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ただ経費を削減し続けても、利益は残らない。【ラジオ書き起こし】

▼ このnoteは、過去に音声配信したラジオの書き起こしです。

今日はリスナーさんからの質問にお答えし、『ただ経費を削減し続けても利益は残らない』というテーマでお送りします。

リスナーさんからのこんなご質問をいただきました。

兄弟でタイ料理屋をやっています。今年で10年目に突入しました。このところ、コロナの影響もあり、しっかり守りを固めるためにも、経費の見直しや仕入れ先の探し直しなどをきっちりとやってきました。もう見直すところがないと言えるぐらい削減はできたはずなのですが、他に利益を残すためにやっておくべきことはあるのでしょうか?

他にやっておくべきことっていうのは、いろんな支出とかを見て細かく検証しないとわかんない部分あるんですけど、半分は角度を変えた答え方ですが、結構大事なことをお話ししたいと思います。

けっこう見落としがちなのが、

“ しっかり経費削減しても利益が残らない場合がある ”

ということです。

何のために経費を削ってるかっていうと、“ 利益を残すため ” と考えるのも当然なんですけど、そこで止まってしまうと割と危険で、どこかで思い切ってお金を使うためっていうふうに考えてほしいと思います。

まずは売上を上げていって利益を確保するというのが目標ならば、こういう答えになるはずです。なのに、この「どこかで思い切ってお金を使う!」「ここだっていうときに使う!」ということを、全く頭に入れていない経営者が割と多いように感じます。もしくは、「ここに投資しよう!」って最初に決めていたとしても、節約とか経費削減の中でネガティブな気持ちになってしまって、いつの間にか、「投資するんだ!」「ここにお金をかけたい!」って気持ちがなくなってしまう人が多いです。それによって、売上を増やすことを忘れてしまって、ただ単に利益を残そうと考えてしまう。

それだと、経営のストーリーとしては最悪になってしまいます。

こうなってしまう人は、特に真面目な人に多い気がします。例えば、20年間どこかで勤めていて、コツコツとお金を貯めて独立した人とかが意外と多くて、僕もその1人だったりしますけど。こういう思い込みって、なかなか取れなくて、サラリーマン的な守りの考えを引きずったまま経営者になってるせいで、単に利益を残すことしか考えられなくなってしまってるんです。

でも、そもそも20年間もコツコツとお金を貯め続けて、それで一世一代のお店を出すっていう勝負ができる人なんだから、本来は思い切ってお金を使える人なはずなんですよね。なのに、その勝負に比べたら、ちっちゃいと言えるような投資ができなくなっちゃうっていうのはすごく不思議でもあります。

経費の削減だけをずっと頭に入れてしまうと、やっぱり縮小サイクルのスパイラルに入っていってしまいます。特に、1人でやっているお店の方はそうなりがちです。なんだか、ポイントを貯めるためにスーパーでいらないものを余計に買ってしまうみたいな。。。

原因としては、真面目に節約生活をしていくと、良いモノとか高級なものに触れる機会が少なくなってきちゃって、良いモノの価値、素晴らしさを体験することがドンドンなくなっていく。それによって、良いモノにお金を払う思考回路がなくなってしまうんだと思います。

例えば、店の経営で例えると、お店の会計や税務処理を税理士に頼んでいるところもあると思うのですが、これで月々2万円かかって、決算も含めると年間で30万以上がかかるとします。

この経費を削減しようとして、税理士に頼まないで自力でやってる人はいませんか?

これ、お店の収支を常に管理して、自分で経営状態把握したいっていうのなら、いいと思うのですが、もし、そうじゃないのに、お金がもったいないからって自分でやってしまうのなら、ちょっと考え直すべきです。

経営者の時給を最低でも1時間1000円として計算しても、30万だったら300時間。300時間って、1ヶ月みっちり働く時間数ですよね。でも、決算まで自分でやって、さらに月々のあらゆる処理もひっくるめて、300時間で終わる人なんてほとんどいません。

だとすると、会計業務は頼んだ方がいいっていう結論が出ると思うんです。税理士にお願いすることによって、自分の300時間を手にして、さらに確実で修正の必要がない決算書が手に入り、おまけに今後の節税対策までできる!だったら、税理士にお金を払うために、他の出費を考え直して、普段の経費の削減や無駄遣いをなくそうっていう発想でいってほしいなと思います。

他の例だと、タクシー代です。

自分で運転できたり、電車とかバスが動いてる時はアホらしい経費かもしれませんが、逆に、タクシーを使うことを勧める経営者もいるんです。

どこがいいかというと、電車とは違ってほぼプライベートな空間で、移動中に電話したりパソコンで作業できたり、車内で色々考え事ができたり、女性はお化粧を直すこともできるでしょうし、駐車場を探す手間もありません。うるさい運転手に当たると面倒くさいですけど、運転手さんに黙っていてもらえさえすれば、しっかり休めるっていうのもありますよね。

仕事が終わってから次の用事までの時間の使い方が全然違ってくるので、タクシー代を出す価値はあると考えてもいいと思います。

もちろん、毎日タクシーを使いまくれるほど高利益を上げている飲食店経営者って本当に少ないでしょうけど、タクシーは例え話として、経費でお金を使った分、ハッピーになることは当然あるので、普段よりお金を多く使った場合は、何かしらがプラスになっていると考えるべきです。

こんなふうに、プラスになって、何かを得ることができるチャンスまで常に削ってしまっている人もいるでしょう。

ただ単に節約するだけの経営者は、新しい投資をしなかったり、新しいものに触れることをやめたりしてしまっているのだと思いますが、そんな人がやっている飲食店は魅力的なわけがないですよね。なので、そんな気配がある人は改めて見つめ直して、お金の使い方、投資をするっていうことを考えてみてください。

今日は、『ただ経費を削減し続けても利益は残らない』というテーマでお話しました。

理想的な順序としては、まず、これにお金をかけてみたいというポイントを決める。そのポイントにしっかりお金をかけるために、他に使ってる無駄な経費はないかっていうことを考える。経費削減して貯まったお金を、ココだっていうところに投資する、これがベストだというお話でした。

それではそろそろ開店の時間です。
本日もありがとうございました。
太田とよしきでした。






飲食業は最高に幸せなしごと。