新しいアレンジャーを迎え心機一転!明るく躍動感あふれる作風に進化した4thアルバム。


107位:「Paper Driver's Music」 キリンジ
    (1998:平成10年)

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綿密に計算された歌詞・メロディ・サウンド!珠玉のPOPSを創り出す新世代ユニットの名盤1stアルバム。


106位:「おうちが火事だよ!ロマンポルシェ。」 ロマンポルシェ。
    (2004:平成16年)

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外部クリエイター起用によりサウンドが劇的に変化!元来の美声が生かされた傑作アルバム。


105位:「THE TEETH」 THE TEETH
    (2019:平成31年)

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時空を超えて甦るノスタルジックなメロディライン!佐藤清喜が手塩にかけた無名ギターポップユニット幻のミニアルバム。


104位:「Ecce H'omo」 水谷紹
    (1992:平成4年)

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全体的なイビツさ加減はそのままにどこか内省的な雰囲気を醸し出した2ndにして名盤。


103位:「PEVO(Convex and Concave)」 PEVO
    (1996:平成8年)

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PEVO星の宇宙人音楽?DEVO的テクノポップを意味不明の造語歌詞で歌う覆面ユニットの1stコンタクト。


102位:「ファースト・フライト」 井上ほの花
    (2016:平成28年)

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古き良き80’s歌謡のファンタジックな世界をカラフルで細部を極めた美メロ&ラグジュアリーサウンドで綴る新人声優の短編アルバム。


101位:「NEXT PAGE」 face to ace
    (2016:平成28年)

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4年半を経てもその瑞々しいサウンドセンスは不変!ライブで鍛え上げられた微に入り細を穿つ珠玉のエレクトロニクスが他の追随を許さない名アルバム。


ということで、ざっと50枚挙げましたがこれらは次点ですので、本編は次回からです。次回からは20枚ずつの5回シリーズです。それでは近いうちにまた。


















































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