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フジコ(Fujiko)の戦略から学ぶ

■快進撃のコスメブランド


 『Fujiko(フジコ)』は2015年創業の「かならぼ」(東京・渋谷 吉浜佳奈社長)が運営するコスメブランド。社員11人の新興企業ながら、大手を尻目に快進撃を続けているそうです。(日経MJ2019/10/18より)
 
 Fujikoは若い女性の小さな悩みをくみ取って商品開発し、「かゆいところに手が届く」ブランドとして支持を集めています。油分ゼロで化粧崩れしない「フジコシェイクシャドウ(税別1,280円)」は7か月で51万個が売れ、3日間消えない眉ずみ「フジコ眉ティントSV(同1,280円)」は累計250万本を売ったというからすごい。

 Fujikoというブランド名は「クラスの中でイケてる女子」というイメージだそうです。あこがれの同級生に近づきたい、でもちょっと何かが足りない。そんな女性がひそかに抱えるコンプレックスや悩みに寄り添うことが、商品開発の起点になっています。

 生産については韓国のOEM(相手先ブランドによる生産)工場に委託しているそうです。資金に乏しい新興コスメブランドが、これまでにないものを作ろうと依頼しても、手間がかかるために敬遠されがちですが、韓国の工場は「できるかどうかわからないけどやってくれる(吉浜社長)」というから心強い。ダメ出しを何度しても嫌がらずにスピード感を持って対応してくれるとのことで、さすがコスメ王国の韓国、という感じです。

 このFujikoの快進撃から抽出できる「学びポイント」を探ってみましょう。

【学びポイント1】自分たちが欲しいものを作る
 まず第一に、吉浜社長はじめスタッフたちが「自分たちが欲しいもの」「自分たちのテンションが上がるもの」であることを基準に開発をしていることです。自分たちがペルソナになっているので、何がイケていて、何がイケていないのかが分かる。購買力旺盛の若い女性がターゲットで、かつ自分たち自身がターゲット層と重なる、ということは、古くから現在に至るまで、成功するビジネスのひとつの「型」であるといってよいでしょう。

【学びポイント2】ターゲット層に直接ヒアリングする
 それに加えて、ターゲットのインサイトを外さないために、社長自身がオフィスのある東京・恵比寿周辺で「一人飲み」し、居合わせた女性グループに話しかけるそうです。「どこで男性と出会うの?」「婚活アプリではどういうプロフィールを書くの?」と女子トークで盛り上がるのです。これが調査会社を使った「定性調査・定量調査」よりも、ターゲットの真のインサイトに迫ることができるそうです。

【学びポイント3】女性はときめきが大事
 女の子がコスメを買うときは「ときめき」が必要だ、と吉浜社長は言います。Fujikoの商品は悩み解決型の商品ですが、悩みを解決できるとうたうと「悩んでいる」事実を突きつけることになります。それだと売れないので、パッケージやSNSで機能性をときめきで包み込み、きれいになれるイメージを打ち出すことに注力しています。

■学びの生かし方


 さて、最後にこのFujikoの成功から抽出した学びを、どうやって自分自身の仕事に生かすか、について考えてみましょう。

≪生かし方1≫自分をターゲットにする
 まず、自分をターゲットとしてビジネスを組み立てれないかについて検討してみてください。自分が困っていることやあったら嬉しいことを棚卸しし、今の自分のビジネスで解決できないかを考えてみましょう。自分が難しければ、自分の奥さん、両親、自社のスタッフなど、身近な人のニーズを探り、インサイトを見つけ出し、その解決を事業化できないかを考えてみる。

 Fujikoの例でもみましたが、ピンポイントな悩みだけど、その人にとっては重大で、お金を払ってでも解決したいと思っていることこそ、ビジネスの芽となります。逆言えば、技術的にいくら革新的であったとしても、ニーズに紐づかない商品やサービスはビジネスになり得ません。この点は技術志向の男性経営者が陥りがちなエラーです。

≪生かし方2≫顧客に実際に会い、1次情報を集める
 吉浜社長も言っていましたが、定量調査、定性調査にお金をかけるよりも、自分の足で集めてきた情報(1次情報)を起点に商品開発をしたりマーケティングについて考える方がよほど良いヒントが得られます。

 WEBマーケティングに長けた私の友人の経営者は、WEB経由で注文を請けた顧客にリアルで会いに行き、1次情報を集め、マーケティング活動に反映させて業績を伸ばしています。実際に会って話を聞くと、その人の深いニーズ、使う言葉、カスタマージャーニー(顧客がどんな行動をして購買に至ったか)などについて、肌で感じ取ることができます。まず自分の顧客、あるいは想定する顧客層に対して、率直に話を聞いてみることから始めてみてください。

≪生かし方3≫女性には「その後」の世界を見せる
 そして、ときめきについて。もしあなたが女性をターゲットにしているのなら、悩みや問題点を直接突きつけてはいけません。悩みの解決を起点にビジネスモデルを組み立てることは重要ですが、販売するときには「その後の世界」を重点的に見せることを強く意識してください。その商品を使うと、自分がどのくらいハッピーになれるのか?が伝わると、売れやすくなります。例えばリフォーム会社ならば、お客様である主婦の方に、「リフォームすると、毎日の生活がこんなに素敵な状態になる」ということをイメージさせることが大切です。一方で男性がターゲットの場合は、なぜそうなるのか?他商品と比べてが優れているのか?などの「根拠」や「論理性」「優位性」を分かりやすく示すことが重要だと言われています。リフォームで言えば、見積もりの根拠や他社より良くかつお得であることを論理的に説明できると、成約につながりやすくなります。

【まとめ】
 注目のFujiko。いろいろ成功ポイントはありますが、社長はじめ社員が楽しんでやっている感じがとても好感が持てます。楽しんでやると成果は上がる。今後も注目したいブランドです。


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