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日本の公的年金への誤解を書き出してみた③

前回記事はこちら

・誤解④:ねんきん定期便での年金支払額の表示が正しくないので年金制度は危ない

続きです。

労使折半の半分ではなく、労使合計の全額を保険料負担額を入れると、例えばこの数字の2.3倍の実際は、半分の1.15倍とかになると思いますし、そう表示すべきと思います(国民年金分があるので、そこまでは下がらないとは思います)。ただし、これを受けて「年金制度は危ない」と発言を聞きますが、それはオカシイと思います。

繰り返し、年金は社会を安定化させるための相互扶助であり、かつまさかのための保険であるので、これが1.0を切っていても、その目的を達成していれば問題はないと考えることができます。なお、この倍率は、過去と未来の物価を調整した倍数になっていて、実際に払ったり受け取る実金額ではない(一般の資産運用で示されるような)という理解も必要でしょう。

さて、ねんきん定期便は労使折半の半分の額で見せてきた保険料負担額を、今更、倍にするような変更はできるでしょうか?結構難しいかもしれませんね。一時的には、かなりの騒動になるように思いますが、一方で、これを機に皆の年金リテラシーが高まるようにもっていけないものかとも思います。

長くなりましたが、この誤解についての僕の整理は、現在の表示は今後、直して欲しいが、この倍率が半分になったからといって年金制度が危ないとか払いたくないとかも思わない、です。あくまで相互扶助で保険であるという整理がよりはっきり浮かび上がってきます。

・誤解⑤:でも、何だかんだ言っても若者は損をしているのでは・・・

まだ言いますか笑。。これは5年前ぐらいまではそれなるに説得力があった愚痴と思いますが、もうそんなことは言えなくなってきていると思います。理由は、昔の人にはNISAもiDeCoもなかったが、今の人は税制優遇の新しい制度を老後の資産設計に与えられているからです。今、社会人になった若者はそれを40年以上使えます。羨ましすぎます!!

僕が老後資金を貯めるという視点で、1960年と2024年に生まれのどちらを取るか?と言われたら、間違いなく現在を取ります。昔は、世界80億人の経済活動に自分の資産を百円から投資できるパッシブファンドなど存在しませんでした。資産運用のコストは高いし、まともな商品もない。今の若者は、老後に対して極めて明るい可能性を持っていると思います。

いずれにしても、世代によって与えられている制度は時々で異なります。そして、それらをうまく使うか否かは本人次第です。恐らく、1960年代に公的年金なんて払っても無駄と言っていた人は、大勢いたのではないでしょうか(現在、後悔しているのでしょう)。同様に、2024年にもiDeCoやNISAは国の陰謀だという人もいます。自分の頭でしっかり判断をして、正しいことをやっていくことが大事だと思います。

・誤解⑥:世界の年金ランキングが低いので危ない

これはサラッと。外資系調査機関発表の世界の年金ランキングなるものもあるのですが、日本で普及している「退職金制度」が一切加味されていない、破綻しないようにそもそも規制が厳しい日本年金基金が破産制度が整っていない、などの理由でランキングが低くなっています。あまり、気にしなくてもいいというのが所感です。

・誤解⑦:日本から海外移住している人は年金を払っていないので、年金制度は危ない


海外移住をした人で、それ以降は日本の公的年金を払わない人は大勢いますが、僕はそりゃそうだと思います。まず、トータルで考えて日本が嫌で出ていった訳ですので、その国の相互扶助などに付き合いたくはないでしょう。転職して別の会社に移ったら、前の会社でのチームワークのために何かを我慢したりすることに時間とお金を使うのはオカシイです。ある国に移ったら、そちらで税金や社会保険を払って、自分がこれから暮らしていきたい国の方にお金と労力を使うべきと思います。

これから移民は増えるのか?私は出ていく方も、入ってくる方も増やしていかなくてはいけないとおもいます。それが将来の正しい姿だと。

なお、富裕層であっても、日本からどんどん人が抜けていくとは思いにくいです。日本は経済的な面「以外」での魅力が非常に高い国です。また医療保険があまりにも素晴らしすぎます。経済力が落ちれば出稼ぎにいく人は増えると思いますが(増えた方が良いと思いますし)、その流れが急激に加速するとは到底思えません。温泉あるし、食べ物美味しいし。挙げればきりがない。


<まとめ>

公的年金についての色々な誤解をまとめると、

・社会を安定させるための相互扶助である
・投資ではなく万が一のための保険である
・よく練られた制度で世界一の規模の基金がある
・世代間では様々な環境が違い、切り取りを比べても仕方ない

という辺りに誤解の源泉がある気がします。いずれにせよ、僕は公的年金は喜んで払う派である、というのが結論です。

そして、現在の賦課方式の制度は100年後には無くなっているのがメインシナリオで、これから色々な制度のトランジットが行われると思います。我々の社会が新しいチャレンジに向かっていくの楽しみですね。

ちょっと説明に乱暴なところもあったかもしれませんが、お許しください。ではでは。

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