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「物理のエッセンス」の『使い方』

多くの物理履修者に支持を得ている物理のエッセンス(以下、エッセンス)。受験で物理を使う高校生は、かなりの割合でこの本を持っているように思います。しかしながら、その使い方には以前から違和感を感じることが少なくなかったので、その点について触れてみたいと思います。

その前に、参考書の選び方について簡単に述べておきます。

参考書は導出がしっかり書かれているものがいい

参考書は学習の友です。学校や塾で、ある程度公式の導出の説明がなされると思いますが、いつでも自分でフォローできるよう、しっかり書かれている参考書を必ず用意しておきましょう。
そうでないと、公式の暗記になりかねないからです。問題を解くときに使う公式がどのようにして出てきたのか、一度は追うようにしてください。何も見ずにスラスラ導出できるのが理想的です。

エッセンスは導出がメインではない

エッセンスの特徴
・コンパクトに公式やその使い方がまとまっている。
・公式の導出はされていないものが多い。
・公式に使い方について詳しい。
・多くの参考書に載っていない「かゆい」ところについても言及がされていることが多い。

などが、挙げられます。本書では随所に「ちょっと一言」「知っておくとトク」「High」「Q&A」が散りばめられています。この中には、私が教える立場になってから学び、助けられたことも多々あります。必然的に高度な内容を含むものもあります。「かゆいところ」に手が届いており、大いに参考になりました。

学習者の求めるレベルにもよりますが、そこまで知らないくてもいいと言える内容も散りばめられているので、その辺りは初学者向きではありません。なにより、公式の導出がメインでなされてない以上、初学者が最初に手をつける本ではないと思っています。一度基礎を学習した人が見ると、非常によくまとまっていて使いやすいのですが、何も土台がない初学者が使っても、表面的な結果の詰め込みになってしまう恐れがあります。実際に本書だけを使っていて、公式は覚えているけど、正しく使えていない生徒も少なからず目にしてきました。

エッセンスの問について

こちらについても、他の本で基礎の基礎を学習してから理解度チェックのつもりで解いてみるといいでしょう。また、難易度の高い問には**がついていますので、一通りの内容を理解している人はチャレンジしてみるのもいいでしょう。

まとめ

初学者がこの本だけで完結させるつもりであれば、それは正しい使い方ではないでしょう。教科書や他の参考書で一通りの基礎をおさえた上で本書を活用すると高い学習効果が得られるはずです。状況に応じて使い分け、力をつけてほしいと思います。先生や友人が勧めているからというだけの理由で購入するのはやめましょう。

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