ご忠言 新田はちろう知事はツイッターをやめてはどうですか

角田ゆうき高岡市議の投稿に「いいね」

 25日の「北日本新聞」朝刊より。新田はちろう富山県知事が、自身のツイッターアカウントで、今年の高岡市長選の自民党の選考に名乗りを上げた角田ゆうき高岡市議の意思表明ツイートに「いいね」を付けたことが明らかになった。新田氏本人は、角田氏とは昔からの知人であり、他意はなく、特定候補を応援するつもりはないのだ、と釈明した。

 しかしながら、県のトップという地位にある人物が、個人のアカウントを用いて特定候補の政治的主張を含むツイートをお気に入り登録したとは、不注意との誹りを免れない。自民党の選考を巡っては、この他にもジャーナリストである出町ゆずる氏が自薦、高岡市教育長の米谷氏和也氏が他薦で推薦候補となっているが、ツイッターアカウントを持つ出町ゆずる氏の投稿には新田氏は何も反応を示していない。記者に問われ釈明したとはいえ、高岡市の市政に影響を及ぼす恐れもあり、こうした無思慮な行為はいただけない。

増えていく恣意的な「いいね」と更新されないツイート

 前回の豪雪の際にも、新田氏のツイートが一部で問題視されたことがあり、ツイッター運用にはより一層の注意が必要だと外部から見ていても思われた。それなのに、こうした公人としてあるまじきテイタラク…ご自分が県知事であり、その何気ない行動がどれほどの力を持つのか、自覚がないのではないか。

 この他、「いいね」欄を見ると、個人の好みや縁故関係によるとしか思えない、恣意的な「いいね」が散見される。県知事選挙後には、新田氏のツイート投稿数もめっきり減ってしまい、公務が忙しいからとこちらでは思っていたが、何のことはない、「いいね」は増え続ける一方であり、ツイッターは閲覧・使用しているのである。

 この他にも、新田氏に期待して投票した県民をモヤモヤさせる投稿は少なからず存在する。  

 例えば、これ。

 この人物は政治専門の広告代理店を営んでいるとのことであるが、ここで注目したいのが、新田氏の「私もその会社のクオリティの高い仕事に大いに助けられ」たということばである。選挙関連のことを指すとしか考えられまい。つまり、この人物の会社と新田氏は、利害関係にあるのである。

 実はこの古井氏、選挙期間中には以下のようなツイートを投稿していた。



 さも中立的な解説のように見えるが、このように新田氏と長年付き合いがあり、利害関係があったのだとしたら、胡散臭く、白々しい解説に見えてしまう。

 他にも、この人物は投票日直前に富山に来訪し、各陣営についてのレポート的なツイートを投稿していた。


 加えて、この人物は、富山テレビの開票ライブ番組にも出演し、識者然として解説を行なっていたのである。また、「北日本新聞」に至っては、「有識者に投票意義聞く」などと称して、有識者などという一介の学生には大仰すぎる題をつけてこの人物らにインタビューしている。これらのローカルメディアは、新田氏とこの人物の営む会社の関係性を知ったうえでキャスティングしていたのであろうか。


 もちろん、これらの行動は法に触れるものではないだろう。しかし、ただでさえ対立勢力から金にものを言わせた選挙だ、脱法選挙だ、などとの中傷を受けていた選挙キャンペーンだったのだから、こうした不用意なツイートで、特定の会社代表、それも中立的な立場であるかのように情報を発信したり、解説を行なっていた人物とのつながりを自ら表に出すのは、控えるべきではなかったのではないか。小生自身も法に暗いし、問題はない行動なのだろうが、先述したようなモヤモヤ感は拭えない。

 さらにいえば、知事が「友人」の卒業祝いのツイートをするとは何事なのか。富山県出身の人物ではあるが、はっきり言えば単なる学生起業家であり、知事がわざわざ取り上げるほどのものだろうか。富山出身の学生起業家なら、一昔前と違い、そこらにいるだろう。日頃、多くの人物や話題を取り上げるツイートを新田氏が頻繁に投稿しているのであれば問題はないのである。しかしながら、県民の中にも引揚者が多くいる、北方領土についての理解を深めるための北方領土記念室が黒部に出来た時も、また今月の「北方領土の日」にも何らツイートをせず、このほか、県民の関心を集めるべき事案に何らツイートを投稿しないのに、こうした「身内」に関するツイートを、投稿数の少ない知事アカウントで出しているのだから問題なのである。

 角田氏の投稿への「いいね」といい、学生起業家への祝意ツイートといい、一体誰のために、何のためにツイッターを運営しているのか。私的なツイートに県民は何も求めるものはない。どうしても私的なことを投稿したいのならば、別のプライベートアカウントを作るべきであり、現在のアカウントで私的ツイートに織り交ぜて気まぐれで散発的な県の情報発信をするべきではない。何を考えているのか、サッパリである。

 思い返せば、新田氏のツイートが問題になったのは知事就任以後に限らない。選挙戦中に、現職石井支持だった瀬川ゆうき氏が批判したように、新田氏は老体の石井氏を揶揄するようなツイートを投稿していた。

 これに関しては、瀬川氏の言い分はごもっとも、である。新田氏の投稿はすぐに消されたのであるが、情けない限りであった。あの選挙は揉めに揉め、デマや中傷が飛び交うこともあったから、新田氏もムシャクシャしていたのかもしれないが、正直にいうとこの悪ノリにはついていけなかった。

期待した県民をこれ以上ガッカリさせるな

 小生を含め、新田知事誕生に期待した県民は数多い。その結果として、あの歴史的な選挙結果が生み出されたのだ。

 しかしながら、政策の是非はひとまずおくとして、個人的な新田氏への印象は悪くなる一方である。

 今回取り上げたツイート騒動以外にも、選挙後にKNBが行った特集で、インタビューされた新田氏の親類の弁護士が得意げにどのように違法にならない選挙を行ったかをしゃべっていたが、あれにもいたく失望した。もちろん、番組の編集もあるのであろうが、受けた印象は最悪で、あたかも金持ちだから勝てた、と言っているようなものだと感じた。  

 硬直化した石井県政を打破したことの意義は大きい。しかし、新田氏は政治のシロウトだ。今後も不用意な言動が続き、一切自身の引き締めを行わないのであれば、もう2期目はないだろう。

 ネット上では、恐らくはかつての反対勢力と目される一部の人々が、巧みに虚偽を交えた情報を流し、新田氏の失政を印象付ける活動を行なっている。挙句の果てには新田氏が地元メディアとグルになっているというような摩訶不思議なデマさえ拡散している。反対勢力からすれば、新田氏が金や選挙戦略だけで勝ち抜いただけであって、実際には失政続きだ、間違った民意だ、という流れに持っていきたいのであろう。そうすれば、次からの「反乱」の芽も出にくいし、今回現職を応援していた勢力も日陰者の思いをしなくて済むようになる。

 知事になったから安泰、というものではない。県内各地で不正発覚による議員の大量辞職があったのはつい先日のことだ。クリーンな政治とは程遠い、陰湿でずるがしこい政治屋が渦巻いているのが富山の政界である。早くも次の選挙を見据え、新田氏の足を引っ張ってやろうと手ぐすねを引いている連中はどこにでも存在しうるのだ。温厚そうに見える某議員も、新田氏を貶めるツイートに「いいね」をしていた例もあるではないか。誰が信頼できるのか、わかったものではない。気を緩めてはならないし、つけ込まれる隙を与えてはならないのだ。

 以上、新田氏のツイッターの使い方への疑義を記してみた。こんなつまらないことで新田氏の政治家としてのキャリアに傷をつけて欲しくない。今後はしっかりと県民の未来を担う地位にあることを自覚してほしい。


追記

 選挙情報を扱う業者のアカウントのようであるが、「富山県知事選の若き立役者」とある。真偽は不明であるが、もしそうならばこの人物が積極的に県知事選に関わっていたことの傍証といえよう。中立を装って情報を発信していたが、実は最初から新田陣営だったということか。

 



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