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行動経済学の巨人がアイディアの実現方法を講義!『そのビジネス、経済学でスケールできます。』

今回は、『そのビジネス、経済学でスケールできます。』をピックアップします。

スケールアップ(規模拡大)するアイデアと、小さく終わるアイデアは何が違うのでしょうか?
行動経済学の巨人であり、ウーバーの元・チーフエコノミストという異色のキャリアを持つ著者が、ビジネスや政策のアイデアをスケールアップ(規模拡大)し、多くの利益を生み出すための方法をまとめた一冊です。

アイデアの成否を決める「5つのポイント」とは?

医学上の新しい発見、消費財、技術革新、政府のプログラム…。
目的達成のためにどの事業にも例外なく必要になってくるのは、「スケーラビリティ」です。これは、アイデアを力強く持続可能な形で成長させ、拡大する能力のことをいいます。

アイデアのスケーラビリティを図るためのポイントは、次の5つです。

5つのチェックリスト
1. 偽陽性や詐欺ではないか
2. 対象者を過大評価していないか
3. 大規模には再現できない特殊要素はないか
4. ネガティブなスピルオーバーはないか
5. コストがかかりすぎないか

筆者は、これを「5つのバイタル・サイン」と呼び、スケールアップを図る前にアイデアが生きているかどうかを見極めるための指標になるとしています。このチェックリストと自分のアイデアを照らし合わせて考えることで、そのアイデアがスケーラブルであるかどうかを、冷静に判断することができるのです。

スケールアップのための、適切なインセンティブ活用

では、アイデアがスケーラブルであると判断できたあと、さらにスケールアップさせていくにはどうすればいいのでしょうか?
本書で紹介されている4つの戦略のうちの一つに、「インセンティブ活用」があります。中国の電子機器メーカーでの実験事例を見てみましょう。

同じ達成目標を与えられているとき、どちらのグループの方が、仕事の生産性が上がったか?

①「実際に仕事をする前に、ボーナスを渡します。ただし、すぐにではなく一週間の終わりに、目標を達成できたら渡します」と伝えられたグループ(損失グループ)

②「目標を達成したらお金を渡します」と伝えられたグループ(報酬グループ)

結果は、①の「損失グループ」の方が、②の「報酬グループ」を上回り、6ヶ月間の実験期間中、ずっとこの効果は落ちませんでした。 ①の「損失グループ」は、まだ入金前にもかかわらず、「自分のお金が奪われそうだ」と感じる一方で、②の「報酬グループ」は、お金が自分のものだとは感じていませんでした。

この「自分のものであるはずのお金を失ってしまう」という、損失回避の心理を利用した「クローバック・アプローチ」は、従業員のモチベーションを高める適切なインセンティブを設定するうえでの、重要な考え方です。

「損失回避」のパワーを活用して従業員をやる気にさせ、「目標を達成すれば確実にボーナスが手に入る」という仕組みを作ることは、ビジネスアイデアのスケールアップのために欠かせない戦略の一つです。

ビジネスにも生活にも役立つ、実践的な経済学の知恵を学べる一冊

本書を読むことで、思いついたアイデアがスケーラブルであるかを判断する方法と、そのアイデアを実際にスケールアップさせていく方法が身につくでしょう。
起業家やマネジメント層の人たちに限らず、自分のアイデアや事業の成功確率を高めたいと考えている人や、子供のやる気を継続させたいと願う親御さんなど、すべての人に役立つ一冊です。

自分自身や他者のためになるアイデアを、スケールさせてみませんか?


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