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超短編小説『ナンセンス劇場』009

【開眼】

「ぐわ! 参りました」

「お前には創意工夫というものが足りない。
 毎日している歯磨き1つとってみても、出来る人間ならばそこから何かを得るものだ。
 もっと精進せい」

==3か月後==

「ぐお~! ま、参った。
 なぜ短期間でここまで強くなれたのだ!?」

「言われた通り歯磨きを見つめ直すことで拳法の奥義を習得したのです」

「え? マジで? どうやって?」


【なんか怖い】

「夜中に聞こえてくるネコの鳴き声って、赤ちゃんの泣き声みたいでちょっと怖いよね」

「あれは赤ちゃんの泣き声だよ」

「違うわよ、ネコの鳴き声よ」

「いいや、赤ちゃんの泣き声だ」

「ネコよ」

「赤ちゃんだ…3日前に亡くなった」

「怖いの足すのやめて!」


【鶏肉マン】

「そこのサラリーマンさん、お疲れのようだね」

 サラリーマンが振り向くとそこにニワトリの顔したバケモノが立っていた。

「うわ! 誰だお前は」

「僕は鶏肉マンさ、疲れている君にこれをあげよう」

 そう言って鶏肉マンは胸から肉を引きちぎった。

「ぎゃ~! なにしてるんだ!」

「僕の胸肉には疲労回復物質であるイミダペプチドが豊富に含まれているんだ。
 これを食べれば疲れなんてあっという間に吹っ飛ぶよ」

「い、いや…いいよ…」

「なぜだ? なぜ誰も食べてくれないんだ?
 少しでいいから食べてみてよ、食べてみてったら」

「警備員さ~ん!」

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