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コロナ禍の「禍」とは何なのか ~つなげて楽しい勉強の世界~

こんにちは。パワポ芸人のトヨマネです。
パワポを使って色々なものを作ったり作らなかったりしています。

こちらの焼肉パワポは全然関係ないんですが、新型コロナウイルスの流行によってもたらされた災難のことを「コロナ禍(か」と言いますよね。最近、周りにこのコロナ禍のことを「コロナ渦(うず)」と間違えている人をしばしば見かけます。

間違えてると微妙に恥ずかしいと思うので、これ以上間違える人が出ないよう、この機会に改めてnoteにまとめておこうと思います。コロナうず派の人に届け!おれのnote!

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まず、「禍」という漢字は訓読みでは「わざわい」と読みます。「福」の反対語だと思ってもらえればOKです。あまり日常会話に登場する字ではないですが、「戦禍を逃れる」という表現は聞いたことがあるのではないでしょうか。また「転禍為福(てんかいふく)」という四字熟語は知らなくても、「災い転じて福となす」は知っている方が多いと思います。

「禍」が出てくる言葉としては、個人的には「禍福は糾える縄の如し(かふくはあざなえるなわのごとし)」ということわざが好きです。悪いことと良いことは、より合わさった縄のように交互にやってくるものだ、という意味です。「人間万事塞翁が馬」も似た意味のことわざですね。

なので、コロナの後にはきっと何かしらのめちゃくちゃサイコーで幸せなできごとが起きて、世界は幸福に包まれるに違いありません。なんかよくわかんないけど世の中ってそういう風にできてるんです。マジで。

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で、そんな「禍」の部首は"しめすへん"です。カタカナの「ネ」みたいなやつですね。しめすへんという部首は、今でこそカタカナのネみたいな姿をしていますが、元々は読んで字の如く「示(しめす)」でした。「祠」という漢字には昔のしめすへんが残っています。

このしめすへん、神様に関わる漢字に使われます。「神」もしめすへんですし、「祈」「祝」「禅」「祖」「礼」みたいな漢字はいかにも神様的なサムシングの気配を感じますよね。「禍」も「福」もしめすへんです。昔の人は、不運や幸運は神様が起こしていると考えていたんですね。

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さて、一方で「渦」です。これはあまり説明はいらないでしょう。皆さまご存知、水がぐるぐるしてるやつのことです。訓読みは「うず」ですが、この字も音読みは「か」と読みます。"まさかの不倫報道!?渦中の◯◯さんを突撃インタビュー!"みたいな俗な見出しを皆さんも一度は見たことがあるでしょう。

渦は水に関わる漢字ですから、部首は"さんずい"です。海、池、河…これはもはや例を挙げるまでもないでしょう。

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というわけで、「コロナがもたらした災難」のことを指す言葉は「コロナ渦(うず)」ではなく「コロナ禍」であることがわかりましたね。災難は水ではなく、神様にまつわる言葉ですから。まあ、渦中って言葉があるくらいなんで「コロナ渦(うず)」でもあながち間違いでもないかもしれないですけどね。いや〜よかった。完全に理解した。めでたしめでたし。

…そんな感じでめでたい感じになっているところに恐縮なのですが、せっかくなのでこの話をもう少し掘り下げてみましょう。

「禍」と「渦」には、「」という共通部分があります。「咼」を持つ漢字はこの二つだけではありません。過(過去の過)、鍋(なべ)あたりはもちろん、蝸(蝸牛→かたつむり)、堝(坩堝→るつぼ)、窩(眼窩→がんか(頭蓋骨の目の部分の穴))なんかも忘れてはいけません。

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うずとカタツムリは、なんだかぐるぐるな感じですね。鍋とるつぼ、眼窩は「まるい器」みたいなイメージを共通して持っていそうです。過ぎるは過ちとも読みますし、災いと同じくイヤ〜な感じがしますね。そして、音読みは全て「」。

こうした共通点は、全て「咼」に由来しています。この「咼」、調べてみたところどうやら「よこしま(邪悪の邪)」「骨の関節」「丸い穴」「回転」みたいなニュアンスがあるようです。(多いな…)これは想像ですけど頭蓋骨みたいなイメージなんですかね。丸っこいドクロ的な。

これらのニュアンスと先に述べた漢字たちとを見比べてみると、なるほど確かに当てはまります。漢字には、このように「同じようなニュアンスを持った部分を共通して持つグループ」がちょくちょくあります。編と偏と遍、操と繰と燥とかです。探してみるとちょっと楽しいかも知れません。

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さて、今回はコロナ禍の「禍」という漢字をテーマに考えてみましたが、何かを覚える時は単純に丸暗記するのではなく、様々な要素をつなげて総合的に理解するとより強固な知識になります。これは、どこかを部分的に忘れてしまっても、他の要素から類推して思い出せるからです。

たとえば水素の元素記号がHだということだけを丸暗記するのではなく、英語で水素をHydrogenということ、-OHをヒドロキシ基と呼ぶこと、さらにはポケモンの「ハイドロポンプ」あたりを関係付けて頭に入れられると、もう頭から離れなくなるでしょう。

勉強とは頭に知識を詰め込む行為ではなく、世界の解像度を上げるステキな営みです。

「コロナ禍」でおうち時間が増えた今日この頃、ちょっぴり世界の解像度を上げてみるのも悪くないかも知れません。

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※参考にさせていただいたサイト

「漢字の音符」
https://blog.goo.ne.jp/ishiseiji/e/fcd6f8b324ccd07fbc80195377da7d7f

「風船あられの漢字ブログ」
http://huusennarare.cocolog-nifty.com/blog/2016/03/post-1fc1.html

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