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超短編小説『ナンセンス劇場』055

【感謝とアドバイス】

「手話の勉強始めてからどの位になるんだっけ?」

「1年ちょっとかな」

「結構使えるようになった?」

「日常会話位なら大丈夫だと思うよ」

「アケミって色々挑戦するよねぇ。
 あ、そうだ、頂き物のクッキーあるんだけど食べる?」

「今ダイエットしてるんだけど食べちゃおうかなぁ」

 2人でクッキーを食べていると隣の部屋から赤ちゃんの泣き声が聞こえてきた。

「ナオキが起きたみたい」

 そう言ってサトコは隣の部屋へ行き赤ちゃんを抱っこしてきた。

「おはよう、ナオちゃん」

 アケミが赤ちゃんに話しかけると赤ちゃんは「あ~あ~」と言って手をパタパタさせた。

「え!?」

 アケミの表情が変わる。

「どうしたのアケミ?」

「今ナオちゃんが話しかけてきた」

「話す訳ないじゃない。この子まだ6ヶ月よ」

 赤ちゃんは忙しなく手を動かし続ける。

「ほら、今も話してる。
 ・・・いつも、お母さんと、仲良くしてくれて、ありがとう」

「まさか・・・手話!?」

「あ、また違うことを話し始めた。
 ・・・ダイエットするなら、糖質は、控えたほうがいいよ」


【発覚】

「先生、バナナはおやつに入りますか?」

「う~ん、バナナはおやつに入れなくてもいいぞ」

「やり~」

「じゃあ先生、たくあんはおやつに入りますか?」

「たくあんはおやつには入らないぞ」

「くっ、やっぱりか。
 ババァめ、毎回毎回おやつだって言ってたくあん持たせやがって・・・」

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