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【投機の流儀】大相場の終焉の大底にせよ、中間反落にせよ、底値の付け方には一定のパターンがある。AIがあろうが、なかろうが、人間の思考法に古今大きな変化はないからだろう

第1部;当面の市況

(1)史上2番目の下げ幅2216円、但し発射台がブラックマンデー暴落より1万円以上高い所から始まったのだから、下げ率にしては比較にならない。

8月1日(木)シンポは大幅に下がったが、2日(金)はそれを上回り、2200円幅を下がった。この下げ幅は極めて珍しい。筆者の記憶が正しければ、1987年10月20日(火)に起きた「ブラックマンデー(★註)」以来、約37年ぶりの事である。

1日後場の「動画」の収録の際、筆者は「1月からの上げ幅の黄金分割比の下げ幅を実現したので、これで値幅は届いたろう」と述べたが、一昼夜経たないうちに、これは全くのハズレとなった。下げ幅の黄金分割比と言ったのは1月〜3月までの上げ幅7500円に対して言ったのであって、これは考えてみれば、誠に恣意的な計測の仕方だった。
「ヒトは相場観測で馬脚を現す」とは筆者得意の人物評だったが、自分に該当する場面をお見せしてしまった。

本来、この「日本のメガトレンドを見直す相場、デフレからインフレ経済の移行を買う相場」の起点を言うならば、去年春の保合離れの28500円からである。そこから約1.5倍の42000円が今年の4月の天井だった。
筆者が勝手に相場の出発点を1月と決めて「そこから7500円幅上がった」と言うのはバカみたいに恣意的だった。1月〜12月を1年度とする見方は暦の見方であって、市場現象の見方ではなかった。
この騒ぎに対して、経済同友会の新浪代表幹事は「調整現象だ」の旨をNHKテレビで述べていた。適切な表現だと思う。

2日間で3200円も下がった(来週も下げから始まるであろうから、3日間で4000円超の下げ幅となる。派手な方が宜しい)ということは、これで「日本のメガトレンドのインフレ指向を買う大相場」は生きているという本稿の主張は昨年春の保合離れから始まる(この時、30年ぶりの賃上げ・2%インフレの実現・賃上げ継続のための設備投資活発化・売り手の売値の値上げと4拍子が揃って「新たなインフレ経済へメガトレンドの変化」が始まったのだ)。

その小天井が7月11日の42000円とすると、昨春の出発点から約13500円幅の値上がりだ。その幅の黄金分割比は通り過ぎたのだから、強いて言えば「値上がり幅の半値押し」となろう。これは約35000円となる。あと一押しだ。25日線と10%以上も離れた。

日経VIは30.77をつけた(普通は「20」を超えると、不安心理が濃くなったとされる)。200日線も深く割り込んだ。これは理屈の上では、過去1年間の毎日の株価を買ったすべての投資家が評価損を抱えたということになる。評価損を抱えた友は市場に沢山いる。戦友は皆、苦労しているのだ。「憂うるなかれ」である。

87年10月20日の大幅で劇的な下げがあったからこそ、それを中間反落として、2年後に20000円幅を上昇して、1989年末の史上最高値を示現したのだ。あの時もアメリカ発だった。今回もそうだ。米景気下振れ警戒心からの下げだった。

下げ深ければ上げ高し。「上昇相場は万人の総悲観のうちに始まる」(ジョン・テンプルトン)。週明けから更に下げて「『日本のメガトレンド変化を買う大相場』はこれにて終焉だ」という意見が市場を席巻するようなら、間違いなく絶好の中間反落だ。天与の反落だろう。
1ドル148円が出れば、輸出産業は売られる。それに合わせて、ヘッジファンドの短期筋が先物売りを出すであろう。

日経平均が2000円下げる中で「This is Japan銘柄」の際たる日本製鉄(5401)は僅かながら逆行高だった。武田薬品(4502)も僅かながら逆行高、優等生オービック(4684)は前日比285円高だ。市場は発狂して、闇雲に売っているわけではない。ブラックマンデーの際と同じく、今回もアメリカ発だった。
「歴史は繰り返さないが、韻を踏む」(マーク・トウェイン)。

(★註)「ブラックマンデー」あの日の午前中は殆ど全銘柄がウリ気配で、値段が付かなかったという騒ぎだった。今回は日本史上2番目の下げ幅だろうが、当時とは比較にならないほど小さい。或る事情があって、筆者はブラックマンデーの前々日に全銘柄を売り切っていた。この偶然の幸運は拙著にも書いたし、本稿でも述べたので今回は割愛する。

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