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本と大学と図書館と-25- 情報メディアの活用 (Fmics Big Egg 2020年11月号)

 言語によって高度な情報の伝達が可能になり,文字によって情報の伝達と共に,保存もできるようになりました。情報メディアの発達により,情報伝達・保存の範囲は,地理的にも時代的にも拡大しました。情報伝達の媒体である情報メディアは,羊皮紙や和紙への書写から,活版印刷による本・雑誌・新聞と物理的に発達し,更に,テレビやラジオ,インターネットと,伝達形式も大きく変化しました。

上田修一;倉田敬子『図書館情報学 第2版』(勁草書房 2017 p.58-118)
 こうして,情報が世界中の人々に届くようになりました。更に,メディアとしてのインターネットの普及により,情報発信は,出版社やテレビ局,新聞社だけでなく,個人でも「出版者」になれる時代が実現しました。「インスタ映え(バエと言われます)」により,社会への大きな影響力を行使する個人も出てきました。YouTubeで動画配信すればリモート授業もできます。いまでは,スマホ一台あれば,誰でも情報を入手し,発信できるようになりました。

 個人的に注目している情報メディアの活用は,電子書籍や電子ジャーナルよりも,データベース(以下DB)です。6月に紹介したジャパン・ナレッジ(JapanKnowledge:以下JK)です。JK(女子高校生ではないです)は,複数の辞書・事典を全文検索できます。平凡社の日本大百科全書,世界大百科事典,小学館の日本国語大辞典,吉川弘文館の国史大辞典,更に,現代用語の基礎知識,イミダス,東洋文庫などが収録されています。

 多くの大学図書館では,JKを自宅や出先の喫茶店からでも利用できるリモートアクセスで提供しています。電子的なメディアの機能を活用して,24時間,365日,何処からでもアクセスできます。原稿やレポートを書いているときに,言葉の定義や,事柄の概要を調べることができ,大いに重宝します。メディアやJK(女子高校生)についてもすぐに調べることができました。朝日,読売などの新聞も提供している大学は多いです。

 リモート授業からコロナ後の対面授業とハイブリッド授業を経て,DBのリモートアクセスの有用性が認知され,誰でも普通にDBが使えるような社会になることを強く望みます。そのためには,情報メディアを知悉している図書館員が,DBを販売する出版社に,大学としての要望を取り次ぎ,更に,大学教職員にDB活用の成果を具体的に伝えることが必要になるでしょう。何よりも,先月号の繰り返しになりますが,図書館利用への学生の皆さんの要求に真摯に応えることでしょう。

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