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カメラと対話しながら撮る. Sigma dp1 Quattro レビュー.

ソニーのRX1を返品しまして,シグマのdp1Quattroを購入しました.マップカメラの中古で52000円.1年保証付きで2000円分のポイント還元でした.新品の相場が90000円くらいなので,まあいいでしょう.

以下,作例を残しておきます.

夜行
Sigma dp1 Quattro
福岡県糸島市 波多江駅

Sigma Photo Proというソフトで”ティールアンドオレンジ”というカラーモードを使って現像してみました.うーんいい!!シネマライクな写りで大好きです.
シャドーをちと重くしすぎましたね.MacBookAirの画面の明るさをあげていつも現像しているのですが,この画像をツイッターにあげてスマホで見直すと随分見にくいなあと.やはりデジタル入稿となると,あまり明るくない画面で見る人も多いでしょうから,シャドーの扱いには気をつけないと黒つぶれしかねませんね.

JPG撮って出し

シグマのJPGの評判はすごぶる悪いのですが,まあつかえんことはないかなあという感じですね.色が薄めなので,私はRAWで現像したほうが好きですが.
Quattro世代になって随分JPEGは改善したみたいですね.噂によると,Sigma最初のFoveon搭載機”SD9”はRAWしか撮れなかったとか…なんちゅうカメラやねん.


Sigma dp1 Quattro
九州大学伊都キャンパス ウエスト1号館横

バイクの金属の表現が凛々しくていいですね。好きな写りです。空が白飛びしているのはご愛嬌.Sigmaの純正ソフトで編集したのですが,まだ使い慣れていないのが露呈してしまっていますね.

クロップ

シグマのカメラは最近出たfpを除いてすべてFoveonという特殊な構造のセンサーを採用しています.こいつのすごいところは圧倒的な解像力.詳しい構造の話は他に譲りますが,一般的なCMOSセンサーであるベイヤーセンサーは1ピクセルで赤,青,緑のどれかしか感光できないのに対して,Foveonは1ピクセルで3原色すべての情報をとれる.らしいです.確かにすごい解像力ですね.フルサイズでも解像度に振ったセンサーじゃないと勝てないかも.

朱に水
Sigma dp1 Quattro
九州大学伊都キャンパス ウエスト1号館横

JPEGの絵は色彩があっさり目であまりすきではないですが,Sigma Photo Proという純正RAW編集ツールでいじってやると随分よくなります.Foveonは色分離が悪いと聞いていたのですが,ちゃんと彩りが残っていて安心しましたよ.むしろこの赤はとっても好き.

探検
Sigma dp1 Quattro
九州大学伊都キャンパス 理学部食堂 屋上

dp1 Quattroは2014年発売で,いまでもdpシリーズの最新作です.2014年といえば,α7IIやEOS 7D Mark IIが発売された年ですか.7年も後継がでないとはなかなか,α7シリーズはもうIVまで来ていて,キヤノンに至ってはもはやろくに古典的な一眼を作ってないのに.そういえば645Zも2014年発売で未だに最新機種ですか.2機種ともセンサーが特殊で,メーカーが小規模という点は似ていますでしょうか.どちらも好きなメーカーです.

腐食
福岡市西区 元岡
Sigma dp1 Quattro

28mmという画角はGRと同じですか.結構難しい画角ですよね.50mmとかだと見たままを写せばいいのであまり困ることはない.18mmから24mmくらいになると,超広角らしく周りをすべて写し込むような絵が作れる.28mmとなると,いらないものが写り込むと邪魔になるし,下手に写したいものを強調すると凡庸な構図になる.なかなか難しい.まあ,構図作りのいい練習になるかな.

冬の淡さ
九州大学伊都キャンパスウエストゾーン
Sigma dp1 Quattro

この空の青は,コダックのColorplusに似ている気がします.淡い.dpシリーズを”現代のフィルムカメラ”と形容される方がいらっしゃいますが,本当にそのとおりだと思います.高感度が苦手,レスポンスが悪い,あとから現像しないといけないなどという技術面から,デジタルっぽさが少ない絵まで,さまざま当てはまりますね.

冷感
九州大学伊都キャンパスセンターゾーン
Sigma dp1 Quattro

私はホワイトバランスをマゼンタにふる方が好きです。緑っぽい色はどうしても苦手で。Foveonセンサー搭載機はどうしても色が緑に寄ってしまうらしく,ホワイトバランスの調整で無理やりマゼンタ寄りにしています.でもこのカットはやりすぎたかな。
このカメラ,水面の反射の描写がとっても綺麗で気に入っています.技術的な理由はわかりませんが,ここはベイヤーセンサー搭載機と違うなあと感心するところです.

裂く
福岡 波多江
Sigma dp1 Quattro

シグマの山木社長いわく,Foveonセンサーは”モノクロセンサーとしては世界最高,しかもカラーも撮れる”とのこと.でもモノクロ写真は難しいですよね.純粋に構図力が試されますから,ごまかしが効かない.

懐かしさ
福岡 波多江
Sigma dp1 Quattro

ティールアンドオレンジというカラーモードは本当に大好きです.まるでコダックのフィルムで撮ったかのような淡さには,どこか懐かしさを感じます.
このカラーモードで撮らなくても,dp1で撮った写真にはデジタル感がなくて,みてて楽しいですね.RX1で撮った絵は,デジタルらしいなめらかさがあまり気に入っていませんでしたが,dp1はまるで被写体がそこにあるかのような質感を表現してくれています.

花枯らし
福岡 元岡
Sigma dp1 Quattro

Sigma Photo Pro,すごぶる重い.もうほんとに重い.でもSigmaのRAWの形式”X3F”はLightroomでは現像できないんです.あきらめるしかないのか..と思ったそのとき,なんとAffinityPhotoでX3Fを現像できることがわかりました!なんと!これは便利ですね.iPad版のAffinityも使えたので,ちゃちゃっと編集したいときは是非活用したい.しかしながら,やはり純正ツールのほうが出てくる絵はきれいな印象です.ノイズの扱いや色のいじり方がうまい.”ティールアンドオレンジ”も使えますしね.あとFillLightっていう機能が便利.このショットもFillLightを乱用しています.一言でいうと”写真の暗いところに光を当てる”は機能だそうです.Sigma公式のnoteをリンクしておきますね.

二人だけの劇場
福岡 天神地下街
Sigma dp1 Quattro

ほめまくったFoveonですが,高感度がめっぽう弱いという欠点があります.ざっと試してみたところ,ギリギリ許容できるのがISO800くらいまでかな.それでも緊急用って感じ.普段遣いならISO320以下で使いたいですね.4月まで愛用していたK10Dを思い出しました.あいつはCCDセンサーを積んでいて,ISO400までしか常用できませんでしたから.K-5やD600を使い始めてから,あまり手ブレをきにせずぱしゃぱしゃ撮ってしまっていたのですが,このカメラは,久しぶりにわきをしめて,しっかり被写体を観察させてくれるようで,とても好きです.トヨタ自動車の豊田章男社長は,”社長が乗りたい車って?”という質問に,”心の底では野性味溢れた車が好きだ”と言いながら”運転トレーニングをし始めたときに,ポルシェにのっていた事があった.そのときに「やっぱりこういう速い車は運転難しいですね」と言ったら,師匠は「お前運転下手なんだ」だった.そういう車とともに,私の技能も上がっていった.愛車というのは,自分の足りない技能を補ってくれる技能も必要だし,私がその車と付き合っている間に,私の運転技能というか,運転LOVEというか,車LOVEをますます上げてくれる車が大好きだ.” (一部改変)とおっしゃっていますが,Foveonを積んだdp1も似たようなことが言えると思います.Sigmaの山木和人社長は,dpについて”どんなシチュエーションでもまんべんなくていうカメラではないとは思いますけれども,低感度できちっとした写真を取るとなれば,絶対どのカメラにも負けない自信がある.ある意味,目的が特化された,二人しか乗れないスポーツカーですかね.荷物も乗れない,二人しか乗れない,なんのためにあるかよくわからないコンバーチブルなスポーツカーみたいなものだ.ミニバンがほしい人にはおすすめできない.”という趣旨のプレゼンをしていらっしゃいます.(24分20秒ごろ)
確かに使い所が難しいカメラではあるが,自分の腕があれば驚くほどいい絵が得られるカメラなんでしょうね.しばらくこいつと写真道を走ってみたいと思います.


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