【じっちゃま】仮想通貨クラスタよ、聴け。ステーブルコイン規制の裏側を。【広瀬隆雄】 toushikun_ch 2021年10月8日 01:19 連邦準備制度理事会FRBのワーキングペーパーで、ステーブルコインのリスクについて言及される。ステーブルコインとは何か、そのリスクを南北戦争以前のアメリカとリーマンショックの歴史から広瀬隆雄が紐解く。Takao Hiroseチャンネル↓https://www.youtube.com/channel/UCUBsNuW9TFDO5TNIc6OnLwwじっちゃまのnote(定期購読がオススメ)↓https://note.com/hirosetakao/じっちゃまのTwitter↓https://twitter.com/hirosetakao以下、動画内容の書き起こしです。ステーブルコインに対する規制を巡って、ちょっとこのところ仮想通貨が下落してるんですよね。それについて、ちょっと、簡単に説明しておきたいんだけれども。今週、連邦準備制度理事会FRBのワーキングペーパー、つまり論文が発表されるといわれています。ステーブルコインに関してね。で、具体的にはステーブルコインの存在が金融システムにもたらすリスクについてそこで論じられているだろう、という風に言われているんだけれどバイデン大統領の大統領諮問委員会としてステーブルコインの研究会みたいなのが、今、もたれててパウエル議長も参加しています。それからジャネット・イエレン財務長官も参加しています。そういう錚々たるメンバーが、ステーブルコインをどのように取り締まっていくかということに関して、検討しているということですよね。それに先立って、米国証券取締委員会、略してSECが、コインベースという会社に対して「仮想通貨の貸し出しサービス、これはやってはならない」という形でWells Notice(ウェルズ・ノーティス)という通告をして「もしそれやったら訴訟して、ボコボコにするぞ」という風に、警告を出しましたよ。それに対してコインベースは「分かりました。」「じゃあステーブルコインの貸し出しのビジネスは諦めます。」という風に断念する意思をはっきり打ち出しました。で、ステーブルコインっていうのは何かというとBTC、Bitcoinなんかは価値が上がったり下がったりするわけだけどもそうではなくて1ドル=1ステーブルコインみたいに価値が常に一定でドルとリンクしている。あるいは、フィアット通貨(法定通貨)とリンクしている。そういった物のことを、ステーブルコインっていう風に言うんですよね。で、その利用価値と言うか重要性は主に二つあると思うんですよね。一つ目はあたかもマネーマーケットファンド的につまりMMF的に、お金をパーキングしておく対象として利用されるという点が一つ。二つ目は、「DiFi」の担保としてステーブルコインが利用されるという二つの側面で重要だと思うんですね。一つ目に関しては皆が銀行にお金を預けると利子がつくわけですけども今は低金利時代なんで利子がほとんどつかないんだけれどもでも通常の状況であれば銀行に預金すれば利子がつく。仮想通貨は、利子がつかないわけだけどもね。でも、そういう形で銀行は証券会社に比べて有利な立場にあるんですよ。利子をオファーできるという意味においてね。だから、かつては、昔1970年代以前は証券会社で皆さんが株を買って、その株を売却したら何でキャッシュを証券会社に止めようかなきゃいけないんだ。と。それ意味ないじゃん、という形で、株を売った、売却した後のお金は銀行に戻す、送金する、そういうことが通常、行われていたわけですよ。そうすると証券会社の立場からすればせっかく顧客訪問して、「よろしくお願いします。」という風に頭下げてそれで預かり資産として、お金を預けてもらった。あるいは、株券を預けてもらった。そういうふうに苦労して入金したお金が、株を利食ったあとでまたすぐ証券会社の外に出て行ってしまう銀行に送金されてしまう。これはもったいないよね。ということで、株を売った後のキャッシュをどうするかということが証券会社にとって大問題だったんですよね。大問題だった。で、それに対する特効薬が MMF(マネーマーケットファンド)と呼ばれる短期債に投資するオープンエンド型ミューチュアルファンドつまり、投資信託、それが開発されたんですよ。株式を売ったあとは、すぐに証券会社がスイープと呼ばれるアクションでもってそのキャッシュを自動的にMMFに再投資することで少しでも利子というか金利が付いて、有利になるようにねそういうその自動乗り換えの仕組みができたんですよ。このスイープという仕組みができた以降、例えばメリルリンチ証券と呼ばれる大手証券今はバンクオブアメリカになってますけどもそれがアメリカに昔あったんだけども金融のスーパーマーケットと呼ばれるニックネームがついてたんだけどそういうメリルリンチなんかが預かり資産を大きく伸ばした一つの重要な理由がマネーマーケットファンドをオファーすることによって銀行にお金を戻さなくても証券の中でキャッシュの運用できますよ。て言うのが、大きなセールストークになってたわけですよね。さて、コインベースみたいな仮想通貨取引所にとってステーブルコインというのは、MMFと同じような働きをするんですよ。非常に重要な戦略商品なんですよ。なぜかと言うと仮想通貨はFXと同じで、FXだったら例えばドル円、あるいはユーロ円あるいはユーロドルみたいに通貨ペアがあるわけでしょ。それで、一つの通貨を売ったらそれは必ず別の通貨に化けるわけですよね。それと同じでBTCを売ったらそれは何かに化けなきゃいけないわけですよ。例えばドル。でもドルにした途端に、なんでドルをコインベースで預かておかなきゃいけないわけ?コインベースに預けてても、利子付かないよね。という形でそれはフィアット通貨(法定通貨)になった瞬間に預かり資産を、外に送金されちゃうリスクが出てくるわけでしょ。だから1970年代にメリルリンチが直面したのと同じジレンマを今、仮想通貨の世界でコインベースがそれに直面しているわけですよね。だから、少しでも相場張ってないときにね、コインベースのお客さんが相場はってない時につまり、ステーブルコインにしたいという風に言ってる時にそこにステーブルコインを買わせてあげる、あるいはステーブルコインを貸出することによって利子を稼ぐ、貸株みたいにね。そういう付帯的な諸々のサービスを充実させるということは、コインベースにとって非常に重要なことなんですよね。それに対して、ゲンスラーSEC長官は「No」という風に言ったわけですよ。なぜ「No」か、ということについてちょっと説明したいんだけどもそれはステーブルコインは、必ずフィアット、例えばドルとかの通貨ですよね。それに、必ず交換できる、1対1でね。価値は常に1ドルです。その為には、お客さんからお金を預かった時には、その入金したドルは横に退けておいて「それで、ちゃんと温存しておきます。」という約束ですよね。つまり、準備。英語で言えば「Reserve」という形で横に退けておいて、保管しとかなければいけない。それをしっかり保管してないんじゃないかという疑惑、疑念、それが生じている訳ですよね。で、ゲンスラーSEC長官なんかは、そこらへんあたりに対してステーブルコインの連中に対して非常にその批判的な目を向けてます。それで、実は、アメリカの金融史、歴史を紐解くと、そういうことで、すごくかつて、アメリカは苦労したんですよね。例えば、1860年代に南北戦争という内戦がアメリカであったわけだけども南北戦争直前のアメリカは中央銀行がない状態でした。その時に、シカゴトリビューン(The Chicago Tribune)という新聞が一体アメリカに何種類のドル札があるのかということを調査したことがあるんですね。そうすると、そのシカゴトリビューンの調査によると当時アメリカで発券銀行、つまりドル札を刷ること印刷している銀行が1395行もあったんですよ(笑)言ってること分かります?だから例えばねえーと、今、例を考えてるんだけども香港行ったら、香港ドルってあるよね。香港ドルをひっくり返すとさ、発券銀行に「香港上海銀行」とかさそういう風に、刷り込んであるよね。あのノリですよ。だから、日本円だったら、必ず日本銀行が唯一の発券銀行ですよね。だけども、世界を見たら必ずしも政府が発行してなくって香港上海銀行とかさあるいはスタンダードチャータード銀行とかさそういうところが国から勅許を得てそして、「お札を刷っても良いです。」という仕事を委託されている、そういう国もありますよね。それの事を発券銀行って言うんだけどもそうすると南北戦争の前には、アメリカには1395行もの零細な銀行がドル札を出してたんですよ。で、ドル札の種類は8300種類ありました。8300種類。そうするとそういう風にドル札を刷ってる銀行は表向きにはね。これは金本位制ですから皆さんにお渡しするドルは必ず金と兌換します。だから銀行の金庫には、金の延べ棒が積み上がってるんです。いつでも換金に応じますので、来てください。そういうことを裏付けに、それを信用として紙っ切れを出しているわけね。だけどもその事実上はそういう準備ゴールドのリザーブを準備せずに勝手に輪転機回してどんどん紙幣を刷っていた訳ですよ。それはもう紙幣刷ったら、それが全部利益になるわけですから。いくらでも儲かるわけだよね。今airdropとかなんとか言ってさ仮想通貨で、たくさんたくさん新しい仮想通貨が出てるわけだけどもそのほとんどはそういう雲助っていうかさ悪徳業者が、裏付けのない通貨をどんどんどんどん仮想通貨を刷ってるわけですよ。だから、先週ゲンスラーSEC長官が、これはいつか見た、いつか来た道だ、と。で、アメリカでは8300種類ものドル札があった、と。そうするとね、みんなは薄々気が付いているわけですよ。国民は。これはちょっとやばいかもしれない。だからおらが町の銀行ならその自分の友人がね銀行家で、経営してるんで、彼のことだったら分かる。だから、地元の銀行は、1ドル札が1ドルの価値を持っていて通用するわけですよ。だけれども、例えば、僕はフロリダにてオハイオ州から旅行してきた人がオハイオの1ドル札を提示して「これでバナナください。」っていう風にバナナ買おうとしたらお店の人が、「いや、その1ドル札は受け取れません。」何故かと言うと、オハイオの銀行なんて知らないしそもそもオハイオまで、「この1ドル返してください。金の延べ棒にしてください。」っていう風に請求に行けないわけでしょ。そうすると遠くの銀行が発行した1ドル札であればあるほど、その価値は疑ってかかるべきなわけだから遠隔地から旅行してる旅人は1ドル札を提示してもそれを、例えば、90セントにしか交換してくんないという風に交換比率が悪いわけですよ。だからその旅人が東海岸から西海岸までたくさんの札束を抱えて旅行したとしますよね。だけども次の州に行くごとにお金を両替してたらどんどんどんどん交換比率が悪くなってきて最後は西海岸に着いた時には何も買ってないのに自分の持ってたお金が半分ぐらいに減っちゃってたとかね。それは現代でもあると思うんだよね。例えば、みんな海外旅行好きかどうかわかんないけども海外旅行する時に例えば日本円をユーロに変えるとしてその後でアメリカ行ったらユーロをドルに変えるとかさそういうふうにどんどんどんどん両替してたらだんだんだんだん目減りしていくわけでしょ、その価値はね。そういうようなことが昔のアメリカでは起こっているわけですよ。そして最終的にはそういった雲助みたいな銀行の大部分が詐欺だったということが分かったわけですよね。だから転ばぬ先の杖でこういうの放置してたら最終的に泣きを見るのはその投資家、消費者だよねだから仮想通貨も取り締まったほうがいいんじゃないかと、いう風に、ゲンスラー長官は言ってるわけですよ。もう一つの重要なことはそのリーマンショックが起きた時にbreaking the packという所のパニックが起こりました。それは何かと言うとマネーマーケットファンド、つまりMMFですよね。ステーブルコインも、それに似たようなものなんだけども。それは短期債によって、その中身を見ると短期債なんでそうすると、もしリーマンという金融機関がひとつ倒れたらリーマンはたくさんの証券類の在庫を持ってるわけだからその在庫の処分債権者、つまりリーマンに対してお金を貸してる人たち倒産したらリーマンに駆けつけてこれは俺のぶんだいやこれ俺のぶんたっていう風に残った財産の取り合いが起こるわけでしょ。その過程の中で短期債の証券の類も誰がどの債権者にこのお金を返すべきかということで裁判とかになって色々議論しなきゃいけないわけですよね。その間、そのアセット、資産に対して手つけるわけにいかないわけですよ。そうするとマネーマーケット市場全体で見ればそのうちの一部がスポンと価値がアクセスできなくなったら今までは必ずMMF対ドルが一対一で常に兌換可能という形で価値の保証がされてたんだけどもそのうちの一部がさ人質になって取り上げられたらさ。一対一にならないわけでしょ。1対0.98とかさ、1対0.95になるわけでしょ。そういった形でbreaking the packつまりMMFが1ドル割れしたっていう瞬間にえええー!MMFは危ないのかよっていう形で皆がギャーと真っ青になったわけですよ。分かります?ゲンスラーが言ってる事って何かと言うとステーブルコインというものに関しても業者が一つか二つ飛んだらね同じような形でその恐怖が走るリスクがありますとそれが連鎖的なその仮想通貨交換業者とかの倒産を招いてそれで機関投資家がクリプトに投資してたのが損になるとかさ。そういった形でそんな仮想通貨以外の金融機関にもその危機が伝染するとかね。そういうリスクがあるんじゃないかということを今週発表されるworkingpaper、論文でそういうリスクが多分論じられているということなんですね。だから今ちょっと先週くらいから仮想通貨のマーケットがぎくしゃくしているんだけれどもそれはそのニュースを待ってるんですよ、今。そのニュースを待っている。だからあれは相場のあやかなんかで仮想通貨が下がっているんじゃないですよ。もっと根本的な問題そのシステム全体のリスクの問題で、それで下がっているわけですよ。だから深刻に受け止める必要がある、と。 #仮想通貨 #BTC #FRB #じっちゃま #広瀬隆雄 #ステーブルコイン #SEC この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか? 記事をサポート