一期一会
先日行った派遣バイトのコンビニにて。
40代のファンキーな見た目のおじさんと、さっぱりした見た目の新卒社会人でコンビニ店舗に配属されたという男の子と勤務をしてた。
店が少し暇になってきたタイミングで、
ファンキーなおじさん(以下Fおじ)が新卒の男の子の社員(以下新卒君)に雑談としてこんな話をし始めた。
「新卒君は彼女おるん?」
新卒君は5月からこの店に配属されて働いており、Fおじはヘルプで週3くらいしか来てないらしく、こういった会話もしたことなかったらしい。
「彼女欲しいっすけどね…」
それを聴いてすかさずFおじが質問する。
「好きな女の子のタイプっちゅうのはあんの?」
Fおじは色白でガリガリ。
髪は少しハゲてるけど明るい茶髪で目はバキバキできつめの関西弁を喋る。
「やっぱタイプっちゅうのが決まってたら狙う女の子も決まってくるやん」
数秒考えた新卒君。
「ぼく…メンヘラが好きっすね」
それを聴いたFおじはより大きな声で話しはじめる。
「メンヘラ!?メンヘラの何がええねん!メンヘラなんかあかんやろ!」
この日来ていた店は生活水準が少し高そうでオシャレな街にあり、
近隣には賢そうな学校や大使館などがある。
そんなお店に何度も響く"メンヘラ"という言葉。
「いやあメンヘラでもいいと思いますよ」
なんか新卒君がかわいそうなんで僕も軽くだけアシストをする。
そしてFおじは熱弁しはじめる。
「あんな、結局恋愛っちゅうのは綺麗事やないねん。綺麗事抜きで結局行き着くいい女ってのは、顔がかわいくて、性格が良くて、エロい女が一番なんや!」
「そ、そうですかね…」
「いやあ結局そやねん!かわいくて、性格良くて、エロい女が一番や!」
この日来ていた店は生活水準が少し高そうでオシャレな街にあり、
近隣には賢そうな学校や大使館などがある。
そんなお店に何度も響く"エロい女"という言葉。
まだまだFおじは続ける。
「かわいい性格がいいエロい女に行き着くねん。言うてることわかるやろ?メンヘラなんかあかん!かわいい、性格が良い、エロい。これや!」
夕方、周りの主婦層の方や学校帰りの子供達が来店する時間。
Fおじはレジにお客さんが来た時は会話をやめて接客をするが、お客さんが減ったらエロい女のクダリをあらためて説得するように新卒君に言いはじめる。
おもしろがった僕は話に多少のっかるようにした。
「いやでも、メンヘラってかわいくてエロいこ多いって言うんで、あながち1つの指標としていいかもしれませんよ。」
数時間前に初めて会った人に言ってるんだ。
すると新卒君が
「メンヘラってやっぱエロい…んすかね…」
と小さい声で言っていた。
その声を全く聞こえてない様子でFおじは
「確かにそうかもしれんけど結局はかわいくて
相変わらず同じことを言う。
こういうおじさんにならないように気をつけよう。
しばらくして新卒君は自分の中で言いたいことの整理がついたように口を開いた。
「いや、メンヘラが好きって言うのは、僕の好きな子がメンヘラだから好きって言ったんですよね〜」
話が変わった。
Fおじも僕も話が完全に変わったと思った。
「なんや好きな子おるんかいな!それやったらその子がメンヘラでもかまへん!」
Fおじのバキバキの目がさらにキラキラし始めた。
僕もテンションが上がり始めて
「え、好きな子メンヘラなん?どういう子?」
とか聞き始めていた。
W厄介関西弁おじさんに挟まれた新卒君に逃げ場はない。
「いや、その子が自分のことメンヘラって言ってたんで僕はそう思わないんですけど、メンヘラなんですかね。」
「その子とはけっこう話すん?」
「最近よく通話してて…メンヘラかはわかんないっすね…」
「通話してるやん!えっ、まずどこで出会った子なん?」
「職場の同期なんですけど…同い年で…」
「いっちゃんええやん!」
このずっと喋ってる関西弁はFおじではなく僕である。
恋バナとなれば恋バナ生主というイミフな肩書きを自称していた僕の方がFおじよりも厄介である。
新卒君がまだ入社する前の研修で出会った子。
その時同じ班になったようで少し喋った程度だった。
入社して同期のLINEグループつくる(2.30人くらいいるらしい)ということでLINEを交換してた。
5月に新卒君がコンビニ店舗勤務になり、その子はオフィス勤務のままなので会えなくなった。
それでも個人のLINEでほぼ毎日やり取りしててたまに長電話とかもしてた。
そんな日が続いたらいつしかその子のことが好きで好きでたまらなくなっていた。
先週はその子のことばかり考えていて何も手につかない日があった。
この日来ていた店は生活水準が少し高そうでオシャレな街にあり、
近隣には賢そうな学校や大使館などがある。
そんなお店で新卒君の赤裸々な恋バナが語られる。
それからはFおじと恋バナ生主の合ってるのかわからない恋のアドバイスが続いた。
本気で恋して困ってるらしくこのW厄介関西弁おじさんの話もしっかり聴いてくれてた。
そうこうしていると僕と新卒君の勤務時間が終わり、Fおじを残して退勤。
Fおじは最終的に「いやあ恋するってええなあ!」とか言ってた。
これには100%同意である。
僕と新卒君は帰りの電車が一緒だったのでさらに深掘りして聴いていく。
結局その好きな子の写真やLINEのやりとりまで見せてもらった。
気持ちがのってきたのか新卒君は心の声を漏らしたのかこう言った。
「ああ…パンツ見たい…」
耳を疑うという行為を久しぶりにした。
この日来ていた店は生活水準が少し高そうでオシャレな街にあり、
近隣には賢そうな学校や大使館などがある。
そんなお店でこのパンツ見たいという声が漏れなくてほんとよかったと思ってる。
もちろん帰りの電車でそれを聴いていた人もいたかもしれないがそれはもうすまん。
急に童貞っぽいことを言い出した新卒君へパンツを見るためのアドバイス、
もとい現実的なデートのお誘いのアドバイスをした。
「ああ…寝落ちもちもちもしたい…」
新卒君の心のダムは修繕したほうがいいとは思う。
20分ほど話し最後に「パンツみれるように頑張ろうな」という言葉を「恋が実ことを応援してるわ」という社会で通用する言葉に変えて別れた。
派遣バイトは一期一会。
もうあの店では働くことはないのかもしれない。
働いたとしてもFおじや新卒君はいないかもしれない。
また会ったら、
あれからパンツは見れたかどうか聞きたいところである。
勤務中。
僕がFおじに
「ちなみに、かわいい、性格がいい、エロいにもつひとつ要素足すとしたら何がいいですか?」
と聴いたら、
「ワシはモデルみたいなSっぽい子にめちゃくちゃにされたい!」
とはっきり言ってきた。
この日来ていた店は生活水準が少し高そうでオシャレな街にあり
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