見出し画像

電子書籍で気づいた紙の本の贅沢さ

久しぶりに紙の本を読むと、本を手にとって読むことの贅沢さを感じたので、今一度本の良さについて書こうと思う。

電子書籍は便利だ。発売日の日になればその場でダウンロード出来るし、大量の本をスマートフォンに入れて持ち歩ける。ネット上のセールでタダ同然で読めることもある。

しかし久しぶりに本を手に取って漫画を読むと、紙の本を読む色んな贅沢さを感じることが出来た。

まず、ページをめくるという動作。改めて考えると本のページをめくるというのは、実際指の先でめくらずに、握った手のひらを少しずつ緩めてページを送るという動作が一番多い。それはとても直感的で、電子書籍のボタン操作よりも高速で手早い。何よりも気持ちいい。

そしてページをめくる動作に付随するが、厚みを楽しめること。本を持っている状態で、今どの割合まで読んだか、あとどれくらいページがあるのか、手のひらに感じる厚みで割合が分かるのが便利だ。これの重要性は、今自分がどれくらいの速度で読んでいるのか、体感しながら読めるということだ。電子書籍にはその体感がない。

そしてまた、やはり紙とその紙に印刷された黒色を楽しみたい。本は、それを読むにふさわしい紙が選びぬかれて使われていると思う。触った時やページを送る時に感じる質感、印刷の黒色、紙それぞれで違う。近藤聡乃さんの「A子さんの恋人」という漫画が好きで何度も読み直しているが、この漫画は特に紙の上で読むのが意味深くで、劇中で漫画を描いている主人公の描写があることからも、紙のぬくもりによって作者の創意の心をより強く感じる。

久しぶりに読み直す漫画を手にった瞬間に、初めて読んだ時の瞬間を思い出すのは、やはり紙に触れることで、五感から思い出せるからだ。紙の方が思い出に残る、そんな気がする。

そんなわけで、本というのは今や贅沢だ。だけど、それらに気づかされたのは、電子書籍に慣れてはじめて比較できるようになったからなわけだけど。電子書籍も電子書籍で、ただ読めるだけで終わるのではなく、上記のような紙の体験が出来るアプリケーションUX(ユーザー体験)をより求めていって欲しいと思う。

いつか紙の本という存在が今以上に高級で贅沢なものになったら、昆虫を見たことがない都会の子供が本の虫を見て憧れるように、将来の子供は紙の本に憧れる未来もくるかもしれない。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?