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覇権国から転落した国の株価からわかること

永遠のブル派(強気派)とされるジェレミー・シーゲルの著書「株式投資」にかつて覇権国だったイギリス、スペインなどが「覇権国から転落した後」に「株価が」どうなったかが記されています。

イギリス、スペインともに100年間(1900年〜2000年)の平均で+10%程度(インフレ率は考慮していないため、実質の伸び率はもう少し下がると思われます)の株価上昇を果たしています。

インデックスファンドの実質リターンは全世界株式で3~5%程度とされているため、概ね納得感があります。

レイダリオの覇権国交代論では100年スパンのサイクルで覇権国が転換すると言われています。

https://web.fisco.jp/platform/selected-news/00108400/0009330020210224007

既に政治や経済のイニシアチブは覇権国アメリカから次世代覇権国である中国に移行する兆候が出始めているのは間違いないと思われますが、株価に関しては暴落論が常に飛び交うアメリカ株は引き続き堅調で最高値を更新し続けている一方で、中国株は冴えない状況が続いています。また昨年からは景気後退論が叫ばれ始めており株式にとって向かい風となっています。


またGDPが下落傾向にあり経済として凋落傾向が著しい日本もここに来て30年越しに日経平均が最高値を更新するなど「株価と経済状況は必ずしもリンクしない」事象が起きています。

https://news.yahoo.co.jp/articles/ce84d86bc1ffdf8fad7cc59e810c6b0500ae500e

https://news.yahoo.co.jp/pickup/6488359

私は以前より実は「100年スパンでの覇権国交代≠株式市場の衰退」ではないかと思っています。

レイダリオの覇権国交代シナリオは債務膨張、信用収縮が巨大化し大きな金融危機を伴うとされ、米国株の暴落があるとされています。

ただ以下の点から覇権国の推移と株価は必ずしも相関性がないのでは?と私は捉えています。
成長の罠:企業の成長力と株価の上昇は必ずしも一致しない。
このため新たに覇権国となる企業が目覚ましく成長したとしても株価に反映されるとは限らない。これは、株式を購入・保持する動機が成長性に賭けるものとは限らないため。

株価はそもそも企業の業績を反映するものであるため、例えば新たな覇権国や急成長の国で既に十分なマーケットシェアを確保しているグローバル企業にとって覇権国交代は関係ない可能性がある。

その国のマーケットの流動性が株価を左右する。買いやすく売りやすい市場に投資家は安心感を抱くため政治的規制やルールの変更が行われるなど、投資家にとって都合の悪い事態が起きる懸念がある場合、資金が投じられない可能性がある。

・1800年に株式に1ドル投資したら、2000年に597,485ドルになったとされる有名なグラフ


↑があるがこれは「どの国の株式に投資したかは明記していない」
つまり、国によらず株式投資による利益獲得の可能性をデータ化したものと捉えるべき。

ここで改めて覇権国とは何か?について考えてみると、
・世界情勢の主導権を握る国
・政治的、軍事的影響力の強い国
・為替、貿易において優位性を発揮する国

が該当するものと思われます。

これらの点において現在起こっていることから、もう間も無くアメリカから中国に覇権国が移るものと想定されますが、「覇権国の移行=投資先をアメリカ株から中国株に移行する」必要はないと思います。

衰退した国でも企業業績の成長性が評価されたり、割安な部分が評価されるケースなど株価が上昇する要因を満たす可能性があります。また成長している国であっても企業として評価されない場合、株価は伸び悩みます。

覇権国移行の過程において大きな混乱があったり、経済やマーケットに著しい変動をもたらす可能性はあると思います。例えばリーマンショックなどの大幅な株価下落です。

現在AIや半導体関連銘柄が注目されていますが、これらのトレンドがかつてのITバブルの頃を想起させ、ある時バブルが弾けた際にショック的な下落が発生しこれを「米国株の崩壊論と結びつける論調」が出てくることは容易に想像されます。

ただ長期的に評価した場合、かつて覇権を握った国の株価が長らく低迷したままではない点は頭の片隅にれておくべきだと思います。永遠に停滞するものと信じられていた日本株も30年かかってしまいましたが復活を遂げています。

インデックスファンドへの投資が主流となり、個々の企業よりも国全体を意識する機会が増えており、それが覇権国交代論とシンクロしやすい状況を生み出してしまっているように思われますがインデックスファンドはあくまで個々の企業の集合体であるため「株式に投資する場合、見るべきは個々の企業の成長性であり、利益である」点は投資を続ける限り忘れてはいけないことだと思います。

大きなリスクを背負って、何かに賭けたいということであれば「覇権を握っている国に大きくベットする」取り組みでも良いと思いますが、極端なリスクを追い求めずに長期的な資産運用を継続するという観点においては覇権国の推移は気にせず全世界、あるいはマーケットが最も巨大なアメリカを中心とした先進国のインデックスファンドもしくはグローバル企業を中心とした優良株と評価される銘柄を投資のコアに据えてそれを継続する方が望ましいと思います。

予想・予測から距離を置くという観点ではいずれ投資対象国の話に触れる機会があると思いますが、
①国に関係なく自分が良いと評価した企業へ素直に投資する
②自分が良いと評価した国のインデックスファンドを買い続ける
③全世界株式ファンドが自律的にポートフォリオを調整し、投資対象国の最適バランスを常に図ってくれると信じる

のどれかを選択すれば十分だと思います。

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