悪あがき 富山県議 種部きょうこのネガティブキャンペーン

新田氏当選前夜に起きていたこと

 富山県知事選は新田はちろう氏の勝利となり、富山県内のみならず全国に衝撃を与えた。翌朝から、地元の新聞は新田氏の政策や今後の県政について詳細な分析や考察を加え始めたが、「北日本新聞」をはじめ、今回の保守分裂で県内の議員らの間に亀裂が入ってしまったことに憂慮を示す論調が目立った。特に、「北日本新聞」は、27日朝刊の1面の論説に、「募る不信 遠い融和」の見出しを付し、石井陣営支持に回った議員らの批判までをも引用しているが、あたかも不信を招いた責任は新田氏側にあるかのごとき書き様である。  

 敗者に甘くなるのは、判官贔屓ともいって日本人の性質とも言えるものなのかもしれないが、新田氏側から見れば、石井陣営についた諸議員こそが不信の権化であろう。本ブログでも取り上げてきたように、石井陣営の新田氏への批判も苛烈であり、正々堂々とした議論を交わさずに印象論を拡散させて恥としない議員もいた。

 とりわけ悪質なのが、富山県議会議員、種部きょうこ(種部恭子)氏による、悪質な新田陣営非難である。

 これは、投開票日25日に日付が変わる直前12分前に投稿されたツイートである。最後のお願いに各陣営が取り組む中、この人物は上記のようなツイートを投稿したのである。

 内容から見てみよう。種部議員は、新田陣営が最後の最後までイメージ戦略のみで、具体的な政策がなかった、という(正確に言えば、名指しはしていないが、事実上の一騎討ちの中で、変革を訴えていた新田陣営を指していることは自明である)。「最後の最後まで」などというが、新田氏は早くより地道な地域集会を重ね、自らの構想を訴えていた。つまり、事実はむしろ逆で、最初から最後までコツコツと政策を有権者に伝えてきたのである。また、明確な政策がないというが、新田氏のマニフェスト88箇条もウェブ上で公開されていて、誰でも見られることは周知の事実である。これが明確な政策でないというならば、どの部分が不明確か指摘すべきであろう。

 次の段落では、「だからネガティブキャンペーンばっかりやってるんだと思う」と記されている。これは二重、三重に悪質で、何も知らない読者は、新田陣営がネガティブキャンペーンやっているのだと思い込むだろうし、それも「ばっかり」とあるように、それに打ち込んでいるかのように誤解してしまう。新田氏側がネガティブキャンペーンをしていたとは、メディアも報じていないし、世間の噂話でも耳に入れたことはない。むしろ、ウェブ上で怪しげな女性問題やら中国とのつながりだとかいうデマを振りまいていたのは、石井支持者に多かったし、この種部きょうこ氏のこのツイートも、その類の悪質なデマと大差ないレベルである。県議会議員がこのように新田陣営が汚い戦略をとっていたかのように記すと、我々一般有権者は知らないが実は内部ではそうだったのか、というふうに勝手に得心する人たちも出てくるだろう。なんとも卑怯な手法である。

 それも、このツイートが投稿されたのが、投開票日25日に日付が変わる直前だ、という点も忘れてはならない。投開票日当日の選挙運動は禁止されているので、このツイートに反論することも、その内容に一方の陣営を利する内容があれば公職選挙法に抵触する恐れがあるからである。もし、そのような反論を阻止するための作戦だとすれば、狡猾としか言いようがないし、もしそうではなく、単純に最後のお願いの一つが、石井氏の魅力を伝えるでもなく、新田氏陣営への中傷だったのだとすれば、なんとも情けない限りである。

有権者に根拠のない危機感を煽る種部きょうこ氏

例の「ネガキャン」ツイートの前には、上に引用した有権者の危機感を煽るツイートを投稿している。知事が変われば子宮頸がん予防ワクチンの接種事業や、性の健康教育が停滞してしまうという。どこに根拠があるのか、全く明確ではないが、日医工社外取締役をつとめ、県の医療政策に積極的に関与している議員が言うのであれば、鵜呑みにしてしまう有権者も出てくるのではないか。

悪質な投稿に「いいね」をつけた宮本みつあき県議会議員

 先にみた種部氏の「ネガキャン」ツイートに、「いいね」をつけたのが、富山県議、宮本みつあき (宮本光明)氏である。

 こうした印象操作を行うツイートに「いいね」をつけたこと自体が不可解であるが、備忘録がわりにこの機能を使う人もいるので過度に反応すべきではないかもしれない。しかし、ここで宮本光明氏をとりあげるのは、この人物が県知事選がはじまってから突如ツイッターの更新を始めた点が興味深いからである。

 議員の使命の一つに、有権者への情報発信があろう。この議員は、選挙が始まる前はほとんどツイッターなどの更新を行なってこず、ネット上での情報発信には不熱心であった。氏のツイート投稿は、今年1月にフェースブックのリンクを投稿して以来、長らく更新がないまま。それが今年10月になって、返信の投稿などが突如行われるようになったのだ。

 「いいね」の一覧を見ると、これも2018年4月以降、長らく登録されるものがなかったが、2020年7月に至って突如夥しい量の「いいね」が付されるようになる。

 この時、2020年7月に何が起こったか。そう、富山県知事石井たかかず氏の公式ツイッターの運用開始である。 

 この時以来、宮本みつあき氏は、ほとんどすべての石井氏のツイートに「いいね」を付す作業を開始しているのである。

 二元代表制をとる県政において、一県議会議員が、首長の投稿に一々「いいね」をつけている光景も、中々ぞっとしない思いのするものであるが、有権者への発信を疎かにしながら、このような党利戦略にいそしんでいたとは、まことに結構なことである。石井氏の公式アカウントが発信したもの以外の「いいね」を付けられたツイートをみてみると、石井氏を称える内容のものや、石井氏の情報を伝える投稿がもっぱらである。そうした中で、例の「ネガキャン」ツイートにまで「いいね」をつけているのであるから、見るものからしたら、単なるブックマーク的な登録ではなく、石井氏を利する内容と判断して「いいね」したと解釈されても仕方がないだろう。さすれば、宮本氏はこの悪質なツイートの内容に賛同したとみて差し支えないわけである。

まとめ

 このように、今回の県知事選にあたって、種部きょうこ氏が行った悪質なネガティブキャンペーンを行っていたことを取り上げた。このツイートに対し、選挙を機に突如ツイッターの運用を活発化させて宮本みつあき氏が「いいね」をつけていたことにも着目したが、実は今回の選挙にあわせて日頃見向きもしなかったSNSでの発信を始めた議員は、他にも存在する。

 ツイッターは、時にネット上で「バカッター」とも揶揄されることがあるそうだ。未成年を主として、ネットリテラシーのない人間が、不適切な投稿をすることで「炎上」してしまうことから来た別名らしい。我々の県の議員さんたちも、石井氏の再選キャンペーンに絡んでにわか仕込みでツイッターを始めた人たちが多いようで、彼ら自身のツイートの社会的影響力などについては思いが及ばないようである。これからも無責任な発信が続き、「炎上」してしまうことだけは、県民の名誉にも関わることであるだけに避けてほしいものである。


追記

 2020年10月28日現在、種部議員は、新田氏当選後、ツイッター上で支援者への感謝や敗戦をめぐっての謝罪声明など一切出していない。しかしながら、以下に転載する10月26日付けのツイートを「いいね」しているので、ツイッターを開いていることは確実である。このままダンマリを決め込むのであろうか。今後のツイートから目が離せない。

 


追記2

宮本光明富山県議は、県知事選終了後、ツイッターの運営を一切やめてしまっており、2020年12月7日現在に至るまで更新がない。結局は石井応援のために情報発信をしていただけで、それが終わると有権者への情報提供などという面倒なことにはオサラバ、というわけか。なお、石井隆一氏は県知事の職を退いたのちにツイッターアカウントを消去しているため、本記事で紹介した宮本光明氏の「いいね」キャンペーンはもはや確認できなくなってしまった。

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