見出し画像

3年に1度、富山に世界のポスターが集まる!

みなさま、こんにちは。フリーライターのmakiです。
赤と黒。かなりインパクトのある上の画像は、「第13回 世界ポスタートリエンナーレトヤマ2021」の開催告知ポスターです。

この展覧会は、1985年に創設された日本で唯一の「ポスター」の国際公募展。
世界中から最新のポスターを公募し、審査・選抜したものが展示されているのです。

1.開催場所は、富山県美術館

世界ポスタートリエンナーレトヤマは、3年に1度開催され、今回で13回目。
開催場所の富山県美術館には、世界64の国と地域から全5,943点のポスターが一堂に集まります。
圧倒されるほどの数、しかも最先端のポスターを一度に観られる機会なんて、そうありません。
衝撃を受けたり、考えさせられたり、ほのぼのしたり、怖くなったり。
一人遊園地状態を味わえます。

2.ポスターを美術館で展示する理由[学芸員の方にインタビュー1]

というわけで、富山県美術館へ。
世界ポスタートリエンナーレトヤマについて、またポスターについて、学芸員の方にお話を伺いました。

上坂さん2

▲こちらが、富山県美術館。
ガラス張りの窓からは、天候に恵まれれば立山連峰の雄姿が。
眺めもいいんです。


[学芸員の方にインタビュー1]

―そもそもポスターとは何でしょう?

ポスターは、街の中でよくご覧になりますよね。展覧会やお芝居などの開催告知から、社会啓発のようなものまでいろいろなものがあります。ポスターはその紙を通してメッセージや情報を共有するもの。街を飾るためのものというよりも、言葉を超えて視覚で伝えるメディアです。

―なぜ、ポスターを美術館で展示するのでしょうか?

メディアであると同時に、一枚の紙という造形物だからです。情報を伝えるという機能を持ちながらも、一枚の絵画に匹敵するような考えとプロセスによって作られているものなので、美術館という場所で一つの制作物として改めて観たときに、街の中とは違った見え方がするのではないかと思っています。

3. メッセージに、国境はない[インタビュー2]

―今回は、中国と日本の作品が多い印象を受けましたが、いかがでしょうか?

多いです。日本は開催国なので、自ずと関心が高まります。また、アジア圏全体の勢いがすごく、特にここ10年ほどで「デザインの勉強をしたい」という若い方が増え、裾野が広がっています。

―インターネットの普及によってなのか、国の違いが薄くなっているように思いましたが、いかがでしょうか?

今回だけではなく、ここ何回かそうですね。インターネットによって、自ら動かなくてもいろいろな情報が取得しやすくなりました。10年、20年という長いスパンで見たら、人の動きも自由になり、ポスターを作る人たちにも影響をもたらしているのかなと思います。

ポスタートリエンナーレチケット

©2021 第13 回世界ポスタートリエンナーレトヤマ2021 デザイン:三木健

▲これが、チケット。


4.言葉を超える、一枚の紙[インタビュー3]

―ポスター鑑賞の楽しみ方をお聞かせください。

ポスターの作り手は、皆さんの近くで暮らしている人もいれば、国境を超えた遠くで暮らしている人もいます。紙一枚を通して、さまざまな作り手の「自分たちの状況を伝えたい」「問いかけをしたい」という思いを共有できることが、この美術館で世界中のポスターを観ることの面白さです。
一つの造形の向こう側に、言葉を超えたメッセージがあるということを感じていただけると嬉しいですね。そのうえで街の中に出た時に、ポスターに限らず「自分たちの身近な生活の中にも造形として考え抜かれたものが隣り合わせにあるんだ」ということの発見になればいいなと思っています。

―ポスターの一番の魅力は何でしょうか?

一枚の紙であること。それから目で見て伝わるものであること。知らない国の言語が書かれているものもたくさんありますが、その言語が理解できなくても、パッと見る人の目を捉えれば視覚を通し言葉を超えて心に届きます。それが、ポスターの面白いところですね。
今回は新型コロナウイルス感染症によって、無事開催できるかハラハラしていましたが、賞決定の審査と開会まで進めることができて嬉しく思っています。


学芸員の方、ありがとうございました! 
気になる作品、考えさせられるポスター、心和む一枚、いろいろなメッセージに会えます。

※新型コロナウイルス感染症の拡大を受け、富山県美術館は8月18日より全館臨時休館となり、残念ながら本展覧会は途中終了となりました。こちらの記事や受賞・入選作が掲載された図録でお楽しみいただけますと幸いです。

上坂さん4

▲富山県美術館1階「TADギャラリー」(入場無料)



[ライタープロフィール]
maki

上坂さん5

富山県砺波市を拠点にライター、コピーライターとして活動しています。写真は、世界ポスタートリエンナーレトヤマの図録。1階のミュージアムショップで販売していますよ。記念にどうぞ。

上坂さん6

同ショップで、この手ぬぐいを買いました。マリメッコなどで知られるテキスタイルデザイナーの鈴木マサルさんが、富山の魅力を表現した「富山もよう」のシリーズのひとつです。お土産にどうぞ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?