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【第12話】南紀ツーリング⑤〜エーゲ海のロマンス〜

こんにちは、旅する自転車です。
前回は7月三連休を使って紀伊半島を走りました。…と言いつつも実際には志摩から白浜まで、全体の8割の行程です。残り2割の白浜-和歌山間を走って初めて、「紀伊半島を走破した」と言えるでしょう。というわけで、続きと言う形で白浜へ向かうところから今回の旅はスタートします。

↓前回のおさらいはコチラ↓

とれたての魚が食べたくて

大阪・天王寺駅7時57分発の特急に乗った。くろしお1号新宮行き。まずは前回の行程のゴール地点である白浜へ向かうことから今回の旅が始まる。白浜駅へ到着したのは10時過ぎだった。まずは白浜の人気観光施設・とれとれ市場へと向かった。西日本最大級の海鮮マーケットで、魚市場やフードコートがある。まだだいぶ早いが、昼食がてら海鮮丼を食べることにした。食後に市場内をぶらぶら歩いて、自転車に乗り出発した。いよいよ最後の南紀ツーリングが始まる。8月19日、一年で最も暑い時だ。ギラギラとした日差しが照りつけ、空はに入道雲がモコモコと天高く伸びていた…。

かわいいマグロのオブジェが目印。館内には「と〜れとれ〜♪」と陽気な音楽が流れていた
漬けマグロ丼はほどよいボリュームのご飯にたっぷりのマグロがのっていた
ついさっき特急で過ぎたばかりの海岸線を車道で逆戻りしていく

ここは「日本のエーゲ海」

白浜を出発してからの道は、海を見渡す気持ちのいいものだった。そしていくつかの市街を通過した。田辺、みなべ、印南、御坊と過ぎたところで、由良町に着いた。この由良町にある名所が今回のプランの一番のみどころだ。それが白崎海岸。一帯が白い石灰岩で囲まれ、「日本のエーゲ海」と称されるほどの素晴らしい景色が広がっているらしい。それを確かめるべく、町から離れて岬を目指した。道幅の狭い山道を越え、見晴らしのいい平坦な海岸の道を進んでいくと、いくつかの白い岩がポツポツと海の上に浮かんでいるのが見えてきた。紀伊半島の中でも特に辺境の地なのか、この道を走る車両の姿は他には見られなかった。白崎海岸を示す看板に従ってトンネルをくぐると、ついに到着した。そこには白亜の巨岩が目の前に聳え立っていた。キャンプ場が整備されていたり道の駅があったりで、周辺の環境からは考えられないほどたくさんの人間の姿があった。ちょっとした展望台に登って周りを見渡すと、そこには青い空と海、そして白い岩だけの景色が広がっていた。

白崎海岸に至る海岸の道では、奇妙な形をした巨岩が密集していた 
南国の風情ある半島の先端に、雪山のような白い山がそびえ立っている異様な光景
夏の日差しを反射した白亜の岩は目が痛いほど輝いて見えた
白崎海岸を出て次の町・広田町へ向かうまで、見晴らしのいい道を通った

南紀の旅は和歌山で終わった

あとはもう見るものは何もない、和歌山へ向かうだけ。白崎海岸を出発したのは15時過ぎ。8月にもなると、もうこの時間帯から日差しが斜めになり始める。一日の終わりを感じ、日没前にゴールできるよう先を急いだ。有田市から最後の山を越え、海南市に着いた頃から自動車の通行が増え始めた。南紀のローカルな雰囲気は消え、人工物が立ち並ぶ市街地へと変わっていった。もう日が暮れようとする18時30分頃、和歌山市へ到着した。もう夜になるというのに、夏期開館時間延長のおかげで和歌山城に入れた。展示物やパネルでしっかりと歴史を学んだ後は、天守から夕空に包まれた街並みを一望した。この日は土曜日だったので翌日も和歌山を観光しようかとも思ったが、心が満たされてしまったので日帰りで終えることにした。輪行の準備を済ませたら、和歌山駅ビルで和歌山ラーメン食べ、JR快速に乗り大阪へと戻った。

海南市へと続く国道42号。このトンネルを抜けると工業の街が視界に広がった
和歌山市街を和歌山城が見守る。夕日を浴びてオレンジ色に光っていた
ライトアップされた和歌山城。なんだか得した気分だ
和歌山駅に着いたのはもう19時30分過ぎ
駅ビル内にある「和歌山中華そば 丸美商店」。香り豊かで濃厚で、疲れた体にはたまらなかった

白浜から和歌山まで、今日だけで113㎞を走った。前回の7月三連休の志摩〜白浜の距離を合わせると、450㎞くらいになるだろう。このあまりにも長い海岸線には、本当に数え切れないほどの素晴らしい景色があった。そして道のりは険しくも、視界に広がる青い海が励ましてくれた。紀伊半島はツーリストを、日差しのように暖かく迎え入れてくれた。

南紀ツーリングを終え、これで関西の主なスポットは回りきってしまった。いやいや、まだ北がある。北へ目を向ければ兵庫の山陰海岸や京都の丹後半島、そして北陸まで足を延ばせば福井若狭湾に越前海岸、そして石川の能登半島…。大阪から行ける景勝地は挙げればきりがない。

次はいったいどこへ向かうのだろうか。
旅する自転車の冒険はまだまだ続く…。


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