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地域包括支援センターの専門性とは?

R2.11.9記事内容加筆しております。
法的根拠
○地域包括支援センターは、市町村が設置した地域包括支援センター運営協議会(以 下「運営協議会」という。)の意見を踏まえて、適切、公平かつ中立な運営を確保することとされている。 (介護保険法施行規則第140条の66第2項)
○介護保険法
・第78条の2第7項(地域密着型サービスの指定) ・第115条の2第5項(地域密着型介護予防サービスの指定)
・第78条の3第6項(地域密着型サービスの基準)
 所掌事務
1 センター設置等に関する次に掲げる事項の承認に関すること
(1) 圏域の設定
(2) 業務の法人への委託
(3) 委託先法人の予防給付に係る事業の実施 
(4) 指定介護予防支援の業務の一部を委託できる指定居宅介護支援事業所の選定 (5) 公正・中立の確保に関すること
2 センターの運営に関すること
(1) 運営協議会は毎年度、センターより次に掲げる書類の提出を受けるものとする。
1当該年度の事業計画書及び収支予算書
2前年度の事業報告書及び収支決算書
3その他、運営協議会が必要と認める書類
(2)運営協議会は(1)2の事業報告書によるほか、次に掲げる点を勘案して必要な基準を 作成した上で、 定期的に又は必要な時に、事業内容を評価するものとする。
1センターが作成する介護予防サービス計画において、正当な理由なく特定の事業者が提供するサー ビスに 偏っていないか。
2センターにおける介護予防サービス計画の作成の過程において、特定の事業者が提 供するサービス の利用を不当に誘因していないか
3その他、運営協議会が地域の実情に応じて必要と判断した事項 3 センターの職員の確保に関すること
運営協議会はセンターの職員を確保するため、必要に応じ、運営協議会の構成員や、地域の関係 団体等の間での調整を行う。
4 その他、地域包括ケアに関すること 運営協議会は、地域における介護保険以外のサービス等との連携体制の構築、地域包括支援ネットワークを支える地域資源の開発その他の地域包括ケアに関する事項であって運営協議会が判断した事項を行う。
5 地域密着サービスに関すること 地域密着サービスの指定、地域密着サービスの事業の人員、設備及び運営に関する基準について意見を徴するもの
*地域包括支援センター運営マニュアルから抜粋 

急になんだかお硬い文章が連なりまして失礼いたしました。
ただ、必要なこととして記させていただきました。

それでは、本題に少しずつ進んでいきますね(*´∀`*)

○公益性の高い事業であること

 地域包括支援センターの(以下包括支援センター)業務は「地域包括支援センター運営協議会」という協議体によって内容が決定されます。地域の特性に業務内容が合っているのか?その他、地域住民や委員として選任されている役員の考え方や課題意識はどこにあるのか?などを踏まえ、事業計画に沿った活動報告を求められます。よって公益性の高い事業として位置づけられており、介護保険法によって定められております。その意味合いもあり、独自性ある事業を行うには、運営協議会・主幹する自治体の承認が必要になるということでもあります。

~包括支援センターの業務内容のおさらい~

1)総合相談・支援事業
高齢者に関する幅広い相談の受け付け
介護、医療、福祉、保健など、さまざまな制度や地域の社会資源の紹介など

2)介護予防ケアマネジメント事業
要介護認定で「要支援」と判定された高齢者を対象にした、介護予防ケアプランの作成、要介護認定を受けていない高齢者を対象にした、介護予防教室などのご紹介や実施など

3)権利擁護事業
悪質商法などの被害防止と対応 高齢者虐待の早期発見と防止
成年後見制度などの手続き支援 権利擁護関係の研修開催など

4)包括的・継続的ケアマネジメント支援事業
地域の居宅や施設のケアマネジャーを対象とした研修会の実施
ケアマネジャーのネットワークづくり
ケアマネジャーが抱える困難な事例についてのアドバイス
地域におけるさまざまな社会資源との連携、協力体制の整備など

○包括支援センター職員というカテゴリ

  包括支援センターの職員に求められる専門性とは?に関係するのが、上記にあるような業務に基づいた支援展開が主業務であるということです。
 看護師や社会福祉士、主任ケアマネジャーとして本来の視点だけではなく、包括職員としての視点を別に持つ感覚を感じざるを得ないのには訳があります。
 それぞれの専門職が見えた課題を統合し、バランスを取っていくことを目的とし、人を繋いでいく。また、繋いだ人からより効果的な支援を考える。
 一つの職種では完結ししにくく、支援の終結に至るまでには、沢山の細やかなアプローチが必要だということが理由の一つにありそうです。

*一次予防、二次予防、三次予防として考えたとき。
 一次予防的な役割に重きを置かれているのが、包括支援センターだとも言えます。予防啓発活動が主で、問題解決を積極的に担うというより、問題解決に近づけられる方法を考えて行く、と言ったほうが適切なような気がします。

一次予防、二次予防、三次予防とは?
*一次予防とは
、病気になる前の健康者に対して、病気の原因と思われるものの除去や忌避に努め、健康の増進を図って病気の発生を防ぐなどの予防措置をとること。(チラシによる啓発活動や、健康教室の開催など)
*二次予防は、病気になった人をできるだけ早く発見し、早期治療を行い、病気の進行を抑え、病気が重篤にならないように努めること。(健康診断など)
*三次予防は、病気が進行した後の、後遺症治療、再発防止、残存機能の回復・維持、リハビリテーション、社会復帰などの対策を立て、実行することになります。

*直接的支援よりも間接的支援から個々の能力に合わせた対応を行っていくこと。

 まずは健康状態、続いて環境要因・・など、その方に不足しているものやこと、これから「*強みとして活かせる観点を探り」絡まった課題を解きほぐし、重なったものを剥がしていきながら、課題の本質にせまっていく糸口を見つける。
 それがケースワークであり、支援の土台となる部分であると感じております。
*強みよりも先に弱みを見ますよね。「何ができておらず、どこが問題なのか」それに対して、支援者側と対象者は「なにができるのか」考えていくときに強みを観ます。その視点は、その場限りの解決だけではなくその後の課題克服までの支援の視界を広げてくれます。強みはどうやったら見られるのでしょうか?
→ここ、深めたいですね。

*効果的なリファー(他事業へのつなぎ)と、多角的、包括的視点によるソーシャルサポート。

 建物の建設業者に例えれば、課題を解きほぐし、支援の土台(基礎)ができたら、はじめは建物を建てるための専門職、いわば大工さんと一緒に設計しますね。これが支援計画になるわけです。ここでいう大工さんは、ケアマネジャーであることが多いですね。沢山の部材としての社会資源とそれに関わる専門職をコーディネートして、個別に合わせた家、プランを作るということです。
 専門特性ある見方や、専門職個人の思考にある偏りを防ぐために「3職種」(*保健師・社会福祉士・主任ケアマネジャー)が配置されています。そこでは、議論をぶつけながら、支援が必要なその方にとってのより良い暮らしに近づけることが出来るよう、サポートしていきます。

○全員が「ある一定の基準」を持ち合わせているということ

 「一定の基準である必要がある」ということは「突出した専門性が無くても良い」ということよりも、偏りのない包括的視点から導き出した支援方策を打ち出し、より直接的な支援が行える専門機関へつなぐこと。それにより、生活しやすい環境が整い、生活の質を上げることにも繋がるということです。
 それは、何度も前述している程に大切にしている連携の視点であり、包括支援センターの持ち味としての専門性なのでしょう。

 では、さらに力を発揮するとしたら何か?それがソーシャルアクションになるのだと思います。

ソーシャルアクションとは?〔社会的活動の意〕
世論を喚起するなどして立法・行政機関に働きかけ、政策・制度の改善をめざす組織行動。
*コトバンクより引用

 もし、自分の地域に必要なもの、ことがあれば制度化を考えたり、必要性を意識していけるよう幅広く働きかける方式をとる。そして、地域住民なども共に具体的に向かっていける方策を考え、実行していくこと。
 それがソーシャルワークの一環として広がり、関わるすべての方の幸せに寄与する。そこには、利益や営利重視の活動よりも公益性の高い事業のほうが相応するということなんですね。
 言い換えれば、お金にならないところを埋めるという役割もあるということでしょうか。
 起源はボランタリーな活動から始まったと考えれば、より個別に即したさらなる専門性ある直接的支援が、介護保険事業所であったり営利事業であったり非営利団体であったりという他の組織の役割になるんですね。

ソーシャルワークとは
誰もがより楽しく、しあわせな気持ちで
「生きる」ことができるようにお手伝いする仕事です。
ソーシャルワーカーは
誰かのしあわせを願い
誰かの笑顔のために、一生懸命になれる職業です。

*ここからは、包括支援センター業務に関する質問にお応えした内容を少しだけ記載したいと思います。

Q 包括支援センターの職種専門性や特性は否定しないが、それ程特化した専門性を必要としない代わりに、全職種の要素が求められるというのはどういうことなのか?

 名称にも含まれているように、包括的な支援業務だからなんですね。
多職種、他職種連携を基礎として、地域住民などの個別ケースというミクロな視点から、地域などのマクロ視点までを踏まえた上で、短期的・中期的・長期的な目標を定めつつ効果的に働きかけていくという視座が基礎根底にあります。ですから、全職種の要素が必要と考えているのはそのためでもありますし、何よりも「地域住民の最大の利益を考えたアプローチ」を意図しなければなりませんから。

Q、訪問時の個別支援に必要とされる包括目線とは何ですか?また、サービスに繋げる時、牽引役なのか?つなぎ役なのか?そこから先はお任せなのか?方針の共有に不安がある連携先は選べず、主導的にならざるを得ないと思うのは、余計なことなのでしょうか?

 個別的な支援で必要とされるのは、そもそもどんな支援が必要なのか?を数々の情報から見て探り、必要な支援サービスなどをイメージした上で見立てますね。必要あることは、予防的観点なのか、継続的な観点なのか、権利擁護なのか等、必要な制度につなげるための必要な支援をしていくわけです。そして、包括支援センターと支援が必要な方と協力して課題解決に立ち向かっても、できることは限られています。ですから、その先につなぐ制度や事業への「スムーズなつなぎ」が求められます。「スムーズとは、支援の必要な人が戸惑わず、つなぎ先の領域を考えた支援」です。主導的になる場合は、その地域につなぐ先がなかった場合や緊急避難的なアプローチが必要な場合ですが、どちらにしてもその場合は行政も一緒に関わりを持つ可能性が限りなく高くなる、ということを考慮する必要があります。 

 ソーシャルワークの専門性と包括で求められている範囲がどの程度なのかを言葉で簡単には表現できません。しかし、基本程度の知識と基礎的なコミュニケーション能力しか発揮できていないと感じることがあったとすれば、それは包括的な視点としての(3職種の要素を織り交ぜた)支援策がもう一つあるということにもなります。
 今の支援で必ずしも足りないわけではありませんが、包括支援センターには公益的な視点から、現時点で必要とされている支援が当てはまらない、見当たらない場合は積極的に制度化に向け計画し、地域住民からの幅広い意見を引き出すなどの働きかけを、行政に一番近い専門機関として積極的に行っていく、そのベースを創っていくことが求められているということなんですね。

~終わりに~

 地域包括支援センターの役割を説明しようとすると、一言では表せずこのnoteだけでは伝えきれません。また、地域ごとの手法や制度策定の方針などによってそれぞれ特色があるのも事実です。
 この度の考え方は、個人的な思考をもとに展開したものと捉えていただき、何かしらのきづきのきっかけにしていただけたらと思います。
 その他、疑問点などありましたら遠慮なくご意見やご感想をお寄せいただけたら嬉しく思います。

最後までお読みいただき、本当にありがとうございました( ^^) _旦~~

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