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「いい子症候群の若者たち」令和の時代、若者に起きている重大異変とは?

今回は、『先生、どうか皆の前でほめないで下さい』をピックアップします。

「最近の若者は…」は、いつの時代も定番フレーズ。もちろん時代とともに、少しずつ若者たちの心の中も変化しています。令和の若者に対しては、「まじめで素直」、「打たれ弱く、繊細で、何を考えているかわからない」といった声をしばしば耳にします。

本書では、「いい子症候群」というフレーズがぴったりな、今の若者たちが抱える複雑で微妙な心理や、行動原則を徹底分析します。

広い講義室で、学生はどのあたりに座るのか?

突然で恐縮だが、あなたは今、大学生だとしよう。朝一の講義を受けるため、あなたは広い講義室に入ったところだ。講義室のどのあたりに座ろうと思っただろうか?
「後ろはだいたい埋まっていて、前の座席も両端は誰かが座っており、前方真ん中に空きが多い」という感じを想像するのではないだろうか。

だが、それはもう過去の話。現在の大学生はそういった座り方をしない。ポイントは学生同士の距離だ。明らかに密集して座るのである。学生たちはなぜこのような座り方を好むようになったのだろうか。本書では、こうした行動の背景にある若者心理を探っていく。

「わからなくなったらいつでも聞いて」の罠

こんなエピソードがある

上司が新入社員にひととおりのやり方を教えた上で、「わからなくなったらいつでも聞いて」と言い残し、ある業務を任せた。もちろん、ちょっと教えただけですべてサラサラとできる業務ではない。

しかし、彼らは一向に質問に現れない。なぜか。
任せた業務のデッドラインが近づく。しびれを切らして席を立ち、自分は次のどちらかを演じることになる。

(1)「なぜすぐに質問に来ないんだい?貴重な時間を無駄にしてはいけないよ」
(2)「君たちはできなくて当たり前なんだから、どんなことでも聞けばいいんだよ」

いい子症候群のリアクションは、次のうちのどちらかになる。

・次からあらゆることを聞きに来る(だってそう指示されたから)
・やっぱり何も聞きに来ない(だって質問の仕方に関する例題を授かってないから)

ここには、現代の若者たちの「行動の三原則」が働いている。

1:提示された例題はものすごく参考にする
2:例題の提示がなければ基本、何もできない(しない)
3:よって、参考とすべき例題の提示を強く望む

質問に現れなかった理由は、行動の三原則の1と2にある。彼らは、質問の仕方に関する例題を示してもらってないのだ。

令和時代の若者心理、その驚くべき実像とは?

現代の若者にとっては、「目立つ」ことが最も怖いこと。「横並びでいたい」「浮くのが怖い」と思っており、この「いい子症候群」は社会人になってからも急に変わることはありません。

ーー若者からは、本当に多くのことを教わる。そして、もし変わる必要があるとしたら、それは彼らではなく大人が作った社会の方だと、強く感じさせられる。(p.10より)

学生や若手社員とのコミュニケーションの手助けとして、また、令和の若者たちが育った社会を考えるきっかけとして、複雑な若者たちの心理をのぞいてみませんか?


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