マジックのコンテストに出る方への7つのアドバイス(クロースアップ編①)

先日、JCMA(日本クロースアップマジシャンズ協会)が主催するマジックコンテストを久しぶりに観覧しました。若いマジシャンが純粋に努力し、切磋琢磨する様子は素晴らしいし、かけがいのないものです。僕自身もコンテストで育った人間ですし、いまなお、改めてマジックのコンテストを見ると色々と刺激を受けます。(普段はぶつくさと「もうそろそろマジックコンテストって根本的に見直さねばならぬのではなかろうか」とか色々言っていますが、それはそれとして・・・。)

僕も以前は色々とコンテストも出ていましたし、スタッフとして多くのコンテストの運営も行ってきました。コンテストに出るマジシャンの演技を作ったり、アドバイスをしたり、それなりにマジックコンテストに関わってきたように思います。そうした中で、初めてマジックのコンテストに出る人がつまづくポイントはいつの時代も変わらないなぁというのが正直な所です。変わらないのであれば、そろそろその部分は共通の知としてマニュアル化してしまった方がいいのではないか、という事でこの文章を書いています。

①運営、スタッフ、審査員に敬意を払おう。
今回紹介するアドバイスの中で、一つだけ実践するとしたらこれです。これが一番大事です。極端な事を言えば、マジックが上手い下手なんて事は些末な問題です。そんな事より、他人を思いやる気持ちの方が何十倍も大切です。
主催者やスタッフ、審査員はかなりの労力を割いてコンテストに関わっています。メリットがないわけではないでしょうが、それ以上にコンテストに挑戦するような熱意のあるマジシャンを応援したい、という気持ちが強いでしょう。金銭的、時間的なコストから考えたら割に合わない事が多いです。まずは自身が演技をさせて貰える場、審査をしてもらえる場を作った方々に敬意を払いましょう。時間が許すなら、キチンと挨拶をすると良いです。

②見える演技をしよう。
クロースアップマジックコンテスト、というのは名前ばかりで、決してクロースアップではありません。最低でも数十人はいる会場で演技をする事になります。下手すると100人以上います。こうした環境をクロースアップマジックと呼んでいいのか、という問題はありますが、事実こうした環境です。

普段”本当の”クロースアップマジックを演じているような環境とは似ても似つかない、という事です。3人に対してマジックを見せる場合は見せ方に気を付ける必要は特にないかもしれません。しかし、数十人に見せるとなると根本的に見せ方を変える必要があります。

例えば、
・テーブルにスプレッドしたカードは見えません。
・銀貨と銅貨の区別は付きづらいです。
・細いペンで書いた文字は読めません。
というような環境だ、という事です。上手い下手、ウケるウケない、面白い云々の前に見えていない演技をしている人が本当に多いです。まずは、きちんと見える、伝わる演技をしましょう。

③聞こえる喋りをしよう。
②と同じような事ですが、数十人に対して話す場合、ある程度大きな声で話す必要があります。マイクがある場合は極力使用した方が良いです。大勢に話しをする場合、普段の喋りより、大きく、ゆっくり話さないと内容が伝わりづらいです。一番簡単な方法はいつもより大きく口を動かして喋る事です。

④全身が見えていると意識しよう。
クロースアップマジックの場合、ついつい手先の技術に集中してしまう事があります。昨今は、手元だけをカメラで撮影して配信する機会も多いので、ついつい「腕から手」までが全てになってしまう事もあります。動画最適化させるのであれば構わないですが、「人前に出て演技をする」という事は、全身が見られるという事です。つまり、服装も、髪型も、靴も、表情も、姿勢も見られるという事です。それぞれをどのようにすべきか、という事は個々に考えていくべき課題ですが、まずは手元だけではなく全身が見られる、という事を意識しましょう。

⑤顔を上げよう。
マジックを演じるのに一生懸命になるあまり、ずっと手元を見てしまって顔を上げない、という人がよくいます。初めてのコンテストはとても緊張しますし、手元に意識が集中してしまう気持ちはとてもよくわかります。なかなか余裕を持って観客を見ながら演技をする、という事は難しいとは思います。それでもマジックの現象が一段落して拍手をもらう時は最低限顔を上げて客席を見ましょう。
この時、一瞬客席を見てすぐにまた手元に視線を映してしまう人が多いですが、一定時間顔を上げておいた方が印象が良いです。イメージとしては、写真を撮られる事を想定しましょう。「今、写真を撮られているんだ」と思うと動きを止めようという意識が働きますし、実際カメラマンの方が写真を撮っている場合が多いです。シャッターチャンスをきちんと作ってあげましょう。

⑥タネが見えないようにしよう。
何を当たり前の事を、と思われるかもしれませんが、②と同様の事です。普段演じている環境と違うので、いつも通りの演技だとタネが見える危険性が高まります。例えばいつもより角度がきついはずです。さすがに真横に人がいる、というパターンは少ないですが、正面からの角度チェックしかしていないと、上手側や下手側の観客からはよく見えている、という事が起こります。
またクロースアップマジックの場合、通常は観客の目線は自分の手よりかなり高い位置から見下ろすような位置関係が多いと思いますが、コンテストで自身が立って演じている場合、自分の手元が観客の目線と同じくらいの高さという事もありえます。この場合、普通にカードを裏向きで配るとカードの表面が観客からチラチラ見える、という事になります。ハーフパスなどカードの下で行う技法も普段の角度で行うと丸見え、という事です。

⑦一緒に出るコンテスタントとの繋がりを大事にしよう。
同じコンテストに出る参加者はライバルといえばライバルですが、それ以上に大切な仲間になる可能性が高いです。同時期に同じコンテストに出る人、というのはそれほど多くはありませんし、その中で5年後も10年後もずっとマジックを続ける人はさらに少なくなります。不思議なもので同じコンテストに挑戦した同士は、ちょっとした戦友のような気持ちになれます。同じようにコンテストに挑戦するような人からはたくさんの刺激を貰えます。


とりあえず7つ。そのうち加筆等々するかもしれません。

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