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【投機の流儀 セレクション】オリンピック後の景気

オリンピック後に不況が来るという迷信のような見方が一部にある。これには次のような背景がある。

1:既視感である。64年五輪の時はその3年前に日経平均(当時は東証ダウと言った)は史上最高値を付け、オリンピックを越して4年間はその史上最高値を抜けなかった。これが2020年のオリンピックに対して2018年10月に付けた2万4400円というアベノミクスの老年期相場の大天井だという見方である。これは辻褄を無理に合わせているようにしか見えな
い。

2:東京五輪の経済効果は微々たるものだ。2020年の東京五輪が決定してから五輪までの間の経済波及効果は東京都オリンピック・パラリンピック準備局が発表した「東京2020年大会開催に伴う経済波及効果」によれば、五輪に伴う施設整備などの直接的効果は約2.5兆円だという(17年4月発表)。これは年当たりで割り算すれば1年に0.4兆円ぐらいものであるから、GDPの0.7%にもならない。

3:前回64年五輪の翌年に「40年不況」が来て、山一證券の第1次破綻、当時史上最大だった山陽特殊鋼の破綻、ステンレス大手のサンウェーブの破綻等が相次いだ。その前に64年五輪のために東海道新幹線が前年にできたし、東京モノレールもできたし、首都高速の一部も開通した。膨大な財政出動が出た。したがって、その反動が大きかったのは無理もない。

しかし、今回は今述べた社会資本の充実は既に終わっている。

4:既視感によって決めつけたり、規模の影響を考えないで結論付けたりするような、誤った思考のプロセスで誤った結論を導くことが経済予測でも相場予測でも最もヘタなやり方である。重要なことは、当たるか外れるかよりも正しい思考プロセスを踏んでいるか否かである。

【今週号の目次】
第1部 当面の市況
(1)今は、やがて来る大変動の前のレンジ相場だと想定すれば、今をどう生きるか
(2)「国を挙げて株価操作されている東京市場」と本稿は言う
景気先行指標の一つである工作機械受注、10ヶ月連続で前年割れ 
今週15日(木)は満月
(3)同じ現象を見て二者が反対の動きをするということは、長続きはしない
(4)逆張りの個人が動いている
(5)人民元の下落が世界中に飛び火した
(6)今後は再び下値を探る動きか
(7)「日経ヴェリタス」8月11日号について
(8)今は嵐の中の静けさか
(9)米中対立激化は外需株の大幅安となって表れた
第2部 中長期の見方
(1)米中対立は、10年以上は続く
(2)米中戦争よりも大きな危機はないのか?
(3)米中に迫る土地バブル化
(4)株価は景気の先行指標だ、しからば株価の先行指標は何か
(5)「炭鉱のカナリア」
(6)万年強気で一時人気を博した木野内栄治氏
(7)オリンピック後の景気
(8)中長期の見方;中国がTPPに参加したいという意向が中国国内で力を得てきたらしい
第3部 景気と株価の関係
第4部 アメリカの世紀は終わったか、に関する一考察
(1)アメリカ衰退論の流行現象はいつ始まったか
(2)「世界の主導権を取る」とはどういうことか
(3)アメリカ衰退論の経緯
(4)「アメリカの世紀」の存続期間
(5)「アメリカの世紀」は続くがそれは変容する
第5部 読者との交信蘭
昔からの読者の「ナンピン買いについての」ご相談

【来週号の予定項目】
〇米・英・伊などにポピュリズム政権が幅を利かせ始めた背景
〇野村証券株が立ち直る日は来るか?

【お知らせ】
「投機の流儀 セレクション」のアーカイブは、電子書籍の紹介サイト「デンショバ」にてご覧になれます。
デンショバ
http://denshoba.com/writer/ya/yamazakikazukuni/touki/

【プロフィール】
山崎和邦(やまざき・かずくに)
1937年シンガポール生まれ。慶應義塾大学経済学部卒。野村證券入社後、1974年に同社支店長。退社後、三井ホーム九州支店長に、1990年、常務取締役・兼・三井ホームエンジニアリング社長。2001年、同社を退社し、産業能率大学講師、2004年武蔵野学院大学教授。現在同大学大学院教授、同大学名誉教授。大学院教授は世を忍ぶ仮の姿。実態は現職の投資家。投資歴57年、前半は野村証券で投資家の資金を運用、後半は自己資金で金融資産を構築、晩年は現役投資家で且つ「研究者」として大学院で実用経済学を講義。
趣味は狩猟(長野県下伊那郡で1シーズンに鹿、猪を3~5頭)、ゴルフ(オフィシャルHDCP12)、居合(古流4段、全日本剣道連盟3段)。一番の趣味は何と言っても金融市場で金融資産を増やすこと。
著書『投機学入門』『投資詐欺』(講談社)など多数。

ツイッター https://twitter.com/toukinoryugi

【著書】
『賢者の投資、愚者の投資』
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