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5 織りの会・東京出張・岩手ADC

織の会

毎週火曜日に旧田河津市民センターで作業している織の会を見学しました。
最初に織り機に糸をかける際、糸が途中で絡まったりほつれたりしないように5人がかりで慎重に巻いていく必要があるので、織るのは楽しいけどこれが大変!とみなさんおっしゃっていました。

穴ひとつひとつに糸を通します
カラフルな変わり糸だと更に大変!
ひたすら櫛で解きます

こちらの会では「紙布織」を作る方もいらっしゃいます。紙布とはその名の通り、紙から作られた布のこと。和紙を細く切って撚った糸で織ります。以前から紙布織家の方のInstagram(山内ゆうさん)を見て素敵だな〜と思っていたので見せていただけるのが楽しみです。また来週も行きます!

東京出張 1日目

色々と用があり、1ヶ月半ぶりに東京へ!
4月中に副業でロゴをデザインさせていただいたギャラリー「art-ANATOMIA」が日本橋に開廊したので、看板を見てきました。

卒業制作の看板を見て声をかけていただいたことも、岩手にいながらリモートで進められたことも、本当にありがたいお仕事でした。そして驚くことに、このギャラリーのお隣さんは和紙を販売しているお店でした…!
他にも日本橋には和紙を売る店が多くあり、帰りにいくつか見て周りました。
インテリア和紙・襖紙の版元和紙問屋、東京松屋のショールーム・ショップでは、たくさんの襖や屏風と「江戸からかみ」に関するものが展示、販売されていました。

天井には8mの巨大和紙が…

江戸からかみとは、襖や屏風などに貼られる加飾された和紙のことです。その文様の豊かさは『享保千型』と称され、江戸の家々の室内を美しく彩りました。


版木に絵具を乗せ、手で撫でながら和紙に文様を写し取っていく
襖だけでなく名刺サイズの小さい切れ端なども販売されています

店の女将さんにも和紙について色々教えていただき、和歌山県高野町の和紙「高野紙」をお土産に持たせてくれました。(紙を乾燥させる際に刷毛を使わず、縁を指先で擦って袋状にするのが特徴の素朴な紙。空海が高野山でお経を読む際に使っていたそう。)

ggg(ギンザグラフィックギャラリー)で開催中のTDC2024も観ました。TDCとは文字の視覚表現を軸にしたグラフィックデザインの国際賞です。
和紙に応用できそうなアイデアを求めて…

布貼りの表紙にタイトルを刺繍
紙を活かした広告物
紙を活かしたパッケージ

東京出張 2日目

東京都あきる野市のふるさと工房を訪問しました。

こちらでは東京都で唯一の和紙「軍道紙」の普及活動を実施しています。卒業証書用和紙の制作や、小中学校の社会科見学や紙漉き体験の対応がメインです。

東山和紙は流し漉きですが、軍道和紙の卒業証書は溜め漉き


「軍道」という厳つい名前なので武士や戦との関係がある和紙なのかな?と想像していましたがそうではなく、由来は集落の名前が「軍道」だったから、でした。字もあて字で、土砂崩れが多かった土地だったためついた名の崩土(ぐよんど)がなまって「グンドウ」と呼ばれるようになったといわれているそうです。
B級品として売られていた和紙が素敵で、お土産に買いました。

不要になった和紙をビーターにかけて再度漉いた紙。色々漉き込まれてぼこぼこした質感が味になっていて良い〜
東京都とは思えない大自然の中にありました

東京出張 3日目

多摩美術大学を訪問し、私が和紙に興味を持つきっかけになった「和紙と漉きの研究」講座の先生にお話を伺いました。

作業場

和紙を漉くときに楮や三椏などの繊維原料と一緒に水にネリとして混ぜる材料トロロアオイは、野菜のように洗って刻んで冷凍することもできるんですよ!と教えていただいたり

東山ではクレゾールという薬剤に漬けて防腐処理をしていますが、そのクレゾールが入手困難になってきているらしく…!

3×6判の障子紙を漉くようになったのは明治以降だから、古文書や町史をよく読んで発祥した頃はどんなサイズで漉いていたのか調べてみるといいですよ!と、とにかく実践的なアドバイスをいただきました。

岩手ADC

一般社団法人岩手アートディレクターズクラブ(岩手ADC)による年に1回の作品公開審査を見学しました。岩手県に拠点を置くクリエイターと作品が一堂に会する貴重な機会です。

選考が終わると票数が少ない作品は片付けられてしまうので、早めに来るのが吉!

デザイナーの方と話したりひとつひとつの作品をじっくり見ていたりしていたら、あっという間に4時間経っていて自分でも驚きました。
おもしろい地域にはおもしろいデザイナーがいる、という本がありますがまさにその通りだな…!と。岩手への愛を感じる素敵なデザインやアイデアが沢山ありました。

手切り(?!)の石ポスター、サイコー
石と賢治のミュージアムで鉱石バージョン、是非…

自主制作作品を出品できるオリジナル部門や35歳以下限定の新人賞があり、若手にチャンスが用意されていることも岩手ADCの特徴です。(ずっと思ってたけど岩手と若手、似過ぎ!岩手の若手なので困る)4月中は東山町内にどっぷり浸かりのほほんとした気持ちでいたので、ここに出品者として参加出来るように頑張ろうと気が引き締まりました。

黒丸健一さんのポスターが町中にある岩手、サイコー

デザイナーの方々と話していると和紙に興味がある方が多く、何より私もそのひとりなので、紙媒体のデザインに東山和紙を使いやすい状況を作れたらいいな、と思いました。
本好きとしてはBOK部門の本やzineが1番刺さりました。憧れで終わらせずに、作れるようになるぞ!!

写真では伝わらない良さ…中身を開いて読まないと…!
今年の投票は、お椀を重ねるわんこそば式

都会的な整ったものをただ適用するのではなく、土地に深く入り込んで独自性を見つけた先のデザインが魅力的だし、実際に評価されているなと感じました。

東京から岩手へUターンしたデザイナーさんと話していて、
1カ月ぶりの東京で街中の広告の量、情報の多さを再確認して一ノ関の生活で受け取る情報量の少なさが自分にとって心地よいのだと改めて感じました。と言うと、
自分も広告のない田園風景を絵画的に見ていたけど、農作業をして田んぼや畑を知っていくとまた景色が変わるんだよ、この田んぼの水位は…とか田植えが終わってないな…とかまた情報量が増えるんだよ、と。
なるほど!一見何もない景色から、多くの情報を得られるのってかっこいい。そういう情報の多さは素敵だな!と、これからが楽しみになりました。

新幹線の車窓より

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