【じっちゃま】仮想通貨クラスタよ、聴け。ステーブルコイン規制の裏側を。【広瀬隆雄】

連邦準備制度理事会FRBのワーキングペーパーで、ステーブルコインのリスクについて言及される。
ステーブルコインとは何か、そのリスクを
南北戦争以前のアメリカとリーマンショックの歴史から
広瀬隆雄が紐解く。

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以下、動画内容の書き起こしです。

ステーブルコインに対する規制を巡って、ちょっと
このところ仮想通貨が下落してるんですよね。

それについて、ちょっと、簡単に説明して
おきたいんだけれども。

今週、連邦準備制度理事会FRBの
ワーキングペーパー、つまり論文が

発表されるといわれています。
ステーブルコインに関してね。

で、具体的にはステーブルコインの存在が
金融システムにもたらすリスクについて

そこで論じられているだろう、という風に言われて
いるんだけれど

バイデン大統領の大統領諮問委員会として

ステーブルコインの研究会みたいなのが、
今、もたれてて

パウエル議長も参加しています。それから
ジャネット・イエレン財務長官も参加しています。

そういう錚々たるメンバーが、ステーブルコインを
どのように取り締まっていくか

ということに関して、検討しているということですよね。

それに先立って、米国証券取締委員会、
略してSECが、コインベースという会社に対して

「仮想通貨の貸し出しサービス、
これはやってはならない」という形で

Wells Notice(ウェルズ・ノーティス)
という通告をして

「もしそれやったら訴訟して、ボコボコにするぞ」
という風に、警告を出しましたよ。

それに対してコインベースは
「分かりました。」

「じゃあステーブルコインの貸し出しのビジネスは
諦めます。」という風に

断念する意思をはっきり打ち出しました。

で、ステーブルコインっていうのは何かというと

BTC、Bitcoinなんかは価値が
上がったり下がったりするわけだけども

そうではなくて

1ドル=1ステーブルコインみたいに

価値が常に一定でドルとリンクしている。
あるいは、フィアット通貨(法定通貨)とリンクしている。

そういった物のことを、ステーブルコインっていう風に
言うんですよね。

で、その利用価値と言うか

重要性は主に二つあると思うんですよね。

一つ目はあたかもマネーマーケットファンド的に

つまりMMF的に、お金をパーキングしておく
対象として利用されるという点が一つ。

二つ目は、「DiFi」の担保としてステーブルコインが
利用されるという

二つの側面で重要だと思うんですね。

一つ目に関しては

皆が銀行にお金を預けると

利子がつくわけですけども

今は低金利時代なんで

利子がほとんどつかないんだけれども

でも通常の状況であれば

銀行に預金すれば利子がつく。

仮想通貨は、利子がつかないわけだけどもね。

でも、そういう形で

銀行は証券会社に比べて

有利な立場にあるんですよ。

利子をオファーできるという意味においてね。

だから、かつては、昔

1970年代以前は証券会社で

皆さんが株を買って、その株を売却したら

何でキャッシュを証券会社に止めようかなきゃ
いけないんだ。と。

それ意味ないじゃん、という形で、株を売った、
売却した後のお金は

銀行に戻す、送金する、そういうことが
通常、行われていたわけですよ。

そうすると証券会社の立場からすれば

せっかく顧客訪問して、「よろしくお願いします。」
という風に頭下げて

それで預かり資産として、お金を預けてもらった。

あるいは、株券を預けてもらった。

そういうふうに苦労して入金したお金が、
株を利食ったあとで

またすぐ証券会社の外に出て行ってしまう

銀行に送金されてしまう。
これはもったいないよね。

ということで、

株を売った後のキャッシュをどうするか

ということが証券会社にとって
大問題だったんですよね。大問題だった。

で、それに対する特効薬が
MMF(マネーマーケットファンド)と呼ばれる

短期債に投資する
オープンエンド型ミューチュアルファンド

つまり、投資信託、
それが開発されたんですよ。

株式を売ったあとは、すぐに証券会社がスイープ
と呼ばれるアクションでもって

そのキャッシュを自動的にMMFに再投資することで

少しでも利子というか

金利が付いて、有利になるようにね
そういうその自動乗り換えの仕組みができたんですよ。

このスイープという仕組みができた以降、例えば

メリルリンチ証券と呼ばれる大手証券

今はバンクオブアメリカになってますけども

それがアメリカに昔あったんだけども

金融のスーパーマーケットと

呼ばれるニックネームがついてたんだけど

そういうメリルリンチなんかが預かり資産を
大きく伸ばした一つの重要な理由が

マネーマーケットファンドをオファーすることによって

銀行にお金を戻さなくても

証券の中でキャッシュの運用できますよ。

て言うのが、大きなセールストークに
なってたわけですよね。

さて、コインベースみたいな仮想通貨取引所にとって

ステーブルコインというのは、MMFと同じような
働きをするんですよ。

非常に重要な戦略商品なんですよ。
なぜかと言うと

仮想通貨はFXと同じで、FXだったら

例えばドル円、あるいはユーロ円

あるいはユーロドルみたいに

通貨ペアがあるわけでしょ。

それで、一つの通貨を売ったら

それは必ず別の通貨に化けるわけですよね。

それと同じでBTCを売ったら

それは何かに化けなきゃいけないわけですよ。

例えばドル。
でもドルにした途端に、

なんでドルをコインベースで預かておかなきゃ
いけないわけ?

コインベースに預けてても、利子付かないよね。
という形で

それはフィアット通貨(法定通貨)になった瞬間に

預かり資産を、外に送金されちゃうリスクが
出てくるわけでしょ。

だから

1970年代にメリルリンチが直面したのと

同じジレンマを

今、仮想通貨の世界でコインベースが
それに直面しているわけですよね。

だから、少しでも相場張ってないときにね、

コインベースのお客さんが相場はってない時に

つまり、ステーブルコインにしたいという風に
言ってる時に

そこにステーブルコインを買わせてあげる、
あるいはステーブルコインを貸出することによって

利子を稼ぐ、貸株みたいにね。

そういう付帯的な諸々のサービスを充実させる
ということは、コインベースにとって

非常に重要なことなんですよね。

それに対して、ゲンスラーSEC長官は
「No」という風に言ったわけですよ。

なぜ「No」か、ということについて

ちょっと説明したいんだけども

それはステーブルコインは、必ずフィアット、
例えばドルとかの通貨ですよね。

それに、必ず交換できる、1対1でね。
価値は常に1ドルです。

その為には、お客さんからお金を預かった時には、
その入金したドルは横に退けておいて

「それで、ちゃんと温存しておきます。」
という約束ですよね。

つまり、準備。英語で言えば「Reserve」という形で
横に退けておいて、保管しとかなければいけない。

それをしっかり保管してないんじゃないかという
疑惑、疑念、それが生じている訳ですよね。

で、ゲンスラーSEC長官なんかは、
そこらへんあたりに対して

ステーブルコインの連中に対して

非常にその批判的な目を向けてます。

それで、実は、アメリカの金融史、
歴史を紐解くと、そういうことで、すごく

かつて、アメリカは苦労したんですよね。

例えば、1860年代に南北戦争という内戦が
アメリカであったわけだけども

南北戦争直前のアメリカは中央銀行がない
状態でした。

その時に、シカゴトリビューン(The Chicago Tribune)
という新聞が

一体アメリカに何種類のドル札があるのか

ということを調査したことがあるんですね。

そうすると、そのシカゴトリビューンの調査によると

当時アメリカで発券銀行、つまりドル札を刷ること
印刷している銀行が1395行もあったんですよ(笑)

言ってること分かります?

だから例えばね

えーと、今、例を考えてるんだけども

香港行ったら、香港ドルってあるよね。

香港ドルをひっくり返すとさ、発券銀行に
「香港上海銀行」とかさ

そういう風に、刷り込んであるよね。
あのノリですよ。

だから、日本円だったら、必ず日本銀行が
唯一の発券銀行ですよね。

だけども、世界を見たら

必ずしも政府が発行してなくって

香港上海銀行とかさ

あるいはスタンダードチャータード銀行とかさ

そういうところが国から勅許を得て

そして、「お札を刷っても良いです。」という
仕事を委託されている、そういう国もありますよね。

それの事を発券銀行って言うんだけども

そうすると南北戦争の前には、
アメリカには1395行もの零細な銀行が

ドル札を出してたんですよ。

で、ドル札の種類は8300種類ありました。

8300種類。

そうするとそういう風にドル札を刷ってる銀行は
表向きにはね。

これは金本位制ですから

皆さんにお渡しするドルは必ず金と兌換します。

だから銀行の金庫には、金の延べ棒が
積み上がってるんです。

いつでも換金に応じますので、来てください。

そういうことを裏付けに、それを信用として
紙っ切れを出しているわけね。

だけどもその事実上はそういう準備

ゴールドのリザーブを準備せずに

勝手に輪転機回してどんどん紙幣を
刷っていた訳ですよ。

それはもう紙幣刷ったら、それが全部利益に
なるわけですから。

いくらでも儲かるわけだよね。

今airdropとかなんとか言ってさ

仮想通貨で、たくさんたくさん

新しい仮想通貨が出てるわけだけども

そのほとんどはそういう雲助っていうかさ

悪徳業者が、裏付けのない通貨を

どんどんどんどん仮想通貨を刷ってるわけですよ。

だから、先週ゲンスラーSEC長官が、
これはいつか見た、いつか来た道だ、と。

で、アメリカでは8300種類ものドル札があった、と。

そうするとね、みんなは薄々
気が付いているわけですよ。国民は。

これはちょっとやばいかもしれない。

だからおらが町の銀行なら

その自分の友人がね

銀行家で、経営してるんで、
彼のことだったら分かる。

だから、地元の銀行は、
1ドル札が1ドルの価値を持っていて

通用するわけですよ。

だけれども、例えば、僕はフロリダにて
オハイオ州から旅行してきた人が

オハイオの1ドル札を提示して
「これでバナナください。」っていう風に

バナナ買おうとしたら

お店の人が、「いや、その1ドル札は受け取れません。」

何故かと言うと、オハイオの銀行なんて知らないし

そもそもオハイオまで、「この1ドル返してください。
金の延べ棒にしてください。」っていう風に

請求に行けないわけでしょ。

そうすると遠くの銀行が発行した1ドル札で
あればあるほど、

その価値は疑ってかかるべきなわけだから

遠隔地から旅行してる旅人は

1ドル札を提示しても

それを、例えば、90セントにしか交換してくんない

という風に交換比率が悪いわけですよ。

だからその旅人が東海岸から西海岸まで

たくさんの札束を抱えて旅行したとしますよね。

だけども次の州に行くごとに

お金を両替してたら

どんどんどんどん交換比率が悪くなってきて

最後は西海岸に着いた時には

何も買ってないのに

自分の持ってたお金が

半分ぐらいに減っちゃってたとかね。

それは現代でもあると思うんだよね。

例えば、みんな海外旅行好きかどうか
わかんないけども

海外旅行する時に

例えば日本円をユーロに変えるとして

その後でアメリカ行ったら

ユーロをドルに変えるとかさ

そういうふうにどんどんどんどん両替してたら

だんだんだんだん目減りしていくわけでしょ、
その価値はね。

そういうようなことが

昔のアメリカでは起こっているわけですよ。

そして最終的には

そういった雲助みたいな銀行の大部分が詐欺だった
ということが分かったわけですよね。

だから転ばぬ先の杖で

こういうの放置してたら

最終的に泣きを見るのは

その投資家、消費者だよね

だから仮想通貨も取り締まったほうが
いいんじゃないか

と、いう風に、ゲンスラー長官は言ってるわけですよ。

もう一つの重要なことは

そのリーマンショックが起きた時に

breaking the pack

という所のパニックが起こりました。

それは何かと言うとマネーマーケットファンド、つまり
MMFですよね。

ステーブルコインも、
それに似たようなものなんだけども。

それは短期債によって、
その中身を見ると短期債なんで

そうすると、もしリーマンという金融機関が
ひとつ倒れたら

リーマンはたくさんの証券類の在庫を
持ってるわけだから

その在庫の処分

債権者、
つまりリーマンに対してお金を貸してる人たち

倒産したらリーマンに駆けつけて

これは俺のぶんだ

いやこれ俺のぶんたっていう風に

残った財産の取り合いが起こるわけでしょ。

その過程の中で

短期債の証券の類も

誰がどの債権者にこのお金を返すべきか

ということで

裁判とかになって

色々議論しなきゃいけないわけですよね。

その間、そのアセット、資産に対して

手つけるわけにいかないわけですよ。

そうするとマネーマーケット市場全体で見れば

そのうちの一部がスポンと

価値がアクセスできなくなったら

今までは必ずMMF対ドルが一対一で常に兌換可能
という形で

価値の保証がされてたんだけども

そのうちの一部がさ

人質になって取り上げられたらさ。

一対一にならないわけでしょ。

1対0.98とかさ、1対0.95になるわけでしょ。

そういった形でbreaking the pack

つまりMMFが1ドル割れしたっていう瞬間に

えええー!MMFは危ないのかよっていう形で

皆がギャーと真っ青になったわけですよ。

分かります?

ゲンスラーが言ってる事って何かと言うと

ステーブルコインというものに関しても

業者が一つか二つ飛んだらね

同じような形で

その恐怖が走るリスクがありますと

それが連鎖的な

その仮想通貨交換業者とかの倒産を招いて

それで機関投資家が

クリプトに投資してたのが損になるとかさ。

そういった形で

そんな仮想通貨以外の金融機関にも

その危機が伝染するとかね。

そういうリスクがあるんじゃないか

ということを今週発表される

workingpaper、論文で

そういうリスクが多分論じられている

ということなんですね。

だから今ちょっと先週くらいから仮想通貨の
マーケットがぎくしゃくしているんだけれども

それはそのニュースを待ってるんですよ、今。
そのニュースを待っている。

だからあれは相場のあやかなんかで仮想通貨が
下がっているんじゃないですよ。

もっと根本的な問題

そのシステム全体のリスクの問題で、
それで下がっているわけですよ。

だから深刻に受け止める必要がある、と。

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