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エロゲーのゲームデザインを考える【ゲーム制作日記】

こんにちはtozicaです。
今日は火曜日!

この記事は、エロゲーとか作ってるクリエイターの制作日記です。
noteなので直接的なエロ表現はありませんが、えっちな話が苦手な人は気をつけてね。

注意書き

エロゲーのゲームデザインの類型化

ゲーム制作者ならみんな見てるであろう「桜井政博のゲーム作るには」っていうチャンネルがあるわけですけれども。
その中で桜井さんが何度も提唱している「リスクとリターン」っていう概念があるんですよね。
つまりリスクを冒してリターンを得るという駆け引きこそがゲームの本質である、と。

この理論、めちゃくちゃ合理的で好きなんですけど、これを見るたびにエロゲ―におけるエロ要素も同じような理論で説明できないかなぁって思ったですよね。
エロゲ―における「ゲームとしてのゲーム性とエロとしての実用性をどう両立させるか」っていう部分はすごく奥深くて、個人的にはエロゲ―制作における一番面白い部分だと思ってるんですけど、ここを何か一つシンプルな指針で表現することができると、今後のエロゲ―制作にとってもかなり有用なんじゃないかなーと。

そんなこんなで、エロゲ―のための理論みたいなのを今までもちょこちょこ考えてきたんですけど、昨日ひとつの結論みたいなものに辿り着いたんですよね。
なので、ここではちょっとそれを書き出してみようかなーと言うのが今回の記事のテーマです。

一言で言うなら、エロゲ―におけるエロ要素は大きく分けて2つの類型に分類できるのではないかと思ったわけです。

① ゲームが主、エロが従

1つ目は、ゲームが主でエロが従という在り方です。
ここでは前述の桜井さんの理論におけるリターンとしてエロ要素が使われていて、ゲーム進行のご褒美としてエロ要素が提示されることになります。
例を挙げるなら、脱衣麻雀とか、服が脱げていくタイプのブロック崩しとかがこの類型における典型例ですかね。

あとは、エロゲ―といえば昔は「エロシーンがあるテキストアドベンチャーゲーム」を指したものですが、これらのジャンルもこの類型に分類されると思います。
まぁ、当時のエロゲ―って割とエロシーンはおまけみたいな感じで、どちらかというとストーリーの面白さをウリにしてた部分が強いので、果たしてエロシーン目当てに遊んでた層がどのくらい居たかは微妙なところですけど…。
少なくともいわゆる抜きゲーはこの類型になりますね。

あと余談ですけど、全年齢向けのRPGでたまにある「めちゃくちゃ難しいダンジョンをクリアするとヒロインの水着衣装がゲットできる!」みたいなのも、本質的にはこの類型に当て嵌まる気がしますね。
ゲーム自体はエロゲ―ではないですけど、性欲によってゲーム進行のモチベーションが励起させられてるという点では同じかな、と。

② エロが主、ゲームが従

2つ目はさっきとは逆で、エロが主でゲームが従という在り方です。
この類型では、まず何か描写したいエロ表現があって、その媒体としてゲームを使っているという形をとります。

RPGツクールで作られているようなタイプのエロゲーの多くは典型的にこの類型に当て嵌まるものが多い気がしますね。
作品によってはゲーム性(リスクとリターン)も殆ど取り払われていて、キャラを操作できるというインタラクティブ性のみがエロ表現の臨場感を高めるために使われている…というゲームも少なくありません。

いわゆるリョナゲーにおいて、敵に敗北するとその敵に犯される演出がなされることがありますが、これもどちらかといえばこちらの類型に近いですね。
キャラが自分の操作によって敗北して、そのまま犯される…という流れは、臨場感を非常に高めてくれるものだと思います。

類型は二律背反ではない

2つの類型を上に挙げましたけど、これらの類型はどちらか片方にはっきり分類されるというものではありません。
むしろ殆どのエロ要素は多かれ少なかれ、どちらの類型の属性も持ち合わせているのではないかと思います。

例えば、敵である女性キャラを倒すとそのキャラのエロシーンが見れる、みたいな要素はまさにそのタイプですね。
ここでのエロシーンは、類型①における敵を倒した事に対する報酬としても機能していますが、それと同時に、類型②においても「敵を倒して犯す」というシチュエーションであるエロシーンの臨場感を高める形でゲーム側が機能している、と言えるわけです。

逆に「敵に負けると犯される」系の演出も、上では類型②の例として挙げましたが、類型①の要素が全く無いわけではありません。
先に進めば新しい敵に出会える(=新しい敗北シーンが見られる)というのは、間違いなくゲームを進めるモチベーションを高めるものとして機能していますし、また敗北シーンがある種の報酬として働くことで、負けたプレイヤーが感じるストレスを緩和する役目も担っていると言えるのではないかと思います。

まとめ

このように、エロゲーにおけるエロ要素は、ゲームそのものに対して主にも従にもなりうるものであり、そのどちらとして見るかによって類型化できることを示しました。

ゲームデザインにおける「リスクとリターン」の考え方と同様に、この類型化さえあれば最高のエロゲーが作れるというわけではありません。
とはいえ、何らかのゲームデザインを考えたときに、そこに含まれるエロ要素が上記の類型においてどんな効果なのかを整理してみると、そのデザインの良し悪しを評価するためのよい足掛かりにはなるのではないかと思っています。

いやあ、エロゲー制作って、奥深くて楽しいですね。

おしまい。

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