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【投機の流儀】日産自動車の問題は06年のライブドア事件とは大違い

【今週号の目次】
(1)当面の市況
①NT倍率、98年以降で最高、これの意味するところ
②モルガン・スタンレー、25日発表のレポートにより6日続伸、但し上げ幅は6日合計で僅か843円
(2)来年の消費増税は過去3回と同じく「四半期GDPはマイナスとなるから株式市場を冷やす」か、または「景気対策の財政出動で追い風となる」か
(3)消費増税の再々々延期の扱い方によっては大相場は完全に終焉を迎える
(4)株価構成の基本が変わる、但し「政策相場」「管理相場」の下値は深くはない=このことが相場の生体反応喪失性を醸成する
(5)今回の相場の特性から見た今後の中勢的な予測
(6)実質GDPは僅かながら下振れリスク
(7)想定外の原油安の影響
世界景気減速を先取りしたNY原油大幅安
(8)原油安と中国株安という外部要因については15年8月後半以降の下降局面と似た面がある
(9)日露交渉、内閣支持率、消費増税についての世論調査
(10)日産自動車の問題は06年のライブドア事件とは大違い
(11)SEG企業—-日産問題が一般日本企業のガバナンス欠如と海外勢に見られることはない
(12)25年万博、大阪開催
(13)景気の循環、株式市場の循環、このサイクルに注目することが最も容易な金融資産構築への道であるということについて(この項目については極めて本稿の基調として重要だから次週に理論的に整理したい)
(14)トランプが2期目の大統領に当選する可能性が濃い(2020年11月3日の選挙)
(15)米中貿易戦争と日本国自体の存亡
(16)「外交の安倍」の評価
(17)Tさんとの「▲20%を以てトレンド変化と見做す」についての交(18)インド洋で反中国政権が続々(ジャーナリスト・嶌信彦通信
2018年11月19日 vol.108)を要約
(19)「なぜ大国は衰退するのか」
TPP,12月30日に発効決まった真価――(本稿11月4日号(17)の要約)
「なぜ大国は衰退するのか」 (グレン・ハバード他著、久保恵美子訳、
日本経済新聞社刊、2014年刊)要約文責;山﨑和邦

【来週以降に掲載予定の項目】
○来年の株式市況
○四島返還はなるか?
○ゴーン逮捕は国策逮捕だと筆者は見る、よって今後はフランス側とモメル

(1)当面の市況

①NT倍率、98年以降で最高、これの意味するところ
先週一杯は先々週末から含めて6日連続上昇した。6日続伸は9月下旬の8日連続以来2ヶ月ぶりのことである。①これは米中首脳会談で貿易交渉を巡る何らかの合意が生まれるとの期待から海外勢が株価指数先物に買いを入れたと思われる。期待先行、しかも先物指数先行の上昇株価であるだけでなく、②値がさ株に海外勢の買いが集中したようだ。
ファーストリテイリング1銘柄で29日の日経平均を224円高のうちの70円以上を1銘柄で押し上げるという効果がある。
「日経平均株価÷東証株価指数=NT倍率」としているが、このNT倍率が20年ぶりの高水準となった。つまり、全銘柄を対象とする東証株価指数よりも、特定の銘柄で数値が上がる仕掛けになっている日経平均がより以上の上昇を為したということになる。時価総額の大きい銀行株や自動車株が低調に推移する一方、高株価の成長株が海外資金の流入で上がっている。これが全銘柄平均よりも日経平均を押し上げる力となっている。NT倍率が20年ぶりの高水準だということは言い換えれば98年以来であり、98年と言えば日本もアジア金融危機の真っ最中である。この時に全銘柄対象の東証株価指数に対する日経平均は倍率を高くしていた。13倍以上であった。それが小泉郵政改革相場の頃は一桁になり、その大天井でも11倍台であったこれが今また14倍近くになった。

日経平均はTOPXと比べて先物やオプション取引の売買が活発で短期筋を含めた海外の投資家の資金が多く入っている。彼らは上下いずれでも激動すれば利益を生むようになっている。
12月1日に米中会談が開かれると正式発表されたことで何らかの合意に至るはずだという一方的な期待から海外勢が日経平均先物に買いを入れたと思われる。こういう動きに便乗するのも一つの手であろうが、筆者ならやらない。

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