モグモグ朗読「マッチ売りの少女」
朗読のポイント
・読んでいる私は誰ですか?
・客観性を保つ
・悲しい話かどうか
【読んでいる私は誰ですか?】
毎回必ずここからスタートします。
誰の目線で語るのか。
もちろん語るのは「わたし」で良いのですが、それだと毎回似たり寄ったりの朗読になってしまいますので。
さて、今回のマッチ売りの少女はどうしよう。
神様でもいいし、雪あかりでも、亡くなったお婆さんでも良いですね。
語り手がどんな気持ちで少女を見守るのか?が大切です。
私は雪の精の気分(あくまでも立ち位置確認のためなのでフェアリーな読み方は不要です)で読むことにしました。
もしもお婆さんの目線なら、お婆さん口調にしてしまうのもひとつの方法ですね。
語尾などは自由に変えていくと面白くなると思います。
【客観性を保つ】
誰目線にする語りか?というのを決めると、自ずと客観性が出てきます。
ともすると、少女の寂しさや辛さに共感しすぎてしまい、語りまで暗くなっていきます。
暗い朗読というのは聴き手までしんどくなっていくことがあり、呼吸も苦しくなります。
なので、時々息抜きのためにも客観的に事実をただ述べる朗読部分があるほうが良いのです。
客観的に事実を述べる。
例えば「寒い夜の中、みすぼらしい1人の少女が歩いていました」
ここを単なる事実として読んでみます。
雪の精からすると「おや、みすぼらしい子がいるね」くらいの感情。
でも、よくよく見てみると「帽子もかぶらず、はだしでしたが」ちょっと気になり始めます。
「どこへ行くというわけでもありません。行くあてがないのです」このくだりで、雪の精は一切を了解します。
こんな風に一文一文で、語り手の感情が変化していきます。
最初から最後まで、どっぷり少女に共感して話すと単調にもなりますので、この文章はどんな想いだろう?とひとつひとつ考えることで答えは出てきます。
正解はありません。そこに個性も出てきます。
考えて読むことが大切です。
【悲しい話かどうか】
先に書いたことにもつながりますが、マッチ売りの少女というと、はなから悲しいお話というイメージがあります。
とはいえ、冒頭から沈んで話すのは聴き手に答えを教えてしまっているようなものです。
また、悲しい話なのかどうかは、聴き手が考えれば良いことなので、語り手が押しつけるのはいかがなものかと思います。
ムードは必要ですけど、やりすぎない方が良いですね。
初めてこの話を聴く人がいる。
そう思って話すことがポイントです。
となると、今回のマッチ売りの少女は「ある夜に少女が町を歩いていた」と普通に話しはじめ
徐々に聴き手が「あれ、なんか幸せな話では無さそうだぞ・・・」と世界に引き込んでいき
悲しくも温かい、少女の最後の夢物語を一緒に味わってもらう。
そこに持っていけると、少女の死もただ悲しい話には終わらないのです。
【そのほかのポイント】
マッチをするたびに見える幻想の世界。
この時は語り手が少女目線に変わる瞬間です。
驚きと喜びを感じて朗読します。
火が消えた瞬間、少女の表情を見守る雪の精の目線に変えます。
マッチをするたび、こうして目線を変えていきます。
ちなみに私は語りの部分を少し変えてお婆さんの台詞を増やしました。
お婆さんの雰囲気を具体的にイメージさせたかったからです。
YouTubeにアップしている朗読はLiveのため、背景音もあり、完成品ではありません。また時間の都合でカットもしました。
ただ、朗読前に考えたことや、工夫の一部をご紹介しました。
間合いには本文に書かれていない景色を。
リズムには、私の頭の中で浮かんでいる映像の動きを出しています。
ほぼ意図的にやっています。
耳から聴こえるものが、立体的に浮かんでくる朗読を目指しています。
2021年12月18日(土)迷ナレーター達が紡ぐ朗読の世界にて。Liveの音源をYouTubeでアップしています。
完成品ではありませんが、それはそれで良しと思っています。
なにか参考になれば幸いです。
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