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ツアーナースが選ぶ、旅行中の救急バッグ[外科系]

最終更新 2022年4月28日 
→イラスト綺麗にして、前後編を1本にまとめ、スライド解説数枚追加。事例をわかりやすくしました。

はじめましての方向け
ファーストエイドの情報ソース
私たちの経験値などは、こちらをご参照ください。

団体旅行(主に修学旅行)で準備される
救急バッグの中身を、カテゴリー別に解説しています。

[ よく入っている]外科系物品

絆創膏

そうそう。
幼児〜小学生の、擦り傷への使用がぶっちぎりで多いけれど、次点で女子高生の靴擦れじゃないかしら。
私服OKの修学旅行→おしゃれする、そのために靴・服用意→履き慣れない靴で、意外と長い距離歩く→足痛てぇ→かぁーんごぉしサァーン

参考:絆創膏
定番ケアリーブ
高ウレタン不織布で出来ているんだって。

個人的で愛用しているのはジョンジョンのこれ
肌感はケアリーブと一緒ですが、こちらはポリウレタンエラストマー100%

実際はOQバンがほとんど。
めっちゃ剥がれやすい。ケアリーブと同じニチバンから出ているので、ケアリーブの下位互換といった感じかしら。

でかいパッチ

こういった、ツアー序盤で受傷し、毎日看護師が処置するケースも稀にあります。物品が足りなくなったら、添乗員さんor学校責任者へ相談し、追加購入することもありますね。

幅広ロールテープ+滅菌ガーゼでも代用は効くし、逆にその方が大きさ自由自在。好みの問題だと思いますが私だったら、メッシュの幅広ロールテープをカットしたものと、ロールのままとで準備するかな。まぁどちらでも。

参考:ワンタッチパッド
防水タイプだとなお良しですが、多くは求めませぬ。

メッシュポア
滅菌ガーゼ+このテープで、大小幅広い傷に対応できますね。


滅菌ガーゼ

参考:滅菌ガーゼ
メーカーどこでもいいと思うんですが、大方はケーパインが入っていますね。

伸縮包帯

参考:弾性包帯

自着性の伸縮包帯
活動量が多い旅行中、包帯同士がくっつくタイプのフィット感は安心。
しかし毎日処置するのであれば、下手にくっつく包帯だと、(当然1人1本ですが)交換しにくいのかなとも。良し悪しですね。

こんな感じ↓テープ固定しなくてもいいし、ズレないし。
(装着モデル、スミレ)

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普通の伸縮包帯については
特にメーカーこだわりないというか、正直わかんないっす。
なんでもいいんじゃね?と思いますが。情報あったら教えてください。

消毒液

昔、同行していた私学さんでは
ヒビテンとなんか、2種類で消毒という指示があって黙々渋々と塗り塗りしていました。学校の方針なら致し方ない。
容量が限られた救急バッグなのに、よりによって大きいサイズの消毒液が幅取っていると、他にもっと大事なものが。。。とテンションが下がるタイプのツアナスです。
前回と重複しますが、水道がない場所で擦過傷・切り傷も多いのでスプレーボトルなど携帯して簡易流水洗浄できるよう準備した方が賢明です。飲料水にも流用できる、ペットボトル水を持ってそのままジャバジャバかけてもいいし。

清浄綿

参考:清浄綿

そもそも、清浄綿とは脱脂綿に薬液を浸み込ませてパックしたものですと書いてあります。すみません、そんなのも知らずに10年やっとりました。
私が、清浄綿とはそういうもの思っていた、純粋に精製水のみ染み込ませた水だけコットンも実在するようですね。そっちだったら欲しいな。


救急バッグに入っている率高いのはこちら。
所属会社の救急バッグにも入っています。

ー代用案①  100均シリンジ+水

これも次にご紹介する綺麗なお水と一緒なんですが
救急バッグに欲しいものではなく、ツアー業のお役立ちグッズ枠ですね。+αで持参すると捗るよ系。
シリンジは、サンドスキー同行(練馬・北・新宿区の移動教室で行くやつで、都内では割とメジャーっす)ムスカ並みに「目が〜目が〜!」と目に砂混入で、もがき苦しむ児童たちがナースに襲いかかってくるので、フレッシュなお水をシリンジに詰めて、ジャバジャバ洗っていました。
同時に擦り傷も多発するので、新品のペットボトル水(私の同行している学区では、サンドスキーに備えて無料で配布)を2、3本リュックに詰めて持参。
対応していましたね。
夢子ちゃんも、鳥取砂丘添乗で念の為持参したと。
鳥取行ったことない!いいなー。やはり拠点によって、添乗エリアが異なりますね。

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ー代用案②  多用性のあるウォーターボトル+水

折りたたみボトルに、水道水を詰めて臨むことにしました。万人にお勧めするアイテムではないです。割と重課金だし。
念の為携帯しているのみで、今のところ活躍の機会はありませんが、軽い・コンパクトになる・丈夫で重宝しそうです。

ちなみに、別記事でも書いている通り
湯たんぽ代わりにもなるのでとっても便利。

番外編:小さいお水
海外添乗の機内食で出てくる、100mlカップ水がちょうど良くてよく持ち歩いていました。あと、台湾では20ml生理食塩水がコンビニでも手軽に買えて安価なので、まとめ買いしたり。
どちらも、このご時世で入手困難となりましたが、こういったものも販売されているようで。

救急バッグに入れるグッズではないですが、洗浄以外にも自販機も水道すらない場所で「薬飲みたいのにお水ない!」とか、たまに言われたりするのにも対応できるよう、カバンにころっと1個入れておこうかなという個人的なお勧めです。ほんと、年数回言われる。
純粋に、傷を洗い流す用だったら100均スプレーボトルを毎朝水詰め替えて持ち歩くでOKだと思います。目は水道水やめた方が。旅程に合わせて臨機応変に。

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シンガポール添乗で購入した生理食塩水20ml

ネット包帯

参考:ネット包帯
プレスネットの1〜4号が30〜50cmずつくらいに切り分けて用意されていることが多いです。

そのまま使えるタイプもあり。
会社の救急バッグにはこれ3種入っています。

脱脂綿・綿球

綿棒

参考:キトサンについて/平和メディク株式会社
世に出回る大半の綿棒は、抗菌目的でキトサンが加工されとります。

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参考:キトサンフリーの綿棒
ドラックストアなので入手しやすいのはジョンジョンですね。キトサン云々抜いても、普通に綿棒として使いやすく私はプライベートで愛用しております。お風呂上がりの必需品。

ジョンソン&ジョンソン

鼻栓

参考:鼻出血の処置/MedicalNote
公的機関以外の、ネット情報はソースにしないようにしているんですが、こちらは詰めない・冷やさないというAHA・MFAにも準じた正確な知識が書いてあったので参考として貼らせて頂きます。とても良い。

冷やすツアーナースも多いけれど、迷走神経反射を誘発してかえって害だからやらない方が良いと、AHAの講習で教えてもらいました。
私、救外にいました!とドヤる方でも、頓珍漢な対応をしているのを10年間何度となくお見かけし続けています。
病院でのバックグラウンド問わず奢らず、どのツアーナースもプレホス分野は改めて学び直すことをお勧めします。

一応、日本耳鼻咽喉科学会のも貼っておきます。大体、内容一緒。

サージカルテープ

他にも肌に優しいタイプとか
良いもの上見たらキリ無いですけれど、救急バッグという頻度と用途が限られている縛りであれば、紙じゃなければなんでもといった気持ちです。
手でちぎれるタイプだとラッキーと思うくらい。

眼帯

触っちゃう掻いちゃう、見た目も気になるというカバー目的で年少者以外に使用する分にはいいのかしらね。
意外と目のトラブルは多いので、1個くらい入っていた方がいいのかなと思います。100均でもあるし、かさばるもんじゃないし。

参考:変わる「眼帯」の役割…子どもは着けない方がいい?/yomiDr 2018.8

三角巾

参考:三角巾の使い方/消防庁

三角巾は、包帯代用など様々な用途があるのは周知されているとして。
救急バッグの場合、三角巾流用しなくても包帯は99%入ってるし、となると骨折疑い時などの腕をつる安静・固定、頭部外傷時の保護など限定的に使用されるのかなと思います。三角巾での頭部固定、難しいので私はネットで対応したいな。

ドレッシングテープ

後述する、ハイロドの上から貼ったりもする。
病院でもお馴染み、カテリープが多いです。

ハイドロコロイド

前提知識 湿潤療法とは?

あるものでやらにゃあかん
団体の方針に従う という縛りというか、ルールに従わなきゃないのもツアー業の教科書通りにいかない部分ですよね。トラブルの元にもなるし。
湿潤療法を推進していない養護教諭さんだったら、なおさら。

ハイドロ話から
熱傷へ脱線ついでに、聞いて頂きたい。ツアーの熱傷原因あるある。コテで女子ヤケドとかマジで多い。ユメコ「マジそれな。」

そうそう。すぐ来ない。
ヘドバン並みに頷きすぎて首もげるくらい同意。悪化してから言ってこられても…と困っちゃうのあるある。最終夜とかだと特に、とりあえずこっちで処置して帰ったら皮膚科受診してね!必ずね!という流れとか。

旅程や傷の状況などから総合的に判断して、緊急性のない場合。帰宅後の皮膚科受診は大前提として、それまでの処置としてハイドロかワセリンでの湿潤療法で温存しておきたいなとは個人的には思っています。

熱傷の分類もわかった上でのお話ですが
一応、載せておきますね。範囲にも応じるけれどII度以上はそりゃ、すぐ受診さ。
Ⅰ度でも、学校・保護者と本人意向によっては受診することもあるし。その辺りは、この場合は受診という100%の基準はありません。熱傷に限らず、あくまで看護師は助言する立場で最終決定権はないですから。

参考:熱傷分類/日本形成学会
もっとわかりやすい図表がネットにたくさんあるけれど、とりあえずデカめの組織載せといた。

また、湿潤療法の元祖、夏井先生のクリニックブログ
書いているのは看護師さんですけれど、この処置は参考になるなと思いました。

でも実際、オロナインと滅菌ガーゼしかないって場合も多いんですよね。その際は、自らの名誉にかけて仲介会社提出も兼ねている看護記録に救急バッグの物品それしかなかったためやむおえず処置とか追記していますが、学校サイドから見たらめっちゃ感じ悪いな。

後から、なんでこの看護師この対応?と評価・査定される可能性を加味して、そうせざるをえなかった状況も記載したり、観察項目と処置内容だけでなく、添乗ごと異なる理由と背景の部分記録残しておかなきゃ追々トラブルにつながる場合もある。と、ツアナス症例検討会で、各ナースのツアー看護記録を読んで学びました。

今はもう開催されなくなったけれど
会社単位で、症例検討会またやって欲しいですね。みんな個々に悩みながら解決しないままモヤモヤしてツアー乗っていると思うし。
脱線したな、次行きます。

縫合テープ

確かに、教科書的に圧迫止血何でしょうがぱっくり切れてて、なおかつ受診まで1時間くらいかかる時もあり。実際、縫合テープで処置して受診。医師から「綺麗に処置してあるので、テープそのままで良いでしょう。」となったケースは2回経験。

ちなみに私の場合
特にも、切り傷やデカ目の擦過傷は本人・担任許可のもとで写真に撮って看護記録に参考として添付しています。
なぜ受診しなかった?
この状態で受診しないの?とか現場判断は仰いでいても、後々トラブルになったら嫌なので。
そこまでする必要はないと思いますので、あくまで個人の一例として。
添付後、写真データ消去とか抜かりなく追記しています。

そもそも、入っていることは稀な縫合テープ。
もちろん、看護師持参物で対応は厳禁にしろ、団体で用意してあった際の使用についてはどうでしょうか。講習ではそれでもNGでしたが....傷の範囲や深さによっては使用もアリなような。

個人情報保護のため、多少脚色

①の事例は
旅行最終日で、あとは自由行動という場面だったため
保健担当教員も私も一緒について、タクシー飛ばして受診に行きました。ひとまず、現地で処置してもらい帰宅したらすぐ受診できるよう、保護者に連絡しました。
若干余談ですが、修学旅行って最終夜まで何もなく行くと「よっしゃあとは帰るだけ!」と引率も生徒自身も気を抜きがち。
最終夜〜最終日に、一気に疲れなど出て思わぬ怪我や高熱など起きちゃうんですよね。そんな終盤ほど、バチバチアンテナ這って有事に備えています。
流石に、帰りの飛行機乗ったら爆睡ですけれど。

個人情報保護のため、若干脚色

②は、とにかくワンパク過ぎる学校で
深夜に救急要請3件同時多発という状況。しかも、片道1時間かかる超僻地。と言っても、首都圏から学生団体がよく訪れるメジャーな場所です。

ちなみに、こちらの怪我は
まさかの勉強合宿中の出来事。日中座学で抑え込んだ有り余るパワーで、夜暴れまくってド派手な怪我続発。稀なケースかと思いますが、勉強合宿=怪我ないでしょという法則は成立しないと実感しました。
この時の対応が良かったと、旅行後に養護教諭さんから直々にご連絡を頂き、コロナ前まで数年指名で呼ばれました。
というか、私に限らずツアナスあるあるで
別に普通の対応なんだけど、大きな事故対応すると気に入って頂けてそのまま指名っていうの多いですよね。

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事例で自己肯定するつもりはないんですが
すぐに受信できない場合など、状況に応じてテープは使用しちゃいそうですけれどね。ファーストエイドの範疇での是非については答えは出ず。ってか講師が使用NGって言っている時点でアウトなのか。
AHA的にはNGでもWFA(野外救急法)的にはどういう解釈なんでしょうか。また違う気がする。自分で受講して確認するしかないのかな。

救急バッグで見るのは
カットしてあるこちら。

全く同じ製品で、カットしていないタイプの方がお安い(と思ったら、2022年4月現在ほぼ同じ価格になっていました)。
看護師的には、こちらの方が馴染みあるよね。

ちなみに、万人に勧めるわけではないですが
私がやっていること。

本人・学校許可が降りたら。
「この状態を、養護教諭さんに報告したいから記録用に撮っていですか?」と確認し、看護記録の補足として添付しています。


テーピングテープ

5年ほど前に、ツアーナースの仲介会社で定期勉強会があり、テーピング講座の回もありました。講師は、キネシオでスキルを得たツアーナース。よくツアーで対応する足首捻挫?か何かに絞った内容で、2回ほど受講するも全く覚えられず。今に至る。ツアー人生、一度もテーピングを施したこともなければ、要望があったこともないです。
むしろ、有事は勝手に体育の先生がやっていました系がチラホラ。

今後も、スポーツや登山系の旅行に同行する予定はないしとことん避けていくので、テーピングの手技を取得する気はない私ですが、他のツアナスさんはどういうスタンスなのでしょうか。すごく聞きたいが友達がいない。
ツアーの仲介会社が講座を行っていた=ツアナスに必須という訳でもないと思うし。

捻挫など処置として、ファーストエイド講習にテーピングが含まれていたのなら学ぶでしょうが、そうでないということは範疇じゃないって訳で。過去一個人的な考えですが、テーピング学ぶために数万かけるならAHAなりMFAなりのファーストエイド講習を受けた方が実務に役立つと思っています。
まずは、基本のRICEで対応でしょと。

参考
お馴染みのRICE

最近は保護+負荷が追加でPOLICEらしい

ポリスちょっと前になんかで見たな程度で、ほぼ知らんかった。私の勉強不足だとは思うけれど、あんまメジャーじゃなくね?

サムスプリントっていう、携帯型のシーネ。いろんなサイズあり。
類似品で、もっと安いのも。

先日、登山添乗に備えて持参しました。
幸い使用する事態にはなりませんでしたが、あると安心しますね。
となると、やっぱ腕の場合は三角巾必要だな。ごめん三角巾。

ツアーナースにテーピングスキル必要?
とまだ迷いのある私たちで、何とも答えは出ませんが、とりあえず講習リンクだけ貼っておきますね。

参考
ニチバン/テーピングセミナー基本コース
2021年はオンラインのみ、応用コースは中止

キネシオ
基礎から各部位まで多種あり。

3M /テーピングゼミナール
基礎・応用・マイスターの3段階。

https://www.3mcompany.jp/3M/ja_JP/sports-tape-jp/resources/seminar/

[結論]私たちが準備する場合の、外科系グッズ

外科系枠に入れるか迷った、湿布やワセリンなどは薬の項目で書きますね。

あと、あえて書くまでもない常識ですが

以前、某所にてファーストエイド講習。
鼻出血のシミュレーションで、素手で対応するというツアーナースさんがおり。
手袋装着をお願いしたら「実際そんなのはめている暇ないし!」と頑なに拒否されました。あのババァ、今でもツアーやってるのかな。

救急バッグにも用意はされているものの、怪我の多さによっては足りなくなる可能性もあるので、感染予防としての必要経費として手袋予備は毎添乗10組程度持参しています。

それでは外科系はひとまず以上。
こちらも他記事同様に、適宜修正・更新してきます。

次は、内科編