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ものすごく自己嫌悪

夫が、珍しくスーツが欲しいというので専門店に見に行った。
ご近所さんが勤務していて、社員紹介割引を適用してもらえるのでとても助かる。
夫が試着している間に、その方に何やら話しかけられたのだが、マスクをしているし、やや高めの声で、ほとんど聞き取れなかった。
買物の話をしているのではないだろうことはわかったけれど、内容がつかめなかったので、曖昧に笑ってごまかしてしまった。

「耳が悪いので」

何度かそう言おうと思ったが、もう一度言い直してもらうのも気が引けて、ついに言えなかった。
程なくして夫が試着室から出てきて、会話はそのまま終了。

帰り道。
夫が言うには、どうやら近隣で起きたちょっとしたトラブルの話だったもよう。
恐らく不安に思って打ち明けてくださったのだろうに。
それなのに。

ひどく落ち込む。
自己嫌悪。

きちんと伝えればよかった。
文字変換アプリ使えばよかった。

夫も、「耳のことは伝えた方がいいと思う」と言うので、すぐにお詫びも含めて手紙を書いてポストに入れてきた。

ごめんなさい。
言えなかったばかりに。

逃げていてはだめだなと思う。
聞こえないのは、どうしたって事実なのだから。
笑ってわかったふりをしてごまかすのではなく、聞き取れないことをわかってもらって、筆談なりアプリなりを使えばいい。
それだけのことだ。

翌日、件のご近所さんとばったり。
「お手紙ありがとうございます!」と言われるのと、
「ああ、ごめんなさいね!」と私が言うのとがほぼ同時。
マスクなしでの会話だったので、何があったのか確認することができた。
ホッとした。

これからは、サッと文字変換アプリを出そう。
それを躊躇するのは、実は、文字変換アプリのどれもが精度がイマイチで、おかしな変換を目にすると、話す方が話しにくくなってしまうだろうという懸念。
こちらはある程度予測できるので、多少の誤変換は問題ないのだが。
オフラインでも正確に変換できるアプリの登場に期待したい。

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