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超短編小説『ナンセンス劇場』057

【一郎と二郎】

「おい二郎、食べ放題の焼き肉屋に行かないか?」

「僕は少食だから別の所で食べるよ」


「よ~し、3,000円分絶対に元を取るぞ」

 一郎はこれでもかと肉を焼き始めた。

「そういえば誰かが割り箸も割り放題とか言ってたな」

“パキッ、パキッ、パキッ”

「お客様、無闇に割り箸を割るのはお止めください」

「割り箸は割り放題じゃないのか。
 とにかく焼き肉を食いまくるぞ~」

一方、二郎はファミレスへ行き、1,500円のステーキセットを注文し、食べ終えると店を出て本屋へ向かい、1,300円で文庫本を2冊買い、最後にコンビニで200円のコーヒーを買って家に帰った。

二郎がコーヒーを飲みながら本を読んでいると一郎が帰ってきた。

「おえ~、気持ち悪り~、食い過ぎた~。
 でも元はしっかりと取ったぞ~。
 食い放題サイコー!」

 そう言って一郎はソファーの上にブタのように寝転がった。


【置き場所】

2人のサラリーマンが会社帰りに小さな居酒屋に立ち寄った。

「最近、薬の置き場所に困っててな」

「どうしてだ?」

「子供が勝手に救急箱を開けようとするんだよ」

「あ~、子供は好奇心旺盛だからな。
 じゃあタンスの上なんてどうだ?」

「置いたけど上って取っちまうんだよ」

 その時テレビからニュース速報が流れてきた。


“ニュース速報です! ただいま東京スカイツリーのてっぺんによじ登っている子供が発見されました!”


「ツトム!・・・・・・あそこもダメか・・・」


【ゾンビ VS 酔っ払い】

さぁ~ヨタヨタとゾンビがやってまいりました。
酔っ払いもフラフラと千鳥足でやってまいります。
機動力は互角というところでありましょうか。
ゾンビは一直線に酔っ払いに向かって歩いて行きます。
酔っ払いはゾンビに気付いていないのか明後日の方向に進んで行くぞ~。
さぁ、ゾンビが近づいてきました。
お~っと! ここで酔っ払いのゲロ攻撃だ!
先制したのは酔っ払いであります!
しかしゾンビ、まったく怯まない!
ゲロなどおかまいなしに酔っ払いに噛み付いた!
だが酔っ払い、アルコールのせいで痛さを感じていないようだぞ!
酔っ払いが「止めろよぉ、俺には女房がいるんだぞぉ」などと言いつつゾンビを離そうとするがゾンビは離れない!
ゾンビ、酔っ払いの喉仏を噛みちぎったぁ~!!

勝者:ゾンビ 1R1分48秒KO



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