見出し画像

「わたし、おばあちゃんなので」

60歳で自分を「おばあちゃん」というのもなんだけど(孫もいないのに)、今はそういう気分なのである。
一昨年末に他界した父は、60歳から山登りを始め、山スキーも再開し、高尾山には計350回強登り、80歳まで滑っていたというのに。私はというと、還暦を迎えてからこちら九ヶ月あまり、ひしひしと体力・気力の衰えを感じている。

先日、スクランブル交差点を斜めに渡ろうとしたら、私以外の人たちがみな、縦か横かどちらかに真っ直ぐに進んでいるので、(え?私間違ってる?信号無視してる?)とビビってしまった。別な機会には、たまたまポツンと私だけが横断している瞬間があり、その時はまるで全方向から車が突進してくるような恐怖を覚えた。
若い頃はそんなことなかったのに、なんだろな、自分の判断が信用できなくなってるのかな。

改めてスクランブル交差点の「歩車完全分離」の表示を確認しながら信号待ちしていたら、近くの川の上を白い鳥が飛んでいる。え?カモメ?こんなところに?海もないのに?・・と思ったが、そういえば、高校生の頃、バイクを買った男友達が「海まで行こうぜ」(マッチか)などと誘いに来て、乗せてもらったことがあったっけ。案外近かったな。東京湾だけど。全然きれいじゃなかったけど。

『不適切にもほどがある』を見ているせいか、なんだか昭和が懐かしく思われますね。って、当たり前か。
1986年といったら、私と夫が出会った年で、男女雇用機会均等法元年でもあり、男女差のない総合職(と言いましたっけ?)として入社した私は、明確にお茶汲みを禁じられ、「女だから」ということで許されることも強要されることも一切ない環境にいたため、1986年ってあんなにひどかったっけ?と思うことが多々ある。クドカンは私より少し若いから、目線が違うのかな。

ともかく、あれから38年ですよ。60代の自分に慣れるには、まだ時間がかかるようで、

「わたし、おばあちゃんなので」

大門未知子のようにそう言いながら、しばし休息が欲しいと思うのであります。

この記事が参加している募集

今こんな気分

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?