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アイデンティティの崩壊

えーっと。

なんで女はスカート履くんだっけ?
なんでメイクってするんだっけ?

てゆーかわたしって男だっけ?女だっけ???

そんなことが分からなくなった。


夫が突然亡くなった衝撃は、わたしのアイデンティティを粉々に破壊した。


「わたしは◯◯です。」

今まで自分で決めてきたそれらが全くしっくりこない。

違和感。



「わたしはワンピースが好きです。」

え?ほんまに??


確かにクローゼットを見渡せば色とりどりのリネンのワンピース。

ちょっと個性的なショートカットに髪を明るく染めてこのワンピースを着ていれば、たちまちおしゃれさんに見えたよね。きっとおしゃれな人として認識されていたよね。

でもさ。
それって本当に好きだったの?

もちろん当時はそれが最高だった。
でも今は?

全くときめかない。
歩きにくいし重いし女性らしすぎてむず痒い。

今考えてみれば、わたしはそれを誰かから見られる前提で着てたんだ。

お洒落でイケてる人だと思われたかった。あわよくばモテたかった。

もうそんなこと、どうでもいい。

他人からの目線もモテもどうでも良くなった今、わたしが選ぶ服は自転車に乗れて(必然的にパンツスタイル)、動きやすくて締め付けなくて綿100%の着心地の良い服。かつ着るとちょっと明るい気持ちになれる服。


髪も暑いから切る。
なんかモヤモヤするから切る。
ことあるごとに切っていたら過去最高に短い。ベリーショートを超えたベリショ。というか男。

こんな刈り上げで派手なパンツスタイルで一体何を目指してる人なのかわたしにだって分からない。

自分が分からなくて混乱してる。

ここから、ゼロから、わたしの新しいアイデンティティを積み上げていく。




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