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横浜国立大学個別試験廃止について思うこと

想像以上にコロナの影響は大きく、令和3年度の入試でも大学によって大きく対応が分かれることが明らかになりつつあります。その中でとりわけ話題になったのは横浜国大の入試に関する変更でした。

令和3年入試では個別試験(2次試験)を行わない

横浜国大は関東圏からの学生が多いものの、他の大学と比べると日本の津々浦々から集まってきます。そのような事情もあり、大学側の対応として、令和3年の個別試験は行わないとの判断をしました。以下、学長メッセージの抜粋です。

「一般選抜においては、全国から集まっていただく数千人に及ぶ受験生の皆様に対し、そのような場を確保することは困難であると判断しました。苦渋の決断ではありますが、令和 3 年 2 月~3 月に本学で行う予定としていた個別学力検査は行わないこととし、大学入学共通テストの得点及び一部の学部では出願時に課題の提出等により選抜することとしました。」

コロナの影響は少なからずあるなか、受験場所の確保が困難であることを理由に上記のような決断に踏み切りました。

令和3年の入試はどうなるのか?

上述にあるように、共通テストの得点および、課題の提出によって2次試験の代替とするということです。課題の提出は教育学部の入試で行われます。それ以外については共通テストの得点で置き換えます。例えば経済学部では

「個別試験前期日程の数学と外国語の成績は大学入試共通テスト数学と外国語の成績で代替します。」

と明記されています。詳しくはリンク先を参照してください。

大学の判断に対して思うこと

入学試験というものは大学が求める人材を募集する上で非常に重要なイベントです。従来の理工学部の入試では2次(個別)試験の配点比率を高くしています。センター(共通)テストより、2次力がある学生を欲しいということが読み取れます。共通テストの結果で代替するということは、2次力を測ることができなくなります。これにより、本来欲しかった学生を取り損ねてしまう恐れもあります。

大学側の主張としては場所の確保の問題をあげていますが、多少のリスクを負ったとしても本来の目的通りの学生と取るために個別試験を課すべきだと個人的には思います。

今回の入試でデメリットと思われること

共通テストの科目で代替するとのことでしたが、第一に、そのような方法で公正な選抜が出来るのかが気がかりです。

共通テストで失敗した受験生はおそらく出願しないでしょう。出願する人は代替される科目においてほぼ満点近く取っているものと思われます。このような僅差に受験生が多くひしめく中で、どのようにして選抜するのでしょうか?本当に公平な選抜ができるのでしょうか。

理工学部は数Ⅲができなくても合格できてしまう?

理工学部の試験では共通テストの外国語・数学・理科の結果がそれぞれ個別試験の代わりになります。ということは、場合によっては数Ⅲが全くできなくても合格できてしまうわけです。従来の試験でも数Ⅲが全くできなくても合格できないわけではないでしょうが、非常にレアなケースだと思います。もし、そのような状態で運よく(?)引っかかってしまったとしたら、入学後にとても苦労することになるでしょう。大学の内容は非常に難しいですし、数Ⅲができないようでは、落ちこぼれてしまう可能性も高いです。もしそうだとしたら選抜の方法が悪いと言わざるを得ません。そうならないためにもしっかり個別試験を課し、合格点に達した者に入学を許可すべきだと考えます。

まとめ

もちろん受験生を集めて一斉に試験を課すとそれなりのリスクがあることは誰もが認めるところです。ですが、入学試験の重要度と天秤にかけるのであれば、多少のリスクを負ってでも従来の選抜方法を踏襲すべきでは、というのが個人的な意見です。今回の決定に変更はないでしょうから、少なくとも公平な選抜が行われることを願います。

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