メルマガ『東医宝鑑(東醫寶鑑)とういほうかん―古典から東洋医学を学ぶ―』第175号 新企画 ─「よもぎ」のテーマ読み ─ 3 「艾葉」(内景篇・大便・単方)他

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  第175号

    ○  新企画 ─「よもぎ」のテーマ読み ─ 3
       「艾葉」(内景篇・大便・単方)他

           ◆ 原文
      ◆ 断句
      ◆ 読み下し
      ◆ 現代語訳
      ◆ 解説 
      ◆ 編集後記

           

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 こんにちは。「よもぎ」のテーマ読みの続きです。
 前号同様よもぎで項目が立てられた部分を読みますが、一気に3つ読んでしまいましょう。


 ◆原文◆(原本の文字組みのままを再現・ただし原本は縦組み
      ・ページ数は底本の影印本のページ数)

 (「艾葉」 p198 下段・内景篇 大便)


 艾葉

           主赤白痢及膿血痢
   醋煎空心服之本草


 (「陳艾葉」 p269 下段・外形篇 胸)

 陳艾葉

    治卒心痛取熟艾
    濃煎服之即差本草


 (「艾葉」 p277 上段・外形篇 腹)


 艾葉

   心腹悪氣作痛擣取汁
   飲之乾則濃煎服之本草

    
 ▼断句▼(原文に句読点を挿入、改行は任意)


 艾葉

           主赤白痢及膿血痢。醋煎、空心服之。『本草』


 陳艾葉

   治卒心痛。取熟艾、濃煎服之、即差。『本草』


 艾葉

   心腹悪氣作痛、擣取汁飲之。乾則濃煎服之。『本草』


 ●語法・語(字)釈●(主要な、または難解な語(字)句の用法・意味)


  熟艾(じゅくがい)経年を経たよもぎ


 ▲訓読▲(読み下し)


 艾葉(がいよう)

赤白痢(せきはくり)及(およ)び

   膿血痢(のうけつり)を主(つかさど)る。

   醋(す)に煎(せん)じ、

   空心(くうしん)これを服(ふく)す。『本草(ほんぞう)』


 陳艾葉(ちんがいよう)

   卒心痛(そつしんつう)を治(ち)す。

   熟艾(じゅくがい)を取(と)りて
    濃煎(のうせん)してこれを服(ふく)せば即(すなは)ち差(い)ゆ『本草


 艾葉(がいよう)

   心腹(しんぷく)悪氣(あくき)痛(いた)みを作(な)すに、

   擣(つき)て汁(しる)を取(と)りこれを飲(の)む。

   乾(かわ)くときは則(すなは)ち

   濃煎(のうせん)しこれを服(ふく)す。『本草(ほんぞう)』


 ■現代語訳■


 艾葉

           赤白痢および膿血痢に主として用いる。

   酢で煎じて空腹時に服用する。『本草』


 陳艾葉

   卒心痛を治す。

   熟艾を濃く煎じて服用すれば即座に治癒する。『本草』


 艾葉

   悪気により心腹が痛む者に、搗いて汁を取り飲む。

   乾燥したものは濃く煎じ服用する。『本草』


 ★ 解説★

 よもぎのテーマ読みの続きです。さらに項目立てのある部分です。
 各項目が短いので一気に3つ取り上げました。

 今まで同様すべて「単方」に項目があります。ただ篇が内景篇だけでなく、外形篇までに移ってきました。


 「陳艾葉」というのは別に「陳さんが育てたよもぎ」というわけではなく(笑)「陳」というのは「時間が経ったさま、古い」という意味があり、経年があるよもぎという意味です。

 前号でよもぎの単方にも関わらず処方が登場し、そこで詳しく触れなかったのですが、図式だけはしておきました。


  崩漏・帯下 → 艾葉単体

  血崩    → 熟艾・阿膠・乾姜(炮黒)


 「崩漏・帯下」には普通のよもぎですが、「血崩」には「熟艾」とあったのですね。今号でも本文に同じ「熟艾」とあり今号では「陳艾葉」と「熟艾」とが同義語として用いれていることが読み取れ、さらに前号部分と突き合わると、熟艾が陳艾葉、つまり経年のあるよもぎであることもわかるわけです。

 前号では語釈欄に熟艾を挙げて「経年経たよもぎ」と書いてしまっていたのですが、こちらを読むこと、つまり参照読みでも「熟艾」の意味がわかるよう本文が仕組んでくれているとは言えます。


 これまで「内景篇 血」「胞」「大便」、そして外形篇に移って「胸」「腹」に項目立てがあることになります。章名だけでもよもぎがどんな効用を持つか、大掴みに把握ができますね。そして細かく読むことでさらに詳細な効用がわかるというわけです。

 そして視点を移せば、同じよもぎでも服用の仕方、経年の違いなどまでも読み取れて、よもぎ単体でもなかなか深い世界であることがわかってきますね。


 ◆ 編集後記

 よもぎの通し読み、文が短いので一気に3つの部分を読みました。
 読む分には並んで読めるので大変さはないですが、書く分にはそれぞれ別の部分を参照しなければならないので、通常より執筆が面倒ではあります。ただ短くて内容もさほど深くないのでその点では楽です。

 しかし熟語はそのままにしてあり、これを詳細に読めば楽どころではないのですが、参照読みを期して解説を省略しています。

 この企画の初めに項目立てのある部分と処方中などに出てくるものとを並行して読んでいくと書きましたが、項目立てのある部分も残り3つですので、まずはそちらを読んでから、のちに解説本文中によもぎが登場する部分を読んで行こうと考えています。
                     (2016.07.09.第175号)
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