一人旅の醍醐味、バンコクにて再度

時系列は前後して、6月。
ビザランの関係で一人バンコクへ飛んだ。

バンコクは以前に訪れたことがあり、特にやりたいことも無くどうせな未訪問のバリやシンガポールでも良かったが、決め手としてはインド時代のタイの友人が住んでいることがあってバンコクに行くことに決めた。

Vと出会ってから、めっきり一人旅の機会が減った。
考えればマレーシアに来てからの旅行はいつもVが一緒だった。

となると、一年以上ぶりの一人旅となる。

誰にも気を使わず、どこで何をしようが、一人旅という冒険は完全に私の手中にあり、自由で、そして同時に退屈な時間が過ごせるのだ。

何時にどこで飲み食いしようが、どんな人と出会おうが、観光もせず一日中ホテルで引きこもろうとも、センチメンタルにグラスを傾けようとも、
それはもう全てが贅沢で凝縮された至福の時間。

人生で一番心が躍る時間。

Vは寂しそうだったが、私はわくわくを隠しきれなかった。

バンコクについて、友人に会う以外は、やはり特にしたいこともなく暑さのせいもあってせいぜい夕方になって行動を始める数日が続く。

午後5路過ぎてもなお、サングラスなしでは目を開けていられないほどの太陽の日差しに負けじと街の中をひたすら彷徨いて、10年前と変わらない屋台がそこらに並ぶ路地裏と、全く別のCITYのように発展したモノレール沿いの差を愉しんだ。

物価も勿論しっかりとあがっている、それに加えて円が弱い。

カフェに入ってコーヒーを頼んでも、東京よりやや安いくらいの値段だし
ちょっと小綺麗なレストランに入ればマレーシアで外食するより高い。

節約旅のわけではないが、毎日屋台とフードコート巡りをして、帰りにコンビニでChangビールを買ってホテルでYoutubeを見ながら晩酌、そしていつの間にかうたた寝。既婚であることすらほんのり忘れて、20代の放浪時代を反芻する時間となる。

ああ、これぞ侘びしく愉快な一人旅の美しさよ。

結局、持っていた本を開くことは無かった。

そして、案の定暇だった。
かといってVに連絡を取りたいわけでもないし、バーに行って同じような旅人と乾杯する気分でもない。

この、暇、それ自体と時間を過ごすことこそが至福の時間。
わたし、もっと一人旅したほうがいいわ。
でも、もしここにVがいたら、それはそれでとても楽しかったんだろうな、我が家の猫は犬はハムスターは、元気にしているかしら、等々。

浮上しては沈殿を繰り返すよしなしごとにて一日が過ぎていく。

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